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人生の主役として、その人らしい暮らしと健康を訪問看護で支えたい

自宅で暮らしたいという願いを支える訪問看護のプロ

大山雄太郎

大山雄太郎 おおやまゆうたろう

#chapter1

看護師が定期的に自宅に訪問してケアする、訪問看護ステーションを運営

 「通院や入院、施設入所以外の方法、『在宅医療』をもっと多くの人に知ってほしいですね」と話すのは、「U-care(ユーケア)」の代表・大山雄太郎さん。福岡市早良区で「ゆう訪問看護ステーション」を運営しています。

 訪問看護は、加齢により心身の機能が低下した人だけでなく、病気や障害があり在宅で療養する人であれば年齢に関係なく利用できます。看護師が定期的に自宅に赴き、医師からの指示書に沿って点滴や注射などの医療行為を行えるのが特徴です。

 「誰もが自分の人生の主役であり、ご本人が望む暮らしをお手伝いすることが私どもの役割です。住み慣れたわが家で過ごしたいという思いをかなえるため、体調確認や服薬管理、リハビリ、清潔援助などのほか、対話ケアを用意しています。会話を重ねながら、心と体を細やかに観察します」

 持病がある人は、いつ症状が悪くなるか心配なもの。24時間体制で看護師が待機するととともに、健康状態をきちんとチェックして、「大丈夫ですよ、今週も元気でいてくださいね」と一言伝えることで、安心感を届けたいと語ります。
 また、お風呂に入る際の見守りや、寝たきりの人の洗髪なども規定の時間内であれば、柔軟に対応しています。

 「患者さんの状態は、定期的に主治医に報告し、連携を図っています。お家での様子や、血圧・体温の推移、服薬の状況が分かり、より適切な治療方針を立てるのに役立ちます」

 大山さんのもとでは、精神科のケアに関する研修を実施し、ひきこもっている人の社会復帰や発達障害の子どもの生活支援なども行っています。

#chapter2

祖父母の介護で親族がもめた経験とコロナ禍が契機に。異業種から転身

 大山さんは事業所を開く前、サプリメントの製造販売会社に勤務し、営業を担当していました。
 「現職と、大きなくくりでいうと健康という共通点はありますが、医療とは直接関わりのない分野に身を置いていました。転機となったのは、社会に大きな影響を与えたコロナ禍で、これからのことを立ち止まって考える時間ができたんです。知り合いが訪問看護の会社を設立したと聞き、興味を持ちました」

 というのも、以前、大山さんの祖父母が見守りが必要な状態になり、親とその兄弟たちが介護を巡ってもめたそうです。孫の立場から、その様子に心を痛めていました。
 「当時、在宅ケアをはじめ医療福祉サービスについて知っていたら、親族の不安や負担も和らいだのではないかと悔やまれました。同じように困っている人が大勢いるのではと思い、ご相談やご提案の場を作ることを決意しました」

 準備の過程では、看護師が集まるか気がかりでしたが杞憂(きゆう)に終わり、志のある人材が集まってくれたと、大山さんは胸を張ります。

 「訪問看護は日中業務が中心で、時間の融通が利きやすく、子育てなど家庭とのバランスを取りながら働くことができます。また、1軒1軒足を運んで、その方だけに集中して関わることができるため、スタッフはやりがいを感じているようです」

 異業種から参入した客観的な視点も生かしながら、利用者と家族が求めるサービスを提供していきたいと考える大山さん。拠点を増やすことも視野に入れています。

#chapter3

住み慣れた家で暮らすことの大切さを実感し、訪問看護事業のコンサル業もスタート

 大山さんは、訪問看護の仕事に携わるようになって、長く暮らしてきた家や支え合ってきた家族が、本人にとってどれだけ大切なものか、その存在の大きさを改めて感じたと言います。

 「長く入院されていた高齢男性が、余命数日と診断され、残された時間は自宅で家族と過ごしたいと、当方にご依頼されました。病院では口から食べられず点滴で栄養を補っていたそうですが、家に戻ると、家族の手料理を口にすることができたんです。結果、病院を離れてから1カ月以上、ご家族との日々を送ることができました」

 一人一人に寄り添う中で心掛けているのは、利用者のこれまでの生活をできるだけ尊重することだとか。
 「例えば、お酒が好きな方なら、主治医に確認して『1日缶ビール1本なら晩酌できますよ』とか。先日、80代で亡くなった方の最後の晩ごはんは、ご本人の希望でファストフードだったんですよ」

 旅立ちの日まで自分らしく生きる選択肢の一つが、在宅医療と話す大山さん。もっと裾野を広げたいと、訪問看護ステーションの開業や運営についてコンサルティングを行う会社も立ち上げました。事業を始める際の許認可申請、人材採用と育成、地域へのアプローチの仕方など、自らの経験をもとにレクチャー。すでに、長崎県や三重県で新たな事業者が誕生しているそうです。

 「コンサルを通じて競合が増えることになりますが、それも大歓迎です。それぞれが切磋琢磨して、各地でより良いサポートを実現していくことが私の願いです」

(取材年月:2023年9月)

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大山雄太郎

自宅で暮らしたいという願いを支える訪問看護のプロ

大山雄太郎プロ

訪問看護ステーション運営

合同会社U-care

病気や障害で療養が必要な方を訪問看護で支えます。人生の主役は「あなた自身」という考えを大切にしながら、体調管理や服薬管理、リハビリ、清潔援助、対話ケアなどで、自宅で安心して過ごせるお手伝いをします。

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