障害福祉事情に詳しい障害年金のプロ
坪田晋
Mybestpro Interview
障害福祉事情に詳しい障害年金のプロ
坪田晋
#chapter1
元ラガーマンの坪田晋さんは、勇猛果敢という言葉がぴったりの社会保険労務士。新卒で入社した人材紹介派遣会社で、障害者雇用に出合い、障害者と社会をつなぐ仕事がしたいと、入社後わずか7カ月で退職。次に選んだ就職先は、発達障害の人たちが通う就労支援施設でした。
「大学4年のとき、母が精神的ストレスから、幻聴や幻覚に襲われました。当時はこうした病気に関する十分な情報がなく、気軽に相談できる所もない。どう対応していいのかわからず、父と悩みました。心理学を専攻していながら、無力な自分を情けなく感じたことも。だから、就職先で、障害があっても、スキルを発揮して社会で活躍している人たちを見て、何かひとごとでないような気がして、この人たちを応援したいと強く思ったんです。一口に障害といっても、症状はさまざまで、周囲に求められる配慮も違うんです」と、坪田さんは転職の動機を振り返ります。
就労支援施設では、支援相談員として、通所者をサポートする傍ら、産業カウンセラーの資格を取得。その後、ホームレスの自立支援をサポートする施設に移ってからも、軽度の知的障害や発達障害のある人たちをサポート。そのときに障害年金の申請の手伝いをしたことが、社会保険労務士をめざす直接のきっかけとなりました。
「3年前に事務所を立ち上げたときから、障害年金申請のサポート業務をメインにしてきました。施設の方々と関わる中で、就業規則や助成金についても相談を受けるようになり、現在は施設の労務管理も任されています」と、坪田さん。障害年金の相談は年間約100件にのぼります。
#chapter2
坪田さんのもとには、精神疾患を抱える人からの相談が多く寄せられています。
「身体の障害に比べ、うつ病や発達障害などの精神疾患の場合、相談者の日常生活がどういう状況にあるのか、具体的にどんな点で困っているのか、その実態を書面に表すのが難しい。申請までには、申立書の作成、受診した医療機関や年金事務所への訪問など、いくつもの過程を踏まなければならず、相談者や家族の方が自分一人ですべてを行うとなると、精神的負担がかなり大きくなります。障害者支援施設からの紹介が多いのも、こうした手続きの煩雑さがあるからなんです」と坪田さん。ときには、受診していた病院が閉院していたり、カルテの保存期間の5年を経過していたりすることもあり、申請までに1年かかることも。
そのため、坪田さんは相談者との面談では本人の現在の生活状況だけでなく、過去の状況や受診歴などを丁寧に聞き取り、それを正確に医師に伝えて診断書を作成するようにしています。
「相談者によっては、特別な配慮が必要な場合もあるので、面談前には必ず紹介をいただいた施設から、相談者の日常生活がイメージできるような情報をもらうようにしています。中には精神疾患という事実をなかなか受け止めることのできない方もいますが、そこをうまくフォローして迅速に年金が受給できるようになれば、精神的にも経済的にも余裕が生まれるはず。それが治療に専念したり、社会復帰をめざしたりといった次のステップにつながるんです」と、坪田さんは障害年金受給の意義についても語ります。
#chapter3
ストレス社会の現代。うつ病や不眠症など、心の不調が原因で休職したり、離職したりする人が多いことを憂慮して、坪田さんは一般企業向けのメンタルヘルス対策にも取り組んでいます。
「意外に思われるかもしれませんが、ホームレスの支援をしていたとき、職を失って借金や家族問題を抱え、うつ病や軽度の知的障害を発症したのではと思われる方もいました。あのとき、もし彼らがストレスのセルフコントロールができていれば、また違った人生を送ることもできたのではないかと思うのです。心の不調を感じていても、精神科や心療内科に行くには抵抗があるという方もいるかもしれません。そういう方にも気軽に相談していただければ」
プライベートでは、車いすラグビー(ウィルチェアーラグビー)チームを率いる坪田さん。2020年の東京パラリンピックにチームから選手を送りたいと張り切っています。
「11歳から続けてきたラグビーでしたが、社会人のクラブチームでけがをしたのを機にやめました。その後車いすラグビーに出合い、激しいぶつかり合いにひかれて、実際に体験してみると、とても面白くて。福岡にもチームをと決意し、選手や資金を集めて、4年がかりでようやく公式戦出場を果たすことができました」
公私共に障害者と共に歩んできた坪田さんは最後にこう結びます。
「今関わっている人、これから関わることになる人、すべての人に喜ばれるようなお手伝いをしたい」
(取材年月:2017年3月)
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Profile
障害福祉事情に詳しい障害年金のプロ
坪田晋プロ
社会保険労務士
坪田社会保険労務士事務所
産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの資格を生かし、障害者が自立できるよう障害者年金や障害者雇用の面からサポート。また、事務所内にメンタルヘルス対策室を設置し、メンタルヘルスに関する相談も受付け。
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