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悩みに寄り添い、その人の生活に即したサポートを実践するカウンセラー

生活に即した実践的な支援を提供するカウンセリングのプロ

熊本園子

熊本園子 くまもとそのこ
熊本園子 くまもとそのこ

#chapter1

パニック障害の経験と専門知識を生かし、安心できる相談環境を

 「一人で悩みを抱えきれない時は、カウンセラーを頼ってみませんか。寄り添ってもらえたという安心感が、心を軽くしてくれますよ」

 そう優しく呼び掛けるのは、2007年から愛媛県松山市で「メンタルサポートK'sHOUSE」を開く公認心理師の熊本園子さん。家族関係や職場での人間関係など個人の相談から、企業のメンタルヘルス対策支援まで、幅広く対応しています。その原点は、自身がパニック障害に苦しんだ経験にありました。

 「当時は、いつ発作が起きるか分からない不安と向き合っていました。そんな時、わが家の家政婦さんが、事情を聞いて『気持ちはよく分かるから、無理しなくていいよ』と声を掛けてくれたのです。寄り添ってくれる人が一人いるだけで、救われるんだと思いました。実は、その方もうつ病を経験されていたのです」

 医師のサポートを受けながら回復へと向かった熊本さんは、支えてもらった経験を胸に「同じように不安を抱える人の力になりたい」と強く思うようになりました。通信制大学で学び直し、「いのちの電話」の相談員として活動を始めた後、さらに学びを深めるため精神保健福祉士資格も取得。心の問題が医療的支援を必要とすると判断した場合には、提携する医療機関を紹介し、連携しながら支援にあたっています。

 「精神保健福祉士として受診の同伴も可能です。情報を丁寧に伝えながら、落ち着いた環境で支援を始められるので、医師にも相談者にも喜ばれています。訪問カウンセリングで産後うつや引きこもりの方を支援したケースもあります」

#chapter2

臨床心理学の観点から、子育ての悩みを紐解き、親子関係の構築の仕方をアドバイス

 医療機関や県立高校で、子どもや保護者、教員の相談にも携わった熊本さんは、不登校や非行、引きこもり、いじめなど、さまざまな悩みに寄り添ってきました。近年は、子育て中の母親からの相談が多いといいます。特に、親から虐待を受けた経験があると、当時の記憶がよみがえり、つらくなったり、自分の子育てに疑問を感じたりするケースもあるそうです。

 「厳しくしつけられてきたために、子どもが言うことを聞かないと厳しく当たってしまう。その反面、罪悪感と親に対する怒りがこみ上げてきて、気持ちが揺れ続けるのです。そのような時は、自分が体験してきたしつけと、自分の子育ては別物だと説明し、子どもとの関わり方を一緒に考えます」

 熊本さんが、親子関係についてアドバイスする際に参考にしているのが、米国の臨床心理学者であるトマス・ゴードン氏が開発した「親教育プログラム」。親が子どもに本音を伝えたい時や、子どもが悩んでいる時に、効果的な伝え方や聞き方を学ぶものです。

 「例えば、食事の準備で忙しい時に、子どもに『絵本を読んで』と言われたら、『絵本を読みたいのね』と、子どもが発した言葉を繰り返します。そして、『今は夕飯を作っているから読めないの』と状況を率直に伝え、『後で読もうね』と理解を促します。このように、子どもの意見を尊重していくと、親子関係がよくなりますので、ぜひ取り入れてみてください」

熊本園子 くまもとそのこ

#chapter3

産業カウンセラーとして、企業のリスクマネジメント対策にも寄与

 産業カウンセラーとしても活動する熊本さん。2022年に全事業主に「パワハラ防止措置」が義務化されて以降、企業や行政機関からハラスメント研修の依頼が増えています。その背景には、リモートワークの浸透により、対面でのやり取りが少なくなったことや、世代ごとの価値観の違いから、誤解やトラブルが起きやすくなっている現状があります。

 「企業には、従業員の生命や身体の安全を守る『安全配慮義務』が課せられています。ハラスメントで、従業員がメンタルの不調を来たせば、企業は義務に違反したと見なされ、法的責任を問われる可能性があります。社会的信用を損なうだけでなく、従業員の離職や休職を招き、生産性の低下や他の従業員への負担増といった二次的な影響も避けられません。ハラスメントには、さまざまなリスクが伴うことを理解しておく必要があります」

 かつて、家政婦の存在が心のよりどころとなったように、カウンセラーは、悩みの中にある人に活力を与えていく存在だと、熊本さんは考えています。

 「どれだけ話を聞き、助言をしても、その人の生活に即した支援でなければ悩みの改善にはつながりません。それが人によっては治療だったり、福祉支援だったり、人間関係の構築へのアドバイスだったりするわけです。頼ってくださった方に何が必要なのか、私自身に何ができるかを常に考えながら向き合っています。不安なことや心配なことがあれば気兼ねなくお声掛けください」

(取材年月:2025年11月)

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自身の経験を糧に、相談者一人一人の生活に寄り添った実践的な支援を提供。医療・福祉・職場など多様な悩みに向き合い、安心して思いを話せる関係づくりを大切にしています

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