家に関する顧客の困りごとを聞き真摯（しんし）に対処する便利屋平須賀陽蔵

家に関する顧客の困りごとを聞き真摯（しんし）に対処する便利屋

平須賀陽蔵

庭の手入れやハウスクリーニング、建具や水回りの修理など幅広く対応

　「忙しくて庭木の手入れができない、照明の位置が高くて電球を交換できないなど、誰に頼めばいいか分からないちょっとした用事は、当方にお任せください。飲食店に勤務する中で培ったコミュニケーション力を生かして丁寧にご要望を伺い、適切に対処します」

　そう語るのは、千葉県八千代市にある「家工房　八千代緑が丘店」の店長・平須賀陽蔵さん。フランチャイズ展開する「おうちの御用聞き家工房」に加盟し、2021年から便利屋として事業をスタート。草刈りや剪定、伐採などの庭仕事、エアコン、換気扇、キッチン、浴室といったハウスクリーニング、建具や水栓、外壁、屋根、雨どいの補修、家財整理など幅広く請け負っています。

　「建付けが悪くなれば、かんなをかけたりヤスリでけずったりしてスムーズにスライドできるようにします。ドアノブが取れたら新品を調達して取り付けます。扉一式を新調せずとも、不便なくお使いいただけるように調整します」

　作業に取り掛かる上で大切にしているのは、依頼主が「どういう完成形を求めているか」を確認すること。例えば水回りに不具合がある場合、ただ直すのではなく使用する部品の種類を説明した上で、依頼主に選択してもらうようにします。
　「割高のメーカーもあれば、同じ機能で価格を抑えたメーカーもあります。一方的に進めるのではなく、それぞれお見積もりを提示してお客さまに納得していただくことを心掛けています」

　拠点を構える八千代市周辺の個人客から法人客まで、「平須賀さんに相談すると大体のことが片付く」とファンが増えているそうです。

自分の裁量で動き、責任を持てる働き方をするため便利屋として独立

　前職では飲食業界に長く身を置いてきた平須賀さん。物を直したり、掃除をしたりすることが好きな性分で、新しい店舗に配属されるたびに厨房や店内を磨き上げていました。「環境整備が第一」をモットーに自分でできることは何でもやってきました。

　「お客さまはもちろん、スタッフも働く場所がきれいだとモチベーションが上がるじゃないですか。従業員用のトイレが汚いとアルバイトさんらがかわいそうなので、ピカピカに磨き、壁紙を貼り直していました。調理場も油汚れでどんより暗い雰囲気になるのが嫌だったので、閉店後に油を拭き取ったり、壁のペンキを塗り替えたりして、明るく清潔感のある空間にしました」

　店内を美しく整えることで思わぬ効果も。アルバイトの定着率が高くなり、さらにはサービスの質も向上して売り上げがアップしました。順調に業績を伸ばしてきたのに新型コロナウイルスが発生します。

　「自分の努力ではいかんともしがたいことが重なり、喪失感がありましたね。いつか自分の店を開くという夢がありましたが、初期投資やスタッフを雇うことにリスクを感じました」

　コロナ禍を機に、自分の裁量で動き、責任が持てる仕事をするために独立を決意。「店舗や在庫を持たず自分の身一つでできて、お客さまの喜ぶ顔を見ることができるのは何かを考えた結果、行きついた職種がこの便利屋でした」と話します。

便利屋は天職。誠実に取り組み、喜んでもらう顔を見ることがやりがい

　休みが取れないほど多方面から声が掛かる平須賀さんですが、開業したての頃は新聞に折り込み広告を出しても反響がない時期もありました。
　「お問い合わせをいただくと『大丈夫、できます』と何でも引き受けました。傷み具合や壊れている状況はさまざまですから、お見積もりに伺った時に製品をチェックして、家に戻り必死に修理方法を調べていました」

　何事にも誠実に取り組む様子が評判となり、リピートで利用する人も少なくないとか。
　「お客さまの言葉に耳を傾ける姿勢が備わっているせいか、『話しやすい』と好評をいただいております。接客業が長いので、身なりに気を配れることも強みとなりました」

　クリーニングなどの作業をしていると「徹底的にやってくれて助かる」「こんなに一生懸命にやってくれると思わなかった」とほめられることもしばしば。対応できない内容があった場合も「できません」で終わらせずに専門業者を紹介しています。顧客から「引き続きお願いしたいので、これからも頑張ってくださいね」と頼られるとうれしく、やりがいを感じると言います。

　「お客さまががっかりする顔を見たくないので、どんな仕事も精いっぱいやらせていただきます。安さを売りにするのではなく、お客さまが納得して対価をお支払いいただき、商売を続けることがお客さまへの貢献だと思います」

　便利屋は「天職」だと自負する平須賀さん。「住まいや暮らしの中で困りごとがあったら、いつでもご連絡ください」と笑顔で呼び掛けます。

（取材年月：2023年11月）

住まいの困りごとや暮らしの中の用事に応え、頼れる存在として活動

庭の手入れやハウスクリーニング、建具や水回りの修理など幅広く対応

自分の裁量で動き、責任を持てる働き方をするため便利屋として独立

便利屋は天職。誠実に取り組み、喜んでもらう顔を見ることがやりがい

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