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助産師が母乳育児などの不安に向き合い、自分で心と体を整える方法を教えます

産後ママの不安や母乳育児の悩みをケアする助産師

今川涼子

今川涼子 いまがわりょうこ
今川涼子 いまがわりょうこ

#chapter1

オンライン相談やアプリを通じて、マタニティから卒乳までをサポート

 母乳をうまくあげられない、おっぱいが張って苦しい、子にイライラをぶつけてしまう、仕事と育児を両立していく自信がない。そんな妊娠中から産後に生じる困りごとや戸惑い、不安に耳を傾けるのは、愛知県一宮市にある「出張助産院Maapallo(マーパロ)」の今川涼子さんです。

 助産師として数多くの赤ちゃんの誕生に立ち合い、産後ケアに携わる中で培った知見や、自身の子育て経験、さらには心理学も取り入れながら、オンラインで相談に応じています。大切にしているのは、自分で自身の心と体を整えられるようになること。

 「母乳育児一つをとっても考え方は人ぞれぞれ。一方的なアドバイスではなく相手の納得感を大事にした提案をさせていただいたり、おっぱいの詰まりなどもご自身でセルフケアできるよう指導しています。また、第一子のお産が大変だったので出産が怖いという方には、助産技術の呼吸法を取り入れたワークや、体づくりのストレッチを一緒に行っていきます。思いどおりにならない育児で感情のコントロールができないという方には、母自身が内観をして原因や対策がわかりスッキリするようカウンセリングを行います」

 乳児期に迷う人が多いのが卒乳のタイミング。無理な断乳によって、母子ともに負担がかかっている現状をなんとかしたいと、無料のアプリも作成しました。

 「家庭の事情やお子さんの成長などにより、おっぱいを卒業する時期は人それぞれ。アンケートに答えていくと適切な時期が分かるほか、卒乳までのスケジュール機能も備えています。専門知識に基づき、母乳の分泌を少しずつ減らしていけるよう工夫しています」

 アプリには、出産直後から授乳期に役立つ動画も数多く紹介。入院中の授乳指導だけでは足りない情報を網羅しており、復習に活用できるのも特長だと言います。

#chapter2

母乳が十分に出ないといった悩みに、自宅に訪問してきめ細やかに指導

 今川さんは、一宮市内とその近隣市であれば訪問もしています。母乳が十分に出ない、赤ちゃんがうまく吸ってくれない、痛くておっぱいをあげるのがつらいといった場合に、自宅に出向いてケアを行っています。赤ちゃんの発育状態や母親の姿勢のくせ、乳房の大きさ・形などに合わせて、きめ細やかに授乳指導をしています。

 「出産したら母乳が出るのが当たり前と思っている人も多いですが、そうではない場合も多いです。乳房が硬くなっているなら、柔らかくする施術を行いますし、飲ませ方に問題があれば、赤ちゃんの支え方やお口の当て方などをお伝えします」

 これまで2500件以上のケアに携わった経験知で、的確に原因を判断しアドバイス。母乳育児を続けていくために必要なセルフケアも手ほどきします。利用者からは、「ストレスから解放されて、気持ちが楽になった」「しっかりと飲んでくれていることが実感できる」といった声が届いているとのこと。多職種とも連携し、セルフケアでは難しいケースも適切に対応します。

 「赤ちゃんの舌の動きに原因があるなら口腔筋機能の改善に力を入れている小児歯科を紹介したり、重い乳腺炎で薬が必要なときは乳腺外科につないだりします」

 母乳に関することだけでなく、夫や周囲との関係性など母親が抱えている不満や疎外感も受け止め、孤立しがちな産後を精神面からも支えます。
 「出産後わずか数日で退院して手探りの育児に、心細い思いをしているお母さんも多いことでしょう。何でもお話しください」

#chapter3

産後ケアの重要性を実感し、心理学やコーチングを学びママの心身をケア

 今川さんは、2003年に看護師資格を取得し、三重県四日市市内の病院に勤務。さまざまな診療科に従事する中で、命の誕生に関われる助産師の仕事に惹かれるように。病院を退職し、助産師を養成する学校に入りました。
 2012年からは愛知県一宮市内の病院の産科病棟に勤め、やがて自身も妊娠、出産。しかし、助産師としての知識が通用したのは、出産までだったと振り返ります。

 「子どもの成長段階で次々と悩みが生じて、インターネットで調べるけれど納得いく答えは得られず、もやもやしていました。自分だけでなく、周りのママ友も同じように悩んでいたんです」

 産後ケアの重要性を痛感し、エクササイズやセルフケアのプログラムを受講します。
 「心身の回復に手ごたえを感じるとともに、これまでの職務の中で、その人自身が持っている力を引き出すことができていたかなと顧みる契機にもなりました」

 女性をサポートしていくためのノウハウについて学び直し、2016年に開業。より深く一人一人に寄り添った支援をしたいと、心の動きを理解する心理学や個々に気づきをもたらすコーチングも勉強し、産前産後の不安定な心にもアプローチするようになりました。

 「『Maapallo』とは、フィンランド語で地球や大地という意味で、命を育む母性をイメージして名付けました。妊婦さんやママさんがコミュニケーションを取れるサロンなども開いています。これからも、母と子の心身の健康に貢献していきたいですね」と笑顔を見せます。

(取材年月:2023年11月)

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専門家プロフィール

今川涼子

産後ママの不安や母乳育児の悩みをケアする助産師

今川涼子プロ

助産師

出張助産院Maapallo

助産師としての知見や育児経験、心理学を取り入れたケアで、のべ2,500以上のママをサポートしています。妊娠中から卒乳までのさまざまな相談に対応。自分で心と体を整える方法をオンラインと対面で伝えます。

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