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Mybestpro Interview

一人一人が得意分野を生かすことで、最高のパフォーマンスを発揮

個性豊かな職人たちをまとめ上げるコーディネイター

朝倉昌和

個性豊かな職人たちをまとめ上げるコーディネイター 朝倉昌和さん
朝倉昌和さん 仕事風景

#chapter1

職人には、得意不得意がある

 「例えば、水泳選手の中にも、クロールが得意な人と平泳ぎが得意な人がいるように、同じ種類の工事をする職人さん一人一人にも、得意な分野と不得意な分野があります」と話すのは、自身も石職人として長年の経験を持つ、株式会社プラスストーンの代表の朝倉昌和さん。朝倉さんは、「そんなそれぞれの職人さんの得意不得意を知った上で仕事を依頼することで、よりやりがいやこだわりをもった仕事をしてもらうことができます」と続けてくれました。

 プラスストーンが主に請け負っているのは、住宅や店舗などの石工事、タイル工事、左官工事などになります。「依頼される現場によって、現場の状況や範囲、求められる技術などはそれぞれに異なります。仕事をお願いする職人さんたちはベテランの方が多いので、お願いすればどんな現場でもそつなくこなしてもらえることは間違いありません。でもあるとき、ふと考えたんです。『それだけでいいのだろうか…』と。同じ仕事をするのであれば、職人さんにもなるべく自分の得意な仕事や、やりたい仕事をやってもらいたいし、その方が仕事も楽しいはず。そこで私は職人さん一人一人に『あなたが一番得意なことは何ですか?』『一番やりたいのはどんな仕事ですか?』と聞くようになりました」。そうやって本音を聞き出すことで、職人さんたちとはそれまで以上に深いコミュニケーションが取れるようになったとか。今では、取引先から依頼を受けるとすぐに、「この工事ならあの人が得意そうだな」という顔が浮かぶといいます。

#chapter2

社会に対して、より責任ある仕事をするために法人化

 そんな朝倉さん自身も、現役の石職人。自営業で石工事を営む家の長男として生まれ、高校を卒業すると同時に、父親の元で修行を始めました。しかし、その直後、環境が一変します。朝倉さんが職人として働くようになって間もなく、父親が病気で亡くなってしまったのです。さすがにそのまますぐに事業を継ぐわけにはいきません。そこで別の石職人の元で修行をするようになるのですが、その親方から「家族を養うためにも、もっと稼げる働き方をした方がいい」とアドバイスをもらい、職人経験わずか3年あまりで独立をすることに。その後、2人の弟が自立するまでの12年間、一家の大黒柱としてがむしゃらに仕事に打ち込む毎日だったそうです。

 弟が自立して経済的にも落ち着いたことで、「もう一度、イチから学びたくなった」という朝倉さんは、改めて石工事の会社に入ります。そこで学んだノウハウをもって、数年後に再び個人事業として独立。しかし、ここでまた大きな転機が訪れます。自分に子どもが生まれたのです。「自分の子どもが生まれて改めて、もっと社会に対して責任を持たないといけないなという気持ちになり、法人化を決意しました」。自分が社会に対してどんなことができるのかを考えたとき、真っ先に浮かんだのが、自分が若い頃に助けてくれたベテランの職人さんたちに恩返しをすることでした。「職人さんたちの中には口下手な人も多いので、法人化することで自分がその点をフォローできれば、と考えました」。これが、同社が運営する“職人舎”の始まりです。

株式会社プラスストーン  施工事例

#chapter3

若い人たちにも、モノづくりに楽しさを知ってもらいたい

 「“職人舎”は、元請け企業さまと職人さんをつなぐプラットホームのようなもの」と朝倉さんはいいます。「元請け企業さまにしてみれば、高品質な施工を求めて当たり前。ではそれをどうやって実現するかというと、やはり『その工事が得意な職人さんにお願いする』のが一番です。『職人舎に相談すれば、いつも発注した工事にぴったりの職人さんが来てくれる』そんな集団を目指しています」。例えば現在は石工事だけでも、個人宅の庭の石工事、ホテルロビーなどの店舗の石工事、神社の石工事など、案件に合わせて得意分野の異なる職人さんに振り分けているそうです。

 そしてさらにもう一つ、朝倉さんには別の目標があります。「あらゆる業界が職人の後継者不足に悩む中、建築業界も例外ではありません。“職人舎”を通じて、若い方が建築の楽しさややりがいにふれる機会をつくっていければと考えています。また将来職人を目指してもらうためには、その仕事がしっかりと稼げる仕事であることも大切な要素。これらが上手くマッチすることで、職人の仕事が若い世代の職業の選択肢の一つになってくれればと願っています」。職人さん一人一人が得意なことを活かして、生き生きと働くための場所として生まれた“職人舎”。「いろいろな得意分野をもった職人さんが集まって、“職人舎”の職人さんだけで家が建てられたら面白いですよね」とも語ってくれた朝倉さん。その目はやはり経営者というよりも、建築の面白さを知っている“職人の目”でした。

(取材年月:2019年6月)

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石工事、タイル工事、左官工事を請け負う職人たちの中にも、それぞれ得意不得意な分野があります。そんな一人一人が「得意なこと」「やりたい仕事」を理解することで、最高のパフォーマンスが発揮しています。

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