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安江国昌

買い主の味方であることにこだわる住まい探しのプロ

安江国昌(やすえくにまさ) / 宅地建物取引業

フリープラス合同会社

コラム

なぜ高齢者に貸したくないのか|大家のホンネ

2024年4月22日

コラムカテゴリ:くらし

FREEplus(フリープラス)です。
石川県金沢市の小さな不動産屋です。

『高齢というだけで賃貸契約を断られ、住まいの見つからない老人が増えている』
そんなショッキングな記事を読みました。

生きるのに欠かせない「衣食住」ですが、とりわけ「住」は誰にとっても、何歳になっても必要不可欠な生活基盤です。
「貸さない大家や不動産会社が悪い!」という論調も見受けられますが、今回はあえて家主(大家)側の事情を解説したいと思います。
この問題の見方が、少しだけ変わるかもしれません。

まずあまり知られていないのですが、賃貸借契約は財産権なので、契約を結んだ賃借人が亡くなった場合、契約はその相続人に相続されます。
賃借権だけでなく、部屋の中の物もすべて相続人の財産になります。
家主側は勝手に撤去できないので、相続人に片づけてもらうか、処分の同意を得ることが必要です。

たとえば身寄りのない単身高齢者が亡くなった場合、家主側はまず相続人を探す必要があります。
相続人と賃貸借契約を解除して、部屋を片付けないと、別の入居者に貸すことができないからです。
相続人が複数になる場合、法律上は相続人全員との解約手続きが必要です。
しかし個人情報の保護が叫ばれる現代では、相続人を探して連絡を取るのは非常に難しいことです。
利害関係者であったとしても、民間人である家主が相続人を探すのは大変な負担です。

もし相続人を確定できても、行方不明などで連絡が取れない場合があります。
もし行方不明であっても手続きは必要ですので、不在者財産管理人を選任して、その管理人と手続きを続けることになります。

また、ようやく見つけた相続人が相続放棄してしまうこともあります。
そもそも賃借人との関係が希薄な場合、亡くなった賃借人が多額の借金や家賃の滞納をしているかもしれず、後から借金取りが来ても困ると考え、相続放棄を選ぶのも致し方ないと言えます。
相続人が相続放棄し、次順位の相続人も相続放棄するなど、相続人が誰もいなくなった場合には、民法上は相続財産清算人を選任申し立てし、その清算人と手続きを取っていくことになります。
相続財産清算人はボランティアではないため、賃借人の資産から報酬が得られなければ辞任することもありえます。
辞められると家主側は何もできないため、一時的に費用負担をすることになります。

家主側はこれらすべての手続きが終わるまで、その間の賃料を得ることができません。
手続きが完了するまでに数年かかることもあり、その間の諸々の支払いも含めて、家主側に多大の負担がのしかかってしまうのです。

これが、家主側が「できれば高齢者、とりわけ単身高齢者に貸したくない」と考える実情です。
今後、単身世帯が増えていく中、この問題はさらに深刻になっていくはずです。

この先も賃貸物件に住み続けたいと思っていても、いつかは高齢者になります。
生活基盤である「住まい」を確保するにはどうすればいいのか、を今から考えておくことをおすすめします。
よろしければ、ぜひ私たちにご相談ください。

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