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装いや足になじみ、日常に溶け込む靴作り・修理を通して多くの人を笑顔に

靴を通して人を笑顔にする靴のオーダーと修理のプロ

三森勇太

三森勇太 みつもりゆうた

#chapter1

パターンオーダーを手掛け、ソール交換など修理実績も豊富

 丸みを帯びた愛らしいフォルムで強く主張せず、装いにすっと溶け込み、足にすんなりなじむ。そんな靴を生み出しているのは、山梨県甲府市で「靴工房YUTA MITSUMORI」を営む三森勇太さん。ひもで編み上げたレースアップタイプのシューズやブーツを展開しています。

 「つま先が丸いのは、僕がかわいらしい靴が好きだからなんですが、足の形にも近く履き心地がいいんです。修理を重ねることを前提にしていて、日常でも気軽に、末長く活用してもらえたらいいなという思いで作っています」

 開業から多数の靴を製作。パターンオーダーにより、顧客の好みや足の悩みに寄り添った、その人のためだけの一足を仕立てることも可能です。

 「約19〜30cmまで木型があり、お客さまのサイズに一番近い型を選んでから足を測り、微調整してデザインを乗せていきます」

 自身が作った靴はもとより、他店で購入した商品でも修理している三森さん。手掛けた数は2000足以上に及びます。擦り減ったかかとや靴底全体のオールソールを交換したり、足を出し入れする履き口のほころびを繕ったり、キズが入ったヒールの巻き替え・高さカット、滑り止めのゴム張り、ツヤ出しのクリーニング、補色と幅広く応じます。

 「お客さまとお話して、この靴だったらどういうニュアンスで直すとか、こんなテイストが好きだろうなというのが分かるので、その場で素材などを提案しています。こだわりがある人だと『こういうふうにして』と持ってきてくれることもあり、細かいニーズに対応しています」

#chapter2

原点は小学5年生で工作したダンボールの靴。靴作りへの情熱を燃やし起業

 三森さんが靴作りに興味を持ったのは小学5年生のとき。図工の時間に工作したのがきっかけでした。

 「当時、ソールに空気の層“エア”が入っているスニーカーがはやっていて、ラップなども駆使してダンボールで作ったら、結構先生に褒められました。でも履いたら破れてしまい、靴はどうやってできているのだろうと考えるようになりました」

 大学生になってからは週に1回のペースで東京の教室に通い、製法を習うように。大学卒業後は製靴科がある都内の学校で学んだのち、婦人靴メーカーに就職。その後も修行を積み、2018年7月に工房を立ち上げました。情熱をもって仕事に打ち込みますが、ジレンマを抱えることもあったと語ります。

 「リペア(修理)に来たお客さまに『料金が高いから新しいのを買うわ』と言われたことがあって。値段を言うのが怖くなった時期もあり、ずっとモヤモヤしていました」

 例えばオールソール交換の場合、1万円を超えることも少なくありません。また、一足一足手作業のため1日がかりになることもあり、完成までには時間がかかります。手間ひまをかける背景には、少しでも長く履いてほしいという確固とした願いがあります。

 「金額のことを友達に相談したら、どんな思いでやっているのかと聞かれました。僕としてはその場しのぎではなく、5年、10年と使ってもらうことが本望です。友人に『真意をしっかり伝えてみたら』とアドバイスをもらってからは、自分の中の芯を大切にして接客できるようになりました」

#chapter3

「靴を修理して履いてもらう文化」を築き上げ、地元・山梨から全国へ

 自らの信念に従って靴と真摯(しんし)に向き合う三森さん。目標は「修理して履いてもらう文化を築くこと」だと言います。

 「破れても擦り切れても、手入れをすれば再び足元を彩ってくれることを伝えるために、ワークショップを開くことも検討しています。壊れたからと捨てず、お気に入りとたくさん出掛けてもらえたらうれしいですね。いつまでも愛用していただけるように、私自身も日々勉強して進化していくつもりです」

 子どもの頃から人を笑わせるのが好きだったこともあり、事業を通して目標があるそうです。
 「僕の靴を履くことで明るい気持ちになってもらい、皆さんを笑顔にしたいんです。毎日を楽しんでほしいので、特別なシーンで選ぶというよりも、生活の一部になってほしいと考えています」

 三森さんが製作する靴の内側には、「ユニークでゆたかなあい」の刻印が施されているのも特長です。
「この言葉は僕にとって靴作りのテーマであり、人生のテーマでもあります。ちらっと見える素朴で優しい字体から唯一無二の愛を感じ取り、気分を上げてもらえたらと思っています」

工房には、ブラウンやブラック、ブルーにイエロー、レッドなど多彩なカラーがそろい、草花の絵柄をあしらった繊細なタッチも。

 「まずは地元で認知度を上げて靴のオーダーと修理の店があることを知っていただき、ゆくゆくは他県からも足を運んでもらえるように、山梨のいいところも合わせて発信していきたいですね」

(取材年月:2024年9月)

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三森勇太

靴を通して人を笑顔にする靴のオーダーと修理のプロ

三森勇太プロ

靴職人

靴工房YUTA MITSUMORI

かかとや、つま先の細かい部分からオールソール交換まで自社で修理。顧客と話しながら素材を提案し、一人一人のこだわりを大切にします。「履いたら気分が上がる」、靴好きによる靴好きのための靴を提供。

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