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大切なジュエリーを生まれ変わらせ、かけがえのない思いや思い出を紡ぐお手伝い

熟練技で思い出の品を生まれ変わらせるジュエリー加工のプロ

芦沢一也

芦沢一也 あしざわかずや
芦沢一也 あしざわかずや

#chapter1

「最良の提案」をモットーに希望をくみ取り、ジュエリーをリフォーム・修理

 古くから金峰山一帯を中心に水晶が産出され、宝石産業が発展した山梨県甲府市で「ジュエリー工房カズヤ」を営む芦沢一也さん。主にリフォームや修理を手掛け、1983年の創業以来、4万点以上のジュエリーを制作してきました。

 「私どもは、感情的・情緒的価値と言われる『センチメンタルバリュー』を大事にしています。恋人時代に初めてもらった品、母や祖母から譲り受けたものなど、皆さまにとって大切な記憶をよみがえらせ、親から子、孫へと歴史を紡ぐお手伝いをしています」

 そう話す芦沢さんのもとには、「家族の形見の指輪を普段使いがしやすいペンダントにしたい」「自身の婚約指輪を嫁ぐ娘に贈るために現代風のデザインに変更したい」といった要望が数多く寄せられます。

 「お客さまの気持ちに寄り添うのではなく重なるように、何を望んでいるのか丁寧に親身にくみ取ることを心掛けています。かけがえのない宝物ですから、『売るための提案』ではなく、『お客さまにとって最良の提案』をモットーとしています」

 甲府市内にはたくさんの宝石店や工房がありますが、お直しなどを顧客からじかに請け負っているところはほとんどないとか。一般的にはメーカーや工場を経由して委託されるので、顧客とやり取りすることが難しいうえ、価格も高くなりがちだと言います。

 「当方では、職人である私が直接対応しているので、お客さまの希望を細やかに反映できるのが強みです。もともと卸業で中間マージンが発生しないため、リーズナブルな価格でご案内できるのもお客さまにとってはメリットだと感じています」

#chapter2

27歳で独立し、ジュエリー一筋で約40年。伸び縮みするリング台も開発

 子どもの頃から、プラモデルやおもちゃを作ったり直したりするのが好きだった芦沢さん。細かい作業が上手だったこと、生まれ育った甲府が宝石の街で身近にいる職人の姿を見て育ったことから、高校卒業後は宝飾の道へ進むことを決意します。

 「最初から独立するつもりで修業に臨み、親方のもとで8年間、加工技術を徹底的に学びました。手を動かしながら話をするのが苦手な人は多いですが、私は手を動かしながら話すのも得意だったので、親方の友人に週末に駆り出され、接客や営業の仕事を任されました。休みはありませんでしたが、きれいに成形する技術とコミュニケーションスキルを同時に磨けて、とても楽しかったですね」

 27歳で独立した芦沢さんは、県内外の宝飾店約60軒から依頼を受け、加工や修理を担当。また全国の宝飾店で、年間30〜40回の「リフォーム相談会」を開催。延べ1000回以上に及ぶイベントの中で数々の声に耳を傾け、伸び縮みするリング台「快適ジャフィー」を開発しました。

 「あるお客さまから『孫に指輪をもらったけれど入らない』とお聞きしました。ご本人にとって替えがきかない唯一無二の品であり、どうしても着けたいという思いに応えたくて、快適ジャフィーを作りました」

 年齢を重ねてサイズが変わり諦めている人も、リングを気軽に着用してほしいと呼び掛ける芦沢さん。「思い出が詰まった品を再び身に着けることができる」「指にぴったりはまる」といった声が届いているそうです。

芦沢一也 あしざわかずや

#chapter3

ジュエリーに親しみ、若い世代に興味を持ってもらえる場所づくりが目標

 郵送などで全国からオファーを受け付けるほか、妻と娘と3人体制で訪れる人を迎え入れ、アットホームな雰囲気の工房を運営している芦沢さん。「預けるのは心配」という場合は目の前で加工するなど、不安を和らげる配慮もしています。

 「娘は宝石の専門学校を卒業し、ジュエリー店で接客経験を積んだ後、現在は工房で働きながらコンピューターで3D設計するCADを学んでいます。接客に関する考え方は娘と私で共通しているので、近い将来は経営をバトンタッチすることも視野に入れています。私の事業をそのまま受け継ぐというよりは、ブライダルとかベビーリング関係とか彼女なりの構想がいろいろあるようです」

 朗らかな表情で語り、職人、デザイナーとして新しい道を切り開く娘に期待をする芦沢さん。自らも工房を切り盛りしながら、甲府市の青少年育成推進協議会に加入したり、青色防犯パトロール隊を発足して定期的な巡回活動を続けたり、地域貢献にも積極的に取り組んでいます。ゆくゆくは、地域の子どもたちがジュエリーに親しめる場所を作りたいと展望を描いています。

 「子どもがお母さんや好きな相手へのプレゼントとして、気軽にジュエリーを創作できる場を設けたいんです。かつて私が喜ぶからと、近所の人が壊れたおもちゃなんかを持ってきてくれて作り直したりしたように、自分も子どもたちが夢中になれる機会を提供してあげることが目標です。ものづくりを通じて、若い世代が宝石に目を向けてもらえたらうれしいですね」

(取材年月:2025年3月)

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芦沢一也

熟練技で思い出の品を生まれ変わらせるジュエリー加工のプロ

芦沢一也プロ

宝石貴金属の加工職人

ジュエリー工房 カズヤ

ジュエリー加工の相談から施工まで、熟練の職人が一貫して対応。顧客の要望をジュエリー職人が直接ヒアリングし、自らの手で丁寧にリフォームを行い、大切な思い出を一つ一つ形にします。

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