環境に適した機能を取り入れ、快適な住まいを提供する建築のプロ藤樫義輝

環境に適した機能を取り入れ、快適な住まいを提供する建築のプロ

藤樫義輝

気密性や耐震性に優れたツーバイフォー工法と、効率的な全館空調システムを採用

　「夏は涼しく、冬は暖かい生活をかなえたい」「地震の際に倒壊しないか心配」といった声に応えるのは、富山市の建築会社「創建社」の代表・藤樫義輝さん。注文住宅をはじめ、アパート、社会福祉施設、事務所や店舗など多岐にわたる建物を設計・施工しています。

　「家はゆっくりとくつろいで心身を癒やす場です。当方は、ご家族が心穏やかに、健やかに過ごせる環境づくりを何より重視しています」

　外気温に左右されず、強固な住まいに仕上げるため、藤樫さんは断熱性と耐震性に優れた「ツーバイフォー工法」を採用。規格材を用いた木造枠組壁工法として普及しています。

　「壁板や床板といったパネルを張り合わせて六面体の箱を作るので、気密性が高く冷暖房の利きが良くなります。面で構成することで力を分散し、揺れにも強いので、地震の多い日本にも適しています。能登半島地震においても、当社が施工したツーバイフォー住宅に大きな被害はありませんでした」

　さらに「Z空調」という全館空調システムを採用。天井に埋め込んだ大型エアコンの風をくまなく循環させることで温度ムラをなくし、夏も冬も家全体を一定の室温に保ちます。隙間ができにくく高気密・高断熱のツーバイフォー工法との相乗効果で、省エネと快適性を実現しています。

　「Z空調は、風の流れを感じることなく、適温の空気が自然に柔らかく広がっていきます。寒暖差によって疾患を引き起こすヒートショックや熱中症の予防にもつながりますし、小さいお子さんや高齢の方がいる家庭には特におすすめです」

戸建て感覚で独立性が確保できるメゾネットタイプのアパートを展開

　20歳の頃に建築業界に足を踏み入れた藤樫さん。大工や現場監督、営業などさまざまな分野に携わり、1981年に「創建社」を創業しました。

　「図面を引いて空間を描く設計が好きで、独立した当初は店舗を専門にしていましたが競争が激しく。住まいにも関心を持ち、店舗のハイセンスなデザイン性を取り入れた住宅の設計も請け負うようになりました」

　大きな転機となったのは、40歳を過ぎた頃。住宅性能の向上について思案していたとき、ツーバイフォー工法と出会います。

　「当時は柱や梁を組み上げる在来工法が主流でしたが、木材の見極めは熟練を要します。作業を標準化できるツーバイフォーは今後の標準になると確信しました」

　資材を事前に加工するプレカットにおいて品質を維持し、工程を円滑にするには自分たちで管理した方が良いと考えた藤樫さん。自社プレカット工場を立ち上げます。

　「現場で、短時間で組み立てられるように、壁パネルに断熱材や窓をあらかじめ組み込むなど工夫しています。一貫した施工体制にすることで、クオリティーとスピードを両立できるようになりました」

　リーマンショックで住宅の着工数が落ち込んだときには、協力・関連業者の失業を防ぐためにアパート建築に注力。戸建て感覚でプライバシーを確保できるメゾネットタイプはすぐに満室となり、現在では約300世帯が入居しています。

　「オール電化のメゾネットタイプのアパートで、1階は床暖房を備えたリビングとダイニング、洗面、UB、WCの生活の場をまとめ、2階には夫婦の寝室と子ども部屋2部屋、そしてサンルームを設けています。一軒家を望むお客さまからも『独立性が高い』とご好評をいただいております」

家計と環境負荷を低減する太陽光発電システムのスマートハウスも提案

　藤樫さんは近年、暮らしを支える仕組みづくりに注力。省エネにより、家計と環境への負荷を低減するスマートハウスを提案しています。

　「太陽光と蓄電池、EV（電気自動車）充電システムで自家発電すれば、停電しても1週間は自宅で過ごせます。災害に備え、地球の温暖化を防ぐためにも、再生可能エネルギーを取り入れましょう」

　また、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームなど、細やかな配慮が欠かせない施設にも培った知見を発揮。これまでに、富山県内の福祉施設を数多く手掛けてきました。

　「木のぬくもりにあふれ、冷暖房効率が良いツーバイフォーやZ空調が生きる分野です。入居者さまや利用者さまに心地よい空間をお届けしたいですね」

　40年以上にわたり事業を営んできた藤樫さんが大事にしているのは、変化に対応する柔軟性。従業員にも常に伝えているそうです。

　「床暖房でお子さんやペットとポカポカと暮らす家、二酸化炭素を排出する石油やガスに頼らないオール電化のクリーンな家など。世の中のニーズに合わせて進化していく姿勢を、次の世代にも受け継いでほしいと願っています」

　臨機応変に、新しい挑戦を恐れない藤樫さん。今後も地域に必要とされる存在でありたいと語ります。

　「会社を続けてこられたのは、力を貸してくれる職人さんや取引先、ご用命くださるお客さまのおかげです。人とのつながりを大切にしながら、求められる住まいづくりをしていくことが、私たちの使命だと思っています」

（取材年月：2025年9月）

「夏は涼しく、冬は暖かく」。適温が行き渡る環境づくりで快適で心地よい暮らしへ

気密性や耐震性に優れたツーバイフォー工法と、効率的な全館空調システムを採用

戸建て感覚で独立性が確保できるメゾネットタイプのアパートを展開

家計と環境負荷を低減する太陽光発電システムのスマートハウスも提案

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