ゴルフクラブチューニングのプロ安田義広

ゴルフクラブチューニングのプロ

安田義広

ゴルフクラブのお医者さん

　スポーツで好成績を目指すなら、道具にこだわりたいものです。ドライバー、アイアン、ウェッジ、パター、とさまざまなクラブを使い分けるゴルフならなおさらです。「あのプロが使っているから！」「ネットの評価が高かったから！」はクラブを選ぶ理由にはなるでしょう。ただクラブは自分の体の延長線。他の人が好結果だからと言って自分にとってベストとは限りません。

　「何を選び、どのように調整したらいいのか？」。そんな悩みや疑問にズバリ答えてくれるのがファーストゴルフ工房の社長、安田義広さん。県内でも数少ないゴルフクラブの修理やチューンナップ・メンテナンスが専門のショップです。道具の健康状態を診てお客様に最適のクラブを提案し作り上げる“ゴルフクラブのお医者さん”のようなクラフト技術の持ち主でスコアアップを目指すゴルファーの心強い味方です。各種メーカークラブ、用品の販売もしています。

　「体力や体格、スイングは人それぞれ違います。だから、自分に合ったクラブを使うことが上達への近道！」と安田さんは話します。例として挙げたのが、「スライスして飛距離が出ない人はスライスしにくいクラブを選ぶ！」「球が上がりにくい人はロフトを多くしてキャリーを伸ばしたほうが飛距離が伸びる！」といったケース。「自分に合わないスイングを練習するよりも自分に合ったクラブにするほうがゴルフはやさしくなり、スコアアップも早いですよ」と力を込めます。アマチュアゴルフの大会で優勝する実力の持ち主の言葉には説得力があります。

移動工房車がその場で手軽にチューンナップ

　神通川に架かる有沢橋西詰、堤防道路を北に進むと見えてくるのが、ファーストゴルフ工房です。フェアウエーを思わせる緑の看板が目印で、1階は厳選した用品を扱う店舗及び工房、隣接するプレハブ2階にはスカイトラック（弾道測定器）を完備した試打席を備えています。ヘッドスピードやミート率、スイングテンポなどが計測でき、お客様のスイングを見ながらその人に合ったクラブを一緒に考えます。

　独自のサービスが移動工房車です。工具を備え、試打クラブやシャフト、グリップなどを積み込んで県内各地の練習場に出向きます。お客様は実際に打ってみてその場でパーツ交換や修正が出来るため、重宝がられています。

　修理・チューンナップは持ち込みもOK！「製品には必ず個体差があり、カタログ通りになってない物も多いです。中古品なら前の持ち主の癖が入ったり、調整していたりする事があるので調整は必ず必要です」。簡単に思われがちなグリップ交換でも、安易に取り換えるとクラブ全体のバランスを崩しかねません。なによりグリップは身体とクラブをつなぐ唯一の接点となるパーツです。滑ったり、なじまなかったりするとクラブとの一体感は生まれず、満足のいくショットが打てなくなります。

　アドレスや球筋によってライ角を調整したり、距離のバラつきや弾道によってロフト角を調整したりします。クラブの生命線ともいえるシャフト交換はゴルファーのスイングにより振り心地、弾道、飛距離を見極めたうえで最適な物をお勧めしているそうです。

　「当店でクラブを買っていただいたお客様の『もう少しこうしてほしい！』とか『ここが合わないんだよねー』といったアフターメンテナンスや品質管理は自信をもって保証します」。クラブに関する知識や競技ゴルフの経験値、クラフト技術は信頼が厚く、県外からもお客様が訪れるほどです。

2020年、県アマゴルフで2度目の栄冠に

　ファーストゴルフ工房は、亡くなった父の義昭さんが1982年に設立しました。幼いころから父の仕事を間近で見てきた安田さん。21歳で本格的に家業に携わり、ゴルフを始めました。わずか2年半でシングルプレーヤーに。「そりゃぁ、必死ですよ」。思い出すのは、確かな職人の技を持ち、インストラクターとしても慕われていた父の姿です。「実績のない人間の話なんて誰も聞いちゃくれないでしょう。技術と腕、両方があって初めてお客様に的確にアドバイスができるんです」

　忙しい仕事の合間を縫って週に4、5回は練習場で腕を磨いています。積み重ねた努力で呼び込んだ栄冠が今年9月に開かれた富山県アマゴルフ大会での優勝でした。プレーオフにもつれ込んだ接戦を制し、9年ぶり2度目の頂点に立ちました。最終日は5位スタート。激しい雨が降るコンディションの中、正確さを重視しました。同じ組の若手が長い距離のショットを狙う中、確実に刻んでパーを積み重ねました。初優勝した9年前の大会は、荒天で初日が中止となり、1日だけの戦いでした。「2日間の戦いでもう一度優勝したい」。長年の念願がかなったラウンドでした。

　工房は2022年に40周年を迎えます。この間、ゴルフを取り巻く環境は大きく変わりました。全国1000万人とされたゴルフ人口は今650万人ともいわれます。「高齢化に人口減でパイは小さくなりましたが、熱心なゴルフ愛好者は300万人のまま変わらないといわれています。ゴルフは世代や男女を問わず楽しめる魅力あるスポーツ。打つ喜び、ラウンドを回る楽しみを道具のサポートを通じてしっかり伝えていきたい」。そう語る安田さんの表情には、ゴルフ文化を後世に残していくという使命感にあふれていました。

（取材年月：2020年10月）

自分に合ったゴルフクラブでスキルアップ

ゴルフクラブのお医者さん

移動工房車がその場で手軽にチューンナップ

2020年、県アマゴルフで2度目の栄冠に

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