クリニックを開業したい医師を支援する伴走型店舗開発の専門家奈良篤樹

クリニックを開業したい医師を支援する伴走型店舗開発の専門家

奈良篤樹

物件紹介から設計、施工を一気通貫する「クリニック工事LAB.」を運営

　「独立開業したい」「分院を作りたい」との声に応えるのは、医療クリニックの内装工事に特化した「クリニック工事LAB.」を運営する「瑞祥」代表・奈良篤樹さん。物件紹介から設計、業者入札、施工管理、アフターフォローまでを一気通貫し、個人医師や医療法人から引き合いがあります。

　「医院を開く際、物件探しは不動産会社、デザインは設計事務所、施工は工務店と委託先をご自身で探すのは大変です。また、いろんな業者に分業で依頼すると、それぞれが利益を最大化しようとするので、コストもかさんでしまいます。オープンに至るまでの工程を一貫して取りまとめることで、バランスが取れた予算配分をできるのが当方の強みです」

　奈良さんいわく、ワンストップでクリニック開業を支援している事業者は、日本で数社しかないのだとか。東京都墨田区を拠点に、全国から舞い込むオファーに対応しています。

　「新規開業するにあたり、どこに相談していいのか分からない先生は少なくありません。加えて、先生たちは社会的な地位や立場もありますから、悩みを吐き出す場所がなかったり、失敗できないというプレッシャーがあったりするでしょう。豊富な実績を持つ私どもが先生方の思いに寄り添い、理想とする医療を提供できるよう環境を整えます」

　耐火性、感染症対策のための通気設備、車いすユーザーや足元が不安な高齢者らに配慮したバリアフリーの動線、プライバシーを確保した診察室や処置室のレイアウトなど。多角的な視点で来院者が快適に過ごせる空間をプランニングしています。

クリニック開業において適正価格を実現するため、施工業者の入札システムを導入

　大学卒業後、大手ホームセンターに勤め家具販売や店舗開発に従事していた奈良さん。医療法人を運営する企業へ転職し、医院の立ち上げや広告戦略に携わる中で、クリニック開業における適正価格の実現に注力しました。そこで構築した入札システムの仕組みを、クリニックの内装業者らの選定にも応用することを発案し、不動産会社に移ります。

　「入札制を導入すれば、価格交渉を行わずに最安値を達成できるのです。説明会を開催して落札に臨む業者を一堂に集めると、ライバルが何人いるのか、どれくらいの金額を出してきそうかというのをお互いに予測してけん制し合い、本気の数字を書いてくれます。切磋琢磨して競争することによって安い金額を実現することができ、50％ものコスト削減に成功した事例もあります」

　医療業界にも適正価格の工事を提案すべく、誠実さを意味する“インテグリティ”を事業理念に掲げ、2023年に「瑞祥」を設立しました。

誰にどんな医療を提供したいのか、ペルソナやビジョン設定からサポート

　会社を退職し、わずか1カ月ほどで起業した奈良さん。創業以来、適切な価格へのこだわりを持ち続けています。

　「高額になれば負担が増し、開業する先生が減りますよね。本来は1億円で収まるのに、3億円もかかったらどうでしょう。三つの院を構えるチャンスを逃したことになり、これでは医療は広がらない。つまり、不適切な価格は医療の発展を阻害しているのです。ケアを求めている人のためにも適正価格で開院を後押しすることは、社会貢献につながると信じています」

　さらに奈良さんは「医療はサービス業である」と考え、絶対衰退しないという説に一石を投じます。

　「例えば子持ちのファミリー層など、企業がターゲットを絞ってニーズに応えるのと同様、誰にどんな医療を届けていきたいのか、対象とする人物像を明確にしてメッセージを発信するペルソナ設定が必要です。競合が少ないエリアへの出店を望む方もいますが、需要がない場所では集患は期待できません。自院ならではの特長を打ち出し、他院と共存共栄していくことが大切です」

　診療科目を軸に地域連携で在宅療養を援護するなど、医師が目指す姿を一緒に考え、立地選びから施設づくりまで伴走型のコンサルティングでサポートしています。

　「クリニックの成功に欠かせないのは、『患者さんのために』といったご自身の志を形にする過程をワクワクと楽しむ気持ちです。長年の経験で培ったノウハウを駆使して、先生方のビジョンをかなえるお手伝いをできればと思っています」

（取材年月：2024年12月）

伴走型のコンサルティングで、理想の医療を提供するクリニック開業をトータルに支援

物件紹介から設計、施工を一気通貫する「クリニック工事LAB.」を運営

クリニック開業において適正価格を実現するため、施工業者の入札システムを導入

誰にどんな医療を提供したいのか、ペルソナやビジョン設定からサポート

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