時代の変化に合わせ50年以上技術を磨き続ける商品撮影の専門家
萩元賢一
Mybestpro Interview
時代の変化に合わせ50年以上技術を磨き続ける商品撮影の専門家
萩元賢一
#chapter1
「シンプルかつクリアに被写体の世界観を描き出し、見る人の心をつかみます」と話すのは、東京都新宿区に拠点を置く「ダックス」の代表・萩元賢一さん。カメラマンとして50年以上のキャリアを持ち、中でも“物撮り”を得意としています。
「当方は、ハンドバッグや靴といったアパレル品、ジュエリー、時計のような装飾品、化粧品、包丁や器などの調理・食器類、料理と多様な広告写真を手掛けています。パンフレットやポスター、雑誌、WEBサイトなどに掲載するビジュアルとしてご活用いただき、購買意欲や集客力を高めます」
自社スタジオを完備し、背景や光を当てるアングルなどを細やかに調整。立体感や奥行きを演出し、商品の存在感を引き立て、多くの企業の売り上げアップを支えています。
「スタジオは35坪、天井高4メートルと広さにゆとりがあるため、さまざまな撮影に対応できます。貸しスタジオではないので時間に縛られず、納得がいくまでクオリティーを追求する環境を整えています。外部に委託せずに済む分、コスト面でもお客さまのご期待に添えると自負しています」
クライアントが「伝えたい思い」を丁寧にくみ取る萩元さん。事業理念として「培ってきた撮影技術で商品の持ち味を引き出すこと」を掲げています。
「商品は自分では何も語りませんから、撮影者が個性や特長を引き出してあげることが大切だと思っています。素材の質感や醸し出す高級感などを的確に伝えることを心掛けており、印刷物とモニター上では色などの見え方が変わるので、仕上がりのバランスにも注意を払っています」
#chapter2
学生の頃は時事ネタを追う新聞に興味を持ち、報道カメラマンを志したのが写真の道に進むきっかけだという萩元さん。某写真専門学校で撮影の基礎を学んだ後、雑誌をはじめ数多くの媒体が台頭していた時流をとらえて広告写真の会社に就職。6年間実務経験を積み、1978年にフリーランスとして独立しました。
長く商業写真業に携わる中で特に印象深いのは、フィルムカメラからデジタルカメラに移り変わったタイミングだと言います。
「フィルムはシャッターを押した瞬間に結果が決まる一発勝負。被写体をより良く見せたければ撮影時に構図や光量を工夫するしかありませんでしたが、今は撮った後でいくらでも加工できます。色味や印影はもとより、写っているもの自体を編集できます」
例えば、曇り空を快晴にしたり、不要な部分を削除したりするのも簡単。萩元さんは大きな技術革新の波にも柔軟に順応し、今ではアドバイザーとして若手の撮影をサポートする立場に。緻密に構成するフィルム時代の職人技と、アレンジの幅が広いデジタル技術を融合させることが、ダックスの新たな強みになっています。
「弊社が撮影したことで“商品がたくさん売れた”という声をお客さまからいただくこともあり、うれしい限りです。写真の仕上がりがそのまま売り上げにつながる世界ですから、やりがいを感じます。自己満足ではなく、“成果につながる写真”を届けることが、創業時から変わらぬこだわりであり、あくなき挑戦です」
#chapter3
「YouTubeが普及しているのを受け、2023年頃から動画制作に取り組んでいます。フードやドリンクは食材がコトコトと煮えて湯気が立ったり、グラスに注がれた炭酸がはじけて氷がカラカラと鳴ったり、臨場感にあふれ、表現できることが多いと感じる場面も増えてきたからです」
1枚の画(え)で瞬時にメッセージを伝える静止画に加え、多くの情報を包括する動画でのアプローチも試みる萩元さん。デジタル部門では若手の力も借りながら、「静止画×動画」の可能性を探っています。
「デザイン性に優れた写真を作り出すノウハウに、動画ならではの動きや音を組み合わせて、より一層訴求力のあるビジュアルをつくっていきたいと考えています。パッと目に留まる直感性と、クローズアップしたり、360度で捉えたり、商品の仕様や特性を、具体性をもって表すアピール力で、見た人に“これ、欲しいな”と思ってもらえるような映像を目指しています」
オンラインショッピングが浸透する現代では、多くの人が商品を画面越しに判断して購入します。画像が実物と大きく違わないよう、正確に、魅力的に伝えることが広告撮影には求められると語ります。
「スマホの機能が進化し、誰もが手軽に撮影することもできます。でも、ブランドのイメージやコンセプトを発信し、購買へのアクションを促す大事な場面だからこそ、プロに任せる価値があると私は思っています。弊社では1点からの撮影も承っていますので、ぜひお気軽にご相談ください」
(取材年月:2025年5月)
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Profile
時代の変化に合わせ50年以上技術を磨き続ける商品撮影の専門家
萩元賢一プロ
カメラマン
株式会社ダックス
長年培ってきた撮影の職人技と現代ニーズに応えるデジタル技術を掛け合わせ、商品の持ち味を引き出しながら撮影。自社スタジオならではのクオリティーの追求とコストカットを実現し、訴求力の高い写真を提供する。
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