特別な日の美しい瞬間を切り取り未来へと残すフォトグラファー
内野志織
Mybestpro Interview
特別な日の美しい瞬間を切り取り未来へと残すフォトグラファー
内野志織
#chapter1
2000年に写真家として独立し、関東地方を中心にイベント撮影を手掛ける内野志織さん。企業や個人からオファーを受け、各方面に赴きます。
「近年は音楽コンクールやスポーツイベント、ウェディングフォトをご用命いただくことが多いです。教育機関からは入学式や卒業式などの学校行事、個人の方からはコンサートや七五三・成人式といったご家族の記念日などでお声掛けいただきます」
写真コンテストでオーロラ写真の受賞経験があり、自然風景の撮影にたける内野さん。現場の状況に即した細やかな調光を得意とします。
「ステージで行うイベントでは、舞台の中央は明るくても両端が暗いなど、立ち位置によって明るさが変化していることがほとんどです。出演者が壇上のどこにいても一定の明るさで写るように、必要に応じてカメラを調整しています」
最近のカメラは高性能のため自動的に補正しますが、オート性能に頼ると意図せぬ色や明るさの写真ができてしまうことがよくあるので、内野さんは自分の手で設定し、シャッターを切ることにこだわります。
「カメラのオート性能は高性能である反面、被写体の色に反応してカメラが自動で明るさや色を調節してしまうため全体のトーンにばらつきが出てしまうことがあります。マニュアルで撮影することによって、自分が理想とする仕上がりに近づけることができます」
依頼された企業からも、光と影のニュアンスが絶妙で、被写体がクリアできれいだと評価されているそう。
「特に子供のピアノやダンスの発表会では、保護者の方はお子さまの顔がはっきり写ることを望まれています。子どもが動き回るシーンでも、お子さまの表情を鮮明に描き出すことを心掛けています」
#chapter2
内野さんは幼少期に、山岳部出身の父親と出掛けたキャンプや登山で一眼レフカメラに触れ、写真に興味を持ちます。
「当時のカメラは、ピントや絞り、シャッタースピードを手動で合わせるフィルムカメラ。扱いが難しく、フォーカスが甘いとピンボケ写真ができてしまう。初心者でも上手に撮れるインスタントカメラのほうがいいのでは、と思っていました」
学校卒業後は呉服問屋に就職。しかし幼い頃からアウトドアに親しんできた内野さんは、四季折々に変化する野山や、その一瞬を切り取る写真に心をひかれ、フィルムの現像所に転職します。
「勤務先では、プロの作品を目にする機会がたくさんありました。中には自然の魅力を存分に引き出した風景写真もあり、いつかこんな一枚を撮ってみたいと考えるようになりました」
会社勤めをしながら自身でも撮影を始めた内野さん。ある日、夜空に輝くオーロラをファインダーに収めたいと思い立ち、単身カナダへと渡ります。
「天空で起こる現象を追うには、レンズの明るさ、フィルムの感度、シャッタースピードを詳細に設定する必要があります。オーロラ自体の光の強さや、空に月が出ているかどうかでも撮り方が変わります。二度とない瞬間を捉えようと試行錯誤した経験が、イベント撮影にも生きていると感じます」
カナダの大自然から、神秘的かつ幻想的な世界観を表現する術を学んだ内野さん。星空撮影や動植物の撮影も行い、特に蝶が花に留まる瞬間が好きで、華麗に羽を広げる姿を写し出します。
#chapter3
数年にも及ぶカナダでの撮影を終えて日本に戻った内野さんは、2005年から自らの成果を披露すべく行動に移します。
「渡航する前から、帰国したら作品集や個展を展開したいと考えていました。2000年にオーロラを撮り始めて、10年後の2010年に写真集を出版。同年12月に六本木のフォトサロン、2011年1月には新宿のフォトサロンにて次々と写真展を開催、来場者は1万人以上に上りました。当初の目標が達成できてうれしかったですね」
自然に魅了され、数々の壮麗な写真を発表してきた内野さん。今後も自然派カメラマンとして、雄大な美しさだけでなく危機に直面する現状についても発信していきたいと語ります。
「悠久の歴史に育まれ、氷原を有する北米大陸のロッキー山脈には、その形にちなんだ名前の美しい氷河がいくつもあります。しかしながら近年の温暖化の影響でその形が崩れつつあります。カメラマンとして多くのことを自然から学んだので、地球環境を守るためにできることをしていきたいです」
写真を通じて、かけがえのない存在を未来に残す重要性を知り、環境問題を考えるきっかけになればと願う内野さん。自然の尊さと写真の楽しさを伝える活動として、撮影講習会や講演会の開催にも意欲的です。
「新規事業として検討しているのが、旅行会社と共同した企画で、オーロラツアーなどを開催できたらと思っています。新たな仕事にチャレンジすると自分の可能性が広がるので、失敗を恐れず、期待に応えられるよう誠心誠意で取り組んでいきます」
(取材年月:2024年7月)
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特別な日の美しい瞬間を切り取り未来へと残すフォトグラファー
内野志織プロ
カメラマン
舞台撮影やウェディングフォト、七五三・成人式やプロフィールフォトなど幅広いニーズでの写真撮影に対応。オーロラの撮影現場で学んだ技術を生かし、さまざまなシーンで高品質な写真を提供します。
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