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アスベストの調査や除去を軸に、建物の解体から新築まで担う総合建設会社を目指して

建物解体や改修時におけるアスベスト(石綿)調査・除去の専門家

小山勇樹

小山勇樹 こやまゆうき

#chapter1

義務化されたアスベスト調査を手掛け、要件や措置などルールについても解説

 アスベスト(石綿)の調査や除去を専門とする「新生」の代表・小山勇樹さん。現場を指揮するだけでなく、昨今の法改正をテーマに企業向けの講演も行っています。

 「アスベストは耐火性に優れた建材として広まった一方、人体に悪影響を及ぼすことから全面的に使用が禁止されました。さらに現在は建築物や工作物を解体・改修する際、有資格者による事前調査を実施し、結果を発注者や自治体に報告するよう義務付けられています。該当要件や作業計画、措置など、ルールを分かりやすく解説しています」

 調査から除去、完了報告書の作成に至るまで20年近い実績を持つ実務者として、法改正を逆手に取る“にわか業者”も増えているので注意してほしいと続けます。

 「例えば作業者には半年おきに健康診断や呼吸器の検査を受けさせ、結果を労働基準監督署に伝えなければなりません。また、作業の記録を40年にわたり保管するなど細かい規定が設けられています。事故が起きれば関連資料を提出することになり、長期的かつ適正に対処していく体制が求められるのです」

 特に不動産や建築業界の企業には、発注先を慎重に選んでほしいと呼び掛ける小山さん。自身は依頼を受けるとまず建物の竣工図や改修図を読み込み、使用建材と位置をリスト化して、現地に出向いて目視でチェックしています。

 「以後は必要に応じてサンプルを採取し、アスベストの有無を分析します。発見された場合は弊社で除去し、解体も改修もお任せいただけます。続く建築の工程も含め、全国規模で対応しているのも私たちの強みです」

#chapter2

解体や改修と密接な関係にあるアスベスト。現場経験を重ねてスペシャリストに

 学生時代からものづくりに興味があったという小山さん。社会に出ると建築業界を選び、土木や塗装、現場管理、店舗リフォームなど幅広い業務を経験します。

 「数々の現場に立つうちに『そもそも新しい建物を造る前に古い建物を壊す必要がある。同じくらい大切なことだろう』と考えるようになり、解体作業に携わる中でアスベストの存在を知りました。粉じんの飛散などから多くの人が敬遠する様子を目の当たりにし、『リスクがあるならなおのこと対策が重要。誰よりも詳しくなってトップに立とう』と決意しました」

 「新生」には前代表からスカウトを受けて入社。アスベストへの不安は感じず、むしろ正しい知識があれば大きなビジネスチャンスになると認識していたとか。

 「どんなマスクや防護服をいつ装着するべきか、全て法律で定められています。決まり事を学んで、現場経験を積むほどに自分がスペシャリストになっていくのが分かりました。知見を備えたことが信頼につながり、代表取締役社長に指名していただきました」

 社内には、一級建築士や一級土木施工管理技士、専攻建築士(まちづくり、法令)といった資格所有者が在籍。図面作成のプロや建築改修工事のベテランをはじめ、協働して目的を成し遂げる素晴らしい人材がそろっていると胸を張ります。

 「代表になった私の役割は、従業員が楽しく働ける環境を用意することです。建設的な意見が飛び交い、時に笑い声が聞こえてくるとモチベーションが上がりますね」

#chapter3

自然と調和し、持続可能な社会の実現に向けて体制を整え、事業を加速

 数々のプロジェクトに従事してきた小山さんにとって、最も印象に残っているのは東京都中央区にあった旧築地市場の解体工事。施設全体の3分の1以上でアスベストの調査や除去を担当し、完了までにおよそ8カ月を要したと言います。

 「1日に120人近い作業員が稼動したこともあるほど規模の大きい仕事でした。また、アスベストに関する法規制において、調査や工事の基準を新たに追加するきっかけになった案件でもあります。自治体による検査も通常は1回のみで済みますが、この時は10回ほど実施されました」

 リサーチの精度が求められ苦労が絶えなかったと振り返りますが、厳しい評価をクリアし、以後の現場に経験を生かせるようになったと語ります。

 法令に則し、実践的なノウハウを蓄えてきた「新生」は、総合建設会社としてさらに飛躍。ビルや集合住宅の設計・施工から大規模修繕、宅地造成、道路・河川の整備といった土木工事、通信網を構築する電気通信工事のほか、不動産業などを手掛けています。

 「私たちは、自分たちにできることの幅をどんどん広げています。土地の売買や建物の新築についてもご相談ください」

 アスベストを適切に処理し、生活の場や街のインフラを整え、豊かな未来を創造するため、小山さんは志を同じくする仲間を増やしていくことも展望しています。

 「自然と調和し、持続可能な循環型社会の実現を理念に掲げ、事業を展開しています。向上心や好奇心がある方とともに業界のイノベーションを目指したいですね」

(取材年月:2024年6月)

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専門家プロフィール

小山勇樹

建物解体や改修時におけるアスベスト(石綿)調査・除去の専門家

小山勇樹プロ

建設業

新生株式会社

建物の解体・改修におけるアスベストの扱いについて、法改正の内容を熟知。現場の安全を確保する他、従業員の健康管理、自治体に提出する報告書の作成、必要書類の保管といった細部にわたる関連業務を引き受ける。

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