ナッツやグルテンフリーのブームをけん引する健康食の専門家
音仲紗良
Mybestpro Interview
ナッツやグルテンフリーのブームをけん引する健康食の専門家
音仲紗良
#chapter1
「商品の魅力を広く伝えるお手伝いをします」と話すのは、「ぽかぽかてーぶる」の代表で、フード・PRディレクターの音仲紗良さん。雑誌編集者の経験を生かし、メディアへの訴求力が高いレシピの開発や食に関するイベントなどを企画・運営。認知拡大や集客をサポートしています。
「例えば、ビタミンEなどの栄養素が豊富で、美容や健康の面で近年注目されているアーモンドミルク。普及団体から『クセがなく、すっきりとした味わいを知ってもらいたい』という要望があり、2店に協力を仰いで期間限定商品を提供してもらうことにしました」
1店は、日本でも指折りの有名パティシエが営むカフェ。数多くの人にアプローチするマス的な影響力や、各種メニューのクオリティーの高さ、ブランドの中核を成す旗艦店といった格を備えている点からオファーしました。
もう1店は、玄米をテーマにしたフードサロン。アーモンドミルクと玄米は健康志向という点で親和性があると考え依頼。渋谷駅直結のビル内という立ち寄りやすい立地で、幅広い層の目に触れることも意図しました。
「スイーツはアーモンドを絞った後に残るアーモンドパルプを活用してもらい、食材を無駄なく使うことで持続可能な『サスティナブル』のキーワードも織り込みました。テーブル周りのコーディネートも手掛け、コンセプトやご意向をくんだ全体的なディレクションが可能です。また、飲食店経営にも携わっていたことから、現場を理解した上で飲食店と交渉ができるのも特徴です」
#chapter2
子どもの頃からグルメ情報誌や料理番組に親しんできた音仲さん。出版社入社後は、時流を敏感につかみ、読者の目を引く紙面づくりをしてきました。
「料理ページを担当する中でフードコーディネーターの仕事に触れ、今でいう「映え」やレシピの良さが企画の良し悪しに影響することを実感し、盛り付けなど見せ方を勉強したいと思い26歳で独立。フリーの編集者をしながらフードコーディネーターの専門学校で学びました」
転機は2016年。PRを請け負っていた渋谷区広尾のレストランから、「シェフが退職して営業を続けられないので、この場所を使って何かできないか」と相談を受けます。広尾という場所や食のトレンドを調査した結果、ナッツに着目しました。
「当時国内では、ナッツは『ニキビができる』『太る』などのイメージが強かったのですが、海外に目を向けると、健康や美容に敏感な人たちの間でヘルシーなおやつとして捉えられていたんです。さらにリサーチを進めると、市販されているナッツ製品は、砂糖や添加物などで食べやすくしている物がほとんど。一方、健康志向の製品は、味は二の次になっている物が多いと気づきました」
口にしやすいよう、おいしさと体への思いやりが同居するフレーバーナッツ専門店をオープン。たちまち注目を集め、半年で60以上のメディアに取り上げられたそう。
音仲さんはナッツ料理研究家となり、健康と食の関係を再認識。玄米と味噌汁、発酵食品を取り入れ、穀物や野菜、海藻を中心とする日本の伝統的な食養法であるマクロビオティックへの知見も深めました。
#chapter3
音仲さんはバインミーの専門店立ち上げにも携わりました。米粉パンを使用し、たまり醤油、米麹甘酒など日本の発酵食品を使い、和食に再構築することで日本人に親しみやすい味と体思いの「ワンハンドフード」を確立。無理なく心掛ける「ゆるグルテンフリー」を伝える活動にも力を入れています。
サウナ好きが高じて「サウナ飯」もプロデュース。ミネラルやたんぱく質を補う豆乳を用い、ガツンと食べたい気分にも応えられる韓国冷麺などを販売したところ人気となり、期間延長となったそうです。
「現在は個人向けの食事指導やコミュニティーづくりにも取り組んでいます。私自身、幼い頃から体が強くなく、体型にコンプレックスを抱えていました。さまざまな健康法や美容法を試す一方で、甘党で食生活が乱れた時期もあります。しかし、ナッツ専門店立ち上げの仕事で得た知識で食事の質を見直した結果、薬や病院、サプリメントに頼らずにすむようになりました」
甘いものは一口で十分と思えるほど味覚も変化。肌や髪の状態も10年前より自信が持てるくらいだとか。
「すべてに共通していることは"ジャンク"と"ヘルシー"という対立しがちな価値観の間に立ち、境界線をあいまいにすることで一人でも多くの『健康食=味気ない、難しい』という概念を取り外して、健康的な食事のハードルを下げることです。おいしいから食べていたら、それが体に必要なものだったと気づいたり、楽しいから関わっていたら自然と食事の質を見直すきっかけになったり。そのためにジャンクとヘルシーの懸け橋となれる食のコンテンツを今後も提案していきたいですね」
(取材年月:2025年6月)
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Profile
ナッツやグルテンフリーのブームをけん引する健康食の専門家
音仲紗良プロ
フードディレクター、PRディレクター
株式会社ぽかぽかてーぶる
元編集者で、メディア訴求力の高いレシピやディレクションを得意としています。ナッツ専門店やグルテンフリー専門店などを立ち上げトレンドの立役者としても活躍。"ジャンク"と"ヘルシー"の懸け橋を目指します。
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