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人々の命と健康を守る医療機器を、一つでも多く世の中へ流通させたい

医療機器ビジネスコンサルティングの専門家

肘井一也

肘井一也 ひじいかずや
肘井一也 ひじいかずや

#chapter1

医療機器ビジネスをスタートアップから支援

 大学病院や総合病院、まちのクリニックで、病気やけがの診断、検査、治療などに使用されている医療機器。「mk DUO」の代表を務める肘井一也さんは、日々進化を続ける医療機器を、適切に流通させるためのサポートを行っています。

 「スタートアップ支援、医療機器開発支援、品質マネジメントシステム構築支援、各国規制対応など、手掛ける業務は多岐にわたります。一言でいえば、医療機器ビジネスのコンサルタントです。製品づくりから市場での展開、市販後のフォローまでワンストップで担います」

 大学卒業後は大手メーカーに入社。約20年にわたり、医療機器の研究開発とマーケティングに携わったと言います。
 「どの業界でも、競合に負けないよう迅速に商品やサービスを提供する必要があります。販売開始の導入期から、売り上げが伸びてシェアが拡大する成長期、成熟期、そしてニーズが減少する衰退期がありますが、こうした製品ライフサイクルを踏まえ対策は、競争が厳しい医療業界でも重要です」

 肘井さんは、許認可に向けた試験や審査を行う認証機関でも、自身の経験を役立てたいと転職。欧州系と米国系、二つの認証機関を経て、2020年に自ら会社を設立しました。

 「メーカーでは“ものづくりのノウハウ”を身に付け、認証機関では“法規制に関する世界基準の知識”を学びました。作る側、チェックする側、それぞれの立場を深く理解しているのが大きな強みです。日本から国内・国外へ、あるいは海外から日本へ進出する場合も、当方がお手伝いいたします」

#chapter2

参入障壁が高い医療機器分野だからこそ「早めの相談」が大切

 人命にかかわる医療機器には、精度の高さをはじめとする信頼性、倫理性、安全性などが求められます。また、販売前には各国で定められた法規制(薬機法)を満たさなければなりません。要件が多く、内容が複雑であるため、肘井さんは「できるだけ早い段階で相談してほしい」と熱を込めます。

 「医療機器には、インプット(仮説)とアウトプット(成果)の考え方があります。日本の場合、アウトプットが実証できれば割と基準をクリアしやすい側面があります。しかし欧米の場合、双方が一対であることを前提とします。つまり、構想段階から“仮説”を立て、製品になった時に仮説通りの“成果”が出ていることが重視されるのです。こうした背景から、海外市場を目指す際は、インプットデータがないがゆえに『設計をやり直す』といった悲劇も起こり得るのです。そうした事態を避けるためにも、製品の構想段階からお声がけいただきたいですね」

 コンサルティングでは、クライアントと対話を重ねて課題を抽出。状況を分析した上で解決の道筋を立てます。物事の本質を的確に捉えるための客観的要素の収集と検証も丁寧に実施。難しい案件の場合は、その分野に精通した専門家と連携するなど、チームで取り組んでいるそうです。

 「クライアントさまが抱える問題に対して、最適解を提示することを心がけています。どんなささいな悩みでも気軽に話してもらえる、お客さまにとってホームドクターのような存在になることが目標です」

肘井一也 ひじいかずや

#chapter3

異分野からの参入や企業同士のマッチングもサポート

 コロナ禍においては、アパレル会社がマスクや医療用ガウンの製造に乗り出しました。「どの分野にも言えることですが、専門業者以外が成功する可能性は十分にあるのです」と肘井さん。異業種からの新規参入を支援するほか、医療に関心のある企業に向けたコンサルティングにも力を入れています。

 「最近では、医療機器とは無縁のお客さまから『自社の知見を生かせないだろうか』とお問い合わせをいただくことも少なくありません。内容を伺った上で、共同できる事業者や、医療機器の製造スキームを持つ会社をご紹介することも可能です。当方の使命は、一つでも多くの医療機器を、できるだけ早く、必要としている方々に届けることだと自負しています。優れた技術、有益な情報を保有している企業・メーカーさまと関係を築き、医療現場に新しい価値を提供していきたいと考えています」

 常に笑顔を絶やさず、物腰が柔らかい肘井さんですが、発する言葉からは強い信念と覚悟が垣間見えます。

 「メーカー出身の私にとって、たとえるなら製品は自分の子どものようなものです。今はコンサルタントとしての活動が中心なので、自分で手塩にかけて育てる機会はありません。しかし、その代わりにお客さまの製品に思いを託すことができます。だからこそ、お客さまの製品が広く世の中に行き渡り、活用されることは、私にとってこれ以上ない喜びです。ましてや、医療機器は人の命に影響するものですから、やりがいも大きいですね」

(取材年月:2022年2月)

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肘井一也

医療機器ビジネスコンサルティングの専門家

肘井一也プロ

医療機器ビジネスコンサルタント

mk DUO合同会社

メーカー時代に経験した“ものづくりのノウハウ”と、欧米系の認証機関で経験した“法規制に関する世界基準の知識”を生かして、スタートアップ支援から市販後のフォローまで、国内外を問わずサポート可能です。

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