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味わい深く、ぬくもりに満ち、見る人の心をつかむメニューを手描きで制作

温かみのある手描き作品を生み出すデザイナー兼イラストレーター

綿谷羊太郎

綿谷羊太郎 わたやようたろう
綿谷羊太郎 わたやようたろう

#chapter1

絵の具やクレヨン、筆を用い、優しい色使いや親しみあふれる作風が特徴

 「ぬくもりに満ちた、見る人の心をつかむメニューをお作りします!」と話すのは、東京都大田区のデザイナーで、イラストレーターでもある綿谷羊太郎さん。飲食店を中心とした店舗向けに、メニューやチラシ、ショップカードなどを制作しています。

 イラストレーターの妻とのデザイン・ユニット「Mary&Wool」名義で「第1回Panasonic FOMAカスタムジャケット マイスタイル・コンテスト複数作品部門」や「東京ミッドタウン年賀状千人展2010」でグランプリを獲得するなど、実績を蓄積。全国からオファーを受けています。

 「イラストには絵の具やクレヨンを用い、文字は筆を使います。すべて手描きですから、味わい深く、温かみのある仕上がりになります」

 鉄板の上で焼きあがったステーキ、七輪で焼かれているサンマ、ホクホク、熱々の串焼きや焼き鳥、グラスになみなみと注がれたビール、シュワシュワと炭酸がはじけるサワーなど、優しい色使いの柔らかく親しみあふれる作風が特徴です。「制作の際は、お客さまが何を求めているかを丁寧にヒアリングします。可能であればお店に赴いて、雰囲気を拝見させてもらいます」

 店舗の内装や外装、装飾品を見たり、料理を味わったり。世界観やコンセプトを体感することで来店者に届けたいサービスや、クライアントが大切にしている思いなどを深く理解できると言います。

 「僕のデザインにできることで期待に応えたいです。例えばおつまみのように、すぐに提供できる小鉢を最初に目に入る右上にレイアウトするとか、アピールしたいお料理は目立つように中央に配置するだとか。随所に工夫を施しています」

#chapter2

製品の美観を高める工業意匠、紙媒体のデザインについて学び独立へ

 綿谷さんは1973年に宮城県仙台市で生まれました。子どもの頃から絵を描くことが好きで、地元の大学に進み製品の美観を高める工業意匠を学びます。卒業後は北海道へ。チラシやパンフレットの制作を請け負う会社で、デザイナーとして勤めます。

 「入社後は朝から夜遅くまで働きました。ハードな日々でしたが、デザインの基礎を身に付けられたことが今に至るまで大いに役立っています」

 1997年に仕事の都合で上京した後、印刷物の紙面を構成する組版の会社をサポート。デザインや取引先との折衝など、幅広い業務に携わりました。

 40歳を過ぎた2015年、絵柄や図表、文字など紙媒体をレイアウトしてきた経験を生かそうと独立を決意。「不安もありましたが、当時の勤務先と以前関係していた会社にあいさつをしたら、案件を回して応援してくださって…。おかげで順調なスタートを切ることできました。口コミや紹介を通じてお客さまが増え、ありがたい限りです」

 現在のようにメニューを軸とし始めたのは2021年から。プラットフォームサイトを通じて、飲食店を経営する「バードエイト」から依頼を受けたのがきっかけです。

 「大田区で焼き鳥屋『鳥八 下丸子店』を営む会社さまで、『他で発注したチラシの出来に納得がいかない』とのことでした。打ち合わせに伺ったとき、お店に筆で描かれた絵が飾ってあったのを見てお好みのテイストをつかみ、手描きのタッチにしたところ大変喜ばれました」

綿谷羊太郎 わたやようたろう

#chapter3

商品のパッケージやネーミングも手掛け、プランナーとしても活動

 綿谷さんは、イラストをはじめデジタル素材を販売するサイトにも作品を投稿。多方面で活用され、中には、フランスの日本食料理店のポスターに使われたものもあるそうです。

 「『冷やし中華はじめました』『ビール冷えてます』といったポップ、のぼりやポスターなども手掛けており、皆さまの商売繁盛をお手伝いいたします。それからパッケージやロゴのデザインも承っています」

 さまざまな製品を世に送り出すプランナーとしても活動していきたいと展望。最近では、「バードエイト」と共同で塩の商品開発に取り組みました。

 「家庭でもおいしく召し上がってほしいと、お店で焼き鳥に使用されているオリジナルの塩を売り出したいと相談を受けまして…。で、ラベルデザインに加え、商品名も考案することになって、『やきとりを塩で食べるための塩』とご提案し、採用していただきました」

 また、綿谷さんは書籍の出版にも携わっています。2025年2月、自身が施術を受けている鍼灸師との対談をまとめ、「鍼灸師になりたい君へ」(アメージング出版)という本を刊行しました。

 「先生がちょうど独立するタイミングで、チラシや名刺などをご提案していく中で、鍼灸師がどんな仕事なのかを伝える本を出すことになりました。今後も、出版は挑戦していきたいジャンルの一つです!」

 創作の幅を広げるため、自身が暮らす大田区のクリエイターとつながりたいと考えている綿谷さん。ライターやフォトグラファー、WEBデザイナーらと協力し、大田区を盛り上げていきたいと抱負を語ります。

(取材年月:2025年5月)

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Profile

専門家プロフィール

綿谷羊太郎

温かみのある手描き作品を生み出すデザイナー兼イラストレーター

綿谷羊太郎プロ

デザイナー・イラストレーター

綿羊亭

飲食店のメニューやチラシ、POPの制作を手掛ける。筆やクレヨンを用いた制作によって生まれる温かみのあるイラストが特徴。制作前には店舗へ足を運び、じっくりとヒアリングを行う。

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