“卒業”のないクリエイティブスクール運営の専門家高橋篤史

“卒業”のないクリエイティブスクール運営の専門家

高橋篤史

クリエイターへの夢を応援するため、グラフィックデザイン、動画・WEB制作を基礎から指導

　グラフィックデザイン、動画・WEB制作のオンラインスクール「LOOKTONE（ルックトーン）」を運営する高橋篤史さん。時間や場所、年齢を問わず受講できるため、10～20代を始め子育てが一段落してデザイナーの夢を追う人、リタイア後の趣味にする人、海外から学ぶ人と、広く人気を集めています。

　「クリエイティブの“初めの一歩”となる基礎的な知識やスキル、ソフトの使い方だけでなく作品の作り方・デザインの考え方などを教えます。映像教材で学び、困った時や質問相談したい時に、メールや電話でコミュニケーションを取る仕組みです。生徒さんからは『通学しないので便利』『他の人を気にせず自分らしく学べる』『就職・転職のためのサポートが受けられる』といった声が寄せられています」

　創作活動に終わりはないため「永続受講」でいつでも学び直せるのが特長。プロとして活躍するようになっても、常に疑問や悩みを質問・相談できる環境を用意しています。

　「包丁さばきを習っただけでは料理が作れないように、テクニックやソフトの操作方法を覚えたところでデザイナー・クリエイターにはなれません。当校は『なぜその作業が必要なのか』『この手順を選ぶ意味は何か』などを徹底的に説明し、作品づくりと向き合う思考法も育みます」

　さまざまなジャンルの課題が与えられ、繰り返しフィードバックを受けるうちにアイデアを具現化する能力が高まるとのこと。ポートフォリオ（作品集）も充実し、就職や転職時の面接で褒められる人も少なくないと言います。

　「実力が全ての世界で対応力の幅広さやクオリティーで面接官を驚かせる生徒さんもいて、われながら誇りに思います」

アパレルからクリエイティブを教える認定インストラクター、大学院の教授に。「創作活動に年齢は不問」

　洋服が好きでファッション系デザイナーとして“ものづくり”に携わりたかったものの事故で左腕が思うように動かなくなり、アパレル会社に就職し販売員として従事します。

　「不規則な生活リズムに苦労していた折、音楽用デモテープなどの製造会社を営む父に『うちに来ないか』と誘われました。営業担当として、顧客の大手レコード会社や芸能プロダクションと社内デザイナーの橋渡しを務めるうちに『自ら手を動かせばお客さまの意図を反映しやすく、スピーディーにことが進むのでは』と一念発起し、クリエイティブの世界に足を踏み入れました」

　独学で知見を増やし、本腰を入れようとクリエイターの養成機関に入学したところ、すでに高い技量が備わっていたため講師を打診されます。父親の会社で世界的に成功を収めていたアメリカの女性音楽家や、イギリスを代表するロックバンドの日本用ノベルティも制作し、実務経験が豊富だったことが功を奏しました。

　「いつか自分でスクールを開きたいと思っていたので、ありがたく話を受けました。独自の教材も用意して講義に臨む姿が目に留まり、気付けば上位機関の大学院で客員教授に任命されていました」

　実践を重ね、満を持して「LOOKTONE」を設立。自身も最初からクリエイターでなかったように、創作活動を始めるタイミングは年齢不問だと強調します。

　「ある60代の方は定年退職後にリスキリングして再就職しました。人生を決めるのは自分次第です。そう考えるとワクワクしますよね」

規模の大小は問わず、デザインで日常に“変化”を。今後は地域貢献と日本文化の発信に注力

　当面の目標は「クリエイティブによる人助け」。受講生の夢や目標をかなえる手伝いのみならず、暮らしている街の活性化にも貢献したいと話します。

　「著名で華やかな制作の仕事だけでなく、地域の役に立つ身近な制作、夏祭りのポスター、近所の飲食店や美容室のチラシ、入居するマンションの防災訓練のイラスト、友人の習い事のWEBサイト、息子の幼稚園のスタンプラリーカードなどを手掛けたこともあります」

　高橋さんはディテールまで作り込んだ制作物で見る人の関心を引き付け、集客力や参加意欲を高めています。

　「『神は細部に宿る』という言葉があるように、規模の大小は問わず、デザインによって皆さんに“変化”が起きると確信しており、当校で学ぶ生徒さんにも引き継いでほしい心構えです。アクションを促すノウハウは地域を問わず役立てられるので、お困り事があれば当方が力になります」

　地域を盛り上げたその先は、日本の素晴らしさを世界に発信するのが使命だと語る高橋さん。近年は漫画やアニメ、ゲームといったサブカルチャーが台頭していますが、根底にある気候風土、歴史、文化、伝統芸能などを的確に伝えるためにもクリエイティブの力が不可欠だと熱を込めます。

　「子どもたちが古きをたずねて新しきを知り、発想力や創造力の礎を築けるように、学校教育にクリエイティブデザインを取り入れてほしいですね。お声がけいただければ喜んでお手伝いします」

（取材年月：2025年2月）

時間や場所にとらわれないオンラインのクリエイティブスクール。永続的に学べるのも魅力

クリエイターへの夢を応援するため、グラフィックデザイン、動画・WEB制作を基礎から指導

アパレルからクリエイティブを教える認定インストラクター、大学院の教授に。「創作活動に年齢は不問」

規模の大小は問わず、デザインで日常に“変化”を。今後は地域貢献と日本文化の発信に注力

専門家プロフィール

Other Interview