訪問看護・リハビリで在宅療養をサポートする専門家
佐々木智充
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訪問看護・リハビリで在宅療養をサポートする専門家
佐々木智充
#chapter1
できれば最期まで住み慣れたわが家で過ごしたいと思っていても、「在宅療養は家族に負担がかかるのではないか」「何かあった時にどうすればいいか分からない」など心配や不安は尽きません。
高齢者や障がいを持つ人とその家族をサポートするのは、「立夏」の代表であり、理学療法士の佐々木智充さん。
葛飾区金町で「訪問リハ看護ステーション立夏」を運営。葛飾区・足立区・江戸川区・三郷市・松戸市を対象に、理学療法士や作業療法士、看護師が利用者の自宅やサービス付き高齢者住宅等に赴き、サービスを展開しています。
「リハビリの目的は日常生活動作の回復です。当方では、利用者さんが普段過ごす空間でプログラムを実施し、ベッドからの起き上がりや着替え、移動、食事、入浴といった生活に即した運動機能を維持・向上させます」
看護師はかかりつけ医の指示に基づいて、服薬管理、血圧や体温計測を通じた健康観察、皮膚トラブルや創傷の処置、点滴など医療ケアを提供しています。
「接し方や適切な介助方法など、アドバイスも行っています。利用者さん、その家族、双方の本音をくみ取り、橋渡しをすることも当方の役割と考えています」
居宅介護支援事業所も併設。ケアマネージャーが、体の状態や生活環境、本人と家族の要望に添ってケアプランを作成し、介護に必要な福祉用具、住宅改修についても案内しています。
#chapter2
かつてシステム会社に勤めていた佐々木さん。クライアント企業の課題を聞き取り、解決に導くコンサルティング業務に従事していました。
「30代を目前に今後のキャリアを考えたとき、自分は人から相談を受けて改善策を講じるのが好きだと気づいたんです。誰にとっても身近な体の悩みを受け止め、解消のお手伝いをしたいと思い、理学療法士を目指しました。両親が看護師で、医療職が身近だったことも背中を押しました」
仕事をしながら夜間の学校に通い、資格を取得。回復期リハビリテーション病棟に勤務し、病気やけがで体にダメージを負った人が日常生活に戻れるよう、身体機能の復調に努めました。その後、透析治療の専門院に移り、患者の心機能などを高める運動療法に取り組み、学会での研究発表にも携わり、2カ所の病院で10年のキャリアを積みます。
「なぜ肩や腰、膝が痛くなるのか、病気が今の体の症状にどう影響しているのか丁寧に説明する姿勢は、前職で養われたと思います。現状を理解できれば、痛いけれどもう少しリハビリをがんばってみようとか、患者さんの受容が進み課題に取り組むきっかけになるんですね」
職務にまい進する過程で、つらい出来事がありました。長女が約1年間の闘病の末、2歳で他界したのです。
「休職し近くにアパートを借りて妻と交代で病院に泊まり込み、24時間娘に付き添いました。長女も妻も頑張りましたが合併症で脳炎を発症し、遷延性意識障害となってしまいました。奇跡を信じましたが、最終的には自分たちの腕の中で看取ることになってしまいました」
「どういう形であれ、娘にこの世に残ってほしかった、一緒に過ごしたかったという思いが残っています。娘をなくした私がこれからやるべきことは、自宅で障害を持ちながら生活している人、その家族を支えることだと考えました」
#chapter3
佐々木さんは、患者自身や、同様に家族のケアに奔走している人に寄り添いたいと、2019年に起業。社名には長女の名前を冠しました。独立に至ったのは、病院でリハビリに尽力するも、退院後は患者に深く関わることができず、もどかしさを感じていたのも理由の一つです。
「一度は退院したものの思うように動けず、再び入院する方も少なくありませんでした。自分らしい人生を送っていただくには、居住空間で生活動作を定着させ、できることを増やすことが重要だと痛感しました」
日々の活動の中で心掛けているのは、利用者ファーストのケア。
「利用者さんにストレスなく過ごしてもらうため、医学的な指標は守りつつ、意思を確認しながら押し付け過ぎないようにしています。また、長く自宅で暮らすには、ご家族を支えることも大切です。家庭全体が健康を保てるよう、心と体のコンディションに配慮しています」
「どのような方でも、勉学や勤勉に勤しみ、さまざまな経験を積んできた人生の先輩です。職員へは利用者さんに対し敬意を払い、教えていただくつもりで対応するよう伝えています」
開業以来、高齢者や障がいがある人への支援を主軸としてきた佐々木さん。今後は、起業の原点となった、在宅療養を希望する子どもと家族のサポートにも力を入れていきたいと言います。
「個別のニーズに合わせて日常を見守り、『わが家でいつまでも』という願いをかなえていきたいですね」
(取材年月:2024年7月)
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Profile
訪問看護・リハビリで在宅療養をサポートする専門家
佐々木智充プロ
理学療法士
合同会社立夏
看護師、理学療法士、作業療法士が在籍。実際に生活する空間で行うリハビリだけではなく家族へのケアで、住み慣れた場所で長く生活できるようサポート。居宅介護支援事業所も併設し、ケアプランの作成から対応。
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