顧客とともに唯一無二の空間をつくり出す一級建築士橘田彰信

顧客とともに唯一無二の空間をつくり出す一級建築士

橘田彰信

「人」「場所」「目的」を考慮して、機能性とデザイン性を兼ね備えた空間をプランニング

　「建物はお客さまの情熱と建築家のアイデアのコラボレーションで、唯一無二の空間をつくり上げていくもの。自分好みに暮らし豊かな人生を送れるよう、皆さまが思い描くイメージ以上の空間を実現するお手伝いをします」

　そう話すのは、「Kitta Architect Studio一級建築士事務所」の代表・橘田彰信さん。東京都三鷹市を拠点に、東京、神奈川、埼玉、山梨で、個人宅をはじめ、集合住宅、事務所ビル、医療・教育・福祉施設、ホテル、店舗など多岐にわたる物件を手掛けています。

　「家づくりで心掛けているのは、お客さまとの密なコミュニケーション。在宅ワークをしている、休日はガーデニングをしているなどライフスタイルや趣味、シンプル、スタイリッシュが好みといった趣向などを共有し、方向性をすり合わせます。一方的に提案するのではなく、お客さまにも一緒に考え、悩んでもらうことで、わが家への愛着が一層増します」

　施設づくりにおいては、顧客の目的を明確に捉え、機能性とデザイン性を両立させることを重視しています。例えば、クリニックであれば診察・処置と迅速かつ適切に診療が行えるゾーニングでありながら患者がリラックスできる雰囲気に、オフィスの場合は仕事の生産性や効率性を高める動線計画や、従業員が快適に過ごせる内装デザインなど使う人の目線で設計するよう心掛けています。

　「建物は、人（住む人、使う人）、場所（立地条件）、目的（建物の用途）を考慮することが重要です。そのため同じ建物ができることはなく、そこにしかない、その人のために作られていきます。ですのでお客さまとの密なコミュニケーションを取り、使いやすいレイアウト、ストレスのない環境、見た目の美しさ、好みといったさまざまな要素を融合させ、そのお客さまの唯一無二の建物にまとめ上げていきます」

工務店を営む大工のもとで生まれ育ち設計の道へ。多様な建築の知識を糧に独立

　山梨県で工務店を営む家に生まれた橘田さん。大工として一から家を組み上げる祖父と父の姿を見て育ち、子どもの頃から絵を描くのが好きだったこともあり設計の道へ進むことを決意し、大学で建築学を学びます。

　大学卒業後は設計事務所に勤務。実務を重ねる中で独立への意志を固め、一級建築士の資格を取得し、2015年に同社を設立します。

　「勤めている立場では、チームで動き組織の方針に従う必要もあります。個々の意向で案件を進めるのは難しく、ゼロベースから自分の裁量で作品をつくりたいと考えるようになり、独立しました」

　勤務時代は、幼稚園、オフィス・商業ビル、マンション、別荘など、さまざまなプロジェクトに従事。物件の規模や構造に合わせて、柔軟に企画設計ができるのが強みだと言います。「勤めていた事務所ではさまざまな用途、工法の経験をさせていたことで幅広いジャンルの設計に携わることができるようになり、とても感謝しています」

　建物は設計図を基に大工などの職人が実際に造り上げて初めて完成します。橘田さんは図面通りに施工されているかを確認する監理業務をはじめ、構造の安全性、断熱などの機能性、好みや利便性が現れる仕上げや設備機器など、現場での施工に不備がないかを入念にチェックしていくことが非常に重要だと言います。
　「工事担当の人たちとも積極的にコミュニケーションを取り、工事関係者の皆さんもお客さまの夢の実現のチームメイトと捉えて現場監理に取り組んでいます」

木材を中心に自然素材を用いた家づくり。リフォーム・リノベーションにも知見を発揮

　リビングの壁一面に大きな窓を設けて悠々と河口湖を臨む邸宅、四季折々で表情を変える森を眺める山小屋風の住まいなど、数々の作品を手掛けてきた橘田さん。木材を中心に石や漆喰の壁など自然素材をふんだんに用いるのも特徴で、人にも環境にもやさしいエコで健康的な建物を目指しています。

　「建物は人のために造るものです。建築を通して人々の生活を豊かにしたいと考え、たどり着いたのが自然素材なんです。木造の技術はどんどん進化していて、今では超高層もつくれるようになっており、そのような新しい技術も積極的に取り入れながら、地域の気候風土に合わせ、日々の暮らしを豊かにし、なおかつ心身ともに健やかに過ごせる住宅をご提案していきたいです」

　新築以外にも、近年は戸建てやマンションのリフォーム・リノベーションにも注力。「大事にしてきたので今あるものを生かして風情あるたたずまいにしたい」「将来を見据えて二世帯住宅にしたい」「水回りの不便をなくしたい」「使い勝手のいい間取りに変えたい」といった声にも応えています。

　「家づくりは一生に何度もない大きなイベントです。はじめにヒアリングするときは、まずは『できる、できない』は後回しにし、後悔のないように『これは無理だろうなあ』と初めからあきらめず、あなたが思う理想の家を遠慮せずに全て語っていただきたいです。できる限りの知恵を絞り、どうすれば実現できるかを一緒になって考えさせていただき、お客さまの夢を形にするパートナーとして、尽力していきたいです」

（取材年月：2025年3月）

「クライアントの情熱」と「建築家のアイデア」のコラボレーションで、理想を超える空間づくりを

「人」「場所」「目的」を考慮して、機能性とデザイン性を兼ね備えた空間をプランニング

工務店を営む大工のもとで生まれ育ち設計の道へ。多様な建築の知識を糧に独立

木材を中心に自然素材を用いた家づくり。リフォーム・リノベーションにも知見を発揮

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