リスク対策で根本的に事業を存続させる危機管理プランナー
田中和明
Mybestpro Interview
リスク対策で根本的に事業を存続させる危機管理プランナー
田中和明
#chapter1
過去に経験した大きな震災。その時、事業を継続して運営できた企業と、全面ストップしてしまった企業とに大きく分かれました。また、建物の一部が倒壊し、残念ながら被害者が出たために、立件されずとも責任を問われたケースも発生しました。このように突然の災害に、事業が継続できない、被害者が出て責任を追及されるなどの災害リスクを想定し、対策を講じることは、地震大国日本において重要です。「私たちを取り巻く世界は、まず自然環境が一番ベースにあり、その上に各国の文化慣習があります。
さらにその上に社会基盤(政治・経済など)が積み重なり、生活空間が造られ、そして私たちの生活があります。ですから、一番ベースの自然環境にどう取り組み、対策を取るかは重要になります。すべての生活の基盤は、自然環境に因っていますから」と語る「有限会社藍流経営研究所」代表取締役の田中和明さん。リスク対策をベースに企業存続のための「事業継続計画」の提案、地域や建物の防災対策のプランニングなど、企業・団体・店舗などにリスクマネジメントを提供しています。
災害対策は、被災から年月が経てば経つほど、意識が薄れていく傾向があります。すると、あらゆるリスクの中でも重要項目のはずが、日々の業務に忙殺され、どうしても防災対策が手薄になります。そしていざ災害時、対策が取れずに事業がストップ。この時の損害は計り知れません。「例えば不動産に関して、節税、相続税対策などは必要でしょう。ですが、税法は変わります。それよりも注意すべきは所有している不動産で災害時に被害者を出してしまうと、被害者にも所有者にも人生において大きなダメージとなることです。そして、事故後、風評被害が起きることも想定されます。それは結果として不動産の価値を保てないことに繋がります」と田中さんは指摘します。
#chapter2
「事業継続計画」とは企業の事業を中断させる様々なリスクを浮き彫りにし、被害を最小限に留めながらも、主となる事業を最短で復旧させるための行動計画です。その内容は、日常からの予防対策、災害発生時対応、復旧時対応などに対し具体的な行動が取れるように備えておく対策です。言わば、リスクから損失を算定し、いかに損害を最小限に留めるかの計画で、マイナスからの発想です。
「マイナスからの発想」は一般に受け入れにくいかもしれません。しかし、企業にとって、いかに予期せぬ事態に対応できる準備があるかが、その後の事業の立ち上がりを変えます。長年、建設会社に勤務して、業務再構築、資産の運用提案業務に携わってきた田中さんは、インフラが止まった時の業務手順の脆さや、不動産業において収入が途絶える可能性を指摘します。「被害を最小限にするために、防災に対し意識を向けて欲しい。企業や不動産オーナーがそれぞれ防災対策を講じ、その上で企業は事業継続計画を策定していき、不動産オーナーは加害者にならない、利用価値を失わない不動産を所有する。そのことが基本的な企業の発展に繋がるのですから」
ですが、防災対策に多額の費用をかけられる企業ばかりではありません。「費用がかけられないからといって、放置して欲しくありません。できることはたくさんあります。オフィス内での防災対策、地域や施設の状況に合わせた防災手段の確保、関係者との連携など仕組みの改良に取り組むことはできます」。こうした田中さんのプランニングは、業務再構築や建物への深い知識と豊富な経験、防災に対する蓄積された取り組みがあってこその細やかな内容です。
#chapter3
企業においても不動産においても、それぞれが持つ特徴は様々です。その一つひとつに対応した防災対策は必要でしょう。その特徴に合わせた対策の他に、汎用性のある柔軟な対応策はあり、その普及こそが急務であり、気づきが必要、と田中さんは主張します。
「それは、大がかりな工事だけでなく、家具の配置など、小さな効果しか得られないと誤解されがちな細かな事の積み重ねが、私達の足元を固めていきます。その汎用性のある対策は今すぐにでもできるのですから」。その細かなことは、企業の事業存続へと繋がります。そして企業を構成しているのが人である以上、企業の存続は、人の暮らしを守ることにも繋がります。今いる場所で、一人ひとりの防災への、そして想定しうるリスクへの意識が生まれることはとても重要です。なぜなら、リスクを把握することで8割がた問題は解決すると言われており、残りの2割を実際の行動に移していけば、安全な未来へ繋がる対策になるからです。
「防災計画のみならす、事業継続計画を確立し、リスクを考慮した上で、次世代に繋がる安心したくらしの営みを実現することが使命」と語る田中さん。企業、不動産オーナー、個人、と益々、活躍の場を広げています。
(取材年月:2015年2月)
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Profile
リスク対策で根本的に事業を存続させる危機管理プランナー
田中和明プロ
宅地建物取引士
有限会社藍流経営研究所
全てを揺るがす災害に備え企業の事業存続を可能にさせる仕組みづくりを提案し、不動産所有者が災害に直面しても利用価値が下がらないようリスク対策のプランニングを得意とする
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