天然素材・オーガニックの香りと文化を生み出す調香師 Hiroko近藤

天然素材・オーガニックの香りと文化を生み出す調香師

Hiroko近藤

フランスの香料会社にラボを持ち、国際有機認証機関の基準に沿って開発生産

　オーガニック調香師で、「Hiroko.K」の代表を務めるHiroko近藤さん。農薬などに頼らず、太陽・水・土と自然の恵みで育てられたオーガニックの原料のみを使用した、香水やルームフレグランス、スキンケアアイテムを展開しています。

　「水蒸気蒸留法という伝統的な製法によって植物に含まれる香気成分を抽出し、ハンドブレンドしています。香料を溶かすアルコールも貴重な植物性オーガニックのものを取り寄せ、石油系成分や人工香料、人工着色料は使用しておりません。フランスに本部を置き、世界的にみても審査が厳しいことで知られる『エコサート（国際有機認証機関）』の基準に沿って、開発生産しています」

　天然の素材だから、例えば花咲く庭のような、深い森の中のような、川を渡る風のような、清潔感や清爽感があると言います。

　「日本では香水が苦手という人が少なくありませんが、優しく押し付けない香りなので、男女問わず受け入れてもらえると思います」と近藤さん。広く愛される特長を生かして、香りのコンサルティングサービスを行っています。

　「レストランやホテル、アパレルなどのブランディングにご活用いただけます。ある高級フレンチレストランでは、エントランスやパウダールーム、おしぼりなどに用いる香りをトータルにプロデュースしております。ビャクダンやヒノキなどを使い、和の空間に合うテイストもつくることができます」

　フランスの香料会社でオーガニック専門部門にラボを持ち、独自のメソッドで、店や企業の印象アップにつながるオリジナルの香りを提供します。

船のエンジニアから調香師へ。渡仏してオーガニックについて学ぶ

　近藤さんは、船のエンジン部品を製作する工場を約15年間経営。主に、東アジア諸国の国家的プロジェクトで建造される船に携わりました。

　「経営者として、エンジニアとして工場を運営する中で世界各地を飛び回りました。各国でホテルをたびたび利用する中で、天然素材からできる石鹸と巡りあい、それをきっかけにアメニティーを扱う事業を立ち上げることになりました」

　豊富な海外経験を生かして、2000年にエッセンシャルオイル(精油)を用いたアロマ製品で先駆的なイギリスの会社の日本総代理店となり、百貨店に出店。英国留学し、美容学校でハンドテクニックといったエステティック全般について学びました。

　「業績は順調だったものの、自分で使ってみた感覚でしか商品の良し悪しを判断できないことに、疑問を抱くようになりました。エンジニアとして造船の仕事をしていた時は、製品の性能を保証する書類がないと取引ができなかったため、品質を明示できない落差に戸惑いました。自信を持ってお客さまに商品をおすすめするにはどうすればいいかを考え、一からオーガニックについて勉強することにしました」

　フランスに渡り、エコサート認証について知見を深めた近藤さん。アメニティーを提案していた都内の高級ホテルから、客室の香りもお願いしたいとオファーを受けます。

　「多様な方が訪れる場所ですから、安全性に配慮し、試行錯誤の結果、オーガニックの原料を使ったフレグランスを開発。11年間にわたって採用されました」

自分に合ったレシピでオリジナルの香水をつくれるワークショップも開催

　ホテルなどでは、おもてなしの心を表しながら個性が強すぎず、心地いい香りを目指してきた近藤さん。

　さまざまな商品を手掛け、2008年には、独自ブランド「Hiroko.K」が、エコサートのオーガニック化粧品に認定。産婦人科のクリニックで、妊娠中のストレス緩和や産後のケアにも採用されています。肌なじみの良さからリピーターになる人や、友人や家族に紹介する人も多いとか。

　「香りには音楽の音符のように高低があり、和音のように調和させて、穏やかで上品なハーモニーを奏でます。奥深い香りの世界を多くの人に知ってもらうため、香水を自作してもらうワークショップも開催しています」

　すがすがしいグリーン系、華やかなフローラル系、落ち着いたウッド系、軽やかで透明感のあるエア系といった好きな香りの系統、あるいは香りを感じたい時間帯などをヒアリングし、一人一人にぴったりのレシピを提案します。

　「完成すると、『私ってこんな感じなんだ』と皆さまに喜ばれています。『気持ちが明るくなって、前向きになれる』『毎日つけたくなる』『今まで香料が入った製品は使えなかったけれど、オーガニック香水ならつけられた』といった声もよくいただきます。制作キットをご自宅に送るオンラインセミナーもありますので、遠方の方もご参加ください」

　香りは、その人の魅力をさらに輝かせるもの。毎日の生活に、植物のエネルギーを感じられるオーガニックの香水を取り入れてほしいと近藤さんは笑顔で話します。

（取材年月：2024年9月）

優しく押し付けない香りが特徴のオーガニック香水で、企業や人をより魅力的に表現

フランスの香料会社にラボを持ち、国際有機認証機関の基準に沿って開発生産

船のエンジニアから調香師へ。渡仏してオーガニックについて学ぶ

自分に合ったレシピでオリジナルの香水をつくれるワークショップも開催

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