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木々が持つ本来の特長を生かし、自然の在り様を大切にした庭づくりで心豊かな毎日を

顧客との対話を重視し、理想をカタチにする庭づくりの専門家

萬知浩

萬知浩 よろずともひろ

#chapter1

植栽樹木の形状を整え成長を促すメンテナンスや外構工事、小さな庭づくりに柔軟に対応

 「春先は芽吹いた新芽を、初夏になれば色濃く茂った緑を、秋には紅葉、冬は落葉した立木と、四季折々の風情を堪能し、心豊かに過ごしていただきたいですね」

 そう語るのは、「Green works ひなたとみどり」の萬知浩さん。樹木・植栽の種類や生育状況に応じ、伸びた部分をカットして形状を整えたり、日当たりや風通しをよくして成長を促すため“忌み枝”と呼ばれる不要な枝を取り除いたり、芝刈りや雑草を除去したり。庭のメンテナンスやリフォームなどを手掛けています。

 「当方は木々が持つ本来の特長を生かし、自然の在り様を醸し出すことを大切にしています。全体のバランスを取りながら、ありのままの姿に触れることで生命力を感じ、かれんに咲いた花や、けなげに成った実を見て心を癒やしてもらえればと思います」

 東京都昭島市を拠点に、離島を除く都内全域をはじめ、神奈川県、埼玉県、山梨県といった近隣エリアに足を運ぶ萬さん。地域の環境や周囲の景観にも配慮して、庭木を手入れしています。

 「他の造園業者さんとやることは同じですが、できることがちょっと少ないんです。何十メートルという大きな木を切るのは難しいですが、『ガーデニング用にちょっとした花壇を作りたい』など、お客さまの細かいリクエストに応えられるのが強みです。木を入れ替えたい場合は、お好みやお住まいの外観に合った樹種をご案内します」

 砂利敷きやレンガの敷設、フェンスや生け垣の設置といった外構工事も行い、小さな庭づくりも得意とするところ。対話を重ね、デザインから施工まで一貫して担います。

#chapter2

会社員生活から植物を育て好きなことを仕事にするべく独立し、庭師の道へ

 庭師になる前は、20年余り会社勤めをしていた萬さん。子どもが成人を迎える頃、「子育ても終わるし、やり残しや悔いがないように生きよう」と決意します。

 「人を育てる人事総務に長く従事してきましたが、自分の人生を考えたときに、今後は大好きな植物を育てる仕事に就きたいとの情熱がわき上がり、気力、体力ともにある今がタイミングだと感じたんです」

 退職後は職業訓練校で造園について学び、まずは外構工事の会社に入社。約3年間修行を積み、現場の状況に応じたコンクリート土間施工、ブロック施工、フェンスの施工等、工事の基礎を習います。次に植木業者で2年ほど働き、剪定技術を身につけるなど、自然樹形を考慮して絶妙に輪郭を描くノウハウを習得しました。

 「お客さまとのやり取りも庭の管理も一通り経験を積んだことで自信が付き、独立することにしました。30年近く盆栽をやっていたので、植木との向き合い方を理解していたことも背中を押しました」

 サラリーマン時代の経験も、現職で大いに生きています。従業員らの声に耳を傾けてきたことから、特に顧客のニーズを深掘りし、個々に適したプランを提案する力が養われたと言います。

 「ご用命いただく際、具体的にどうしたらいいのかイメージができていないケースがほとんどなので、お客さまの言葉の奥にある思いや真意をくみ取ることを心掛けています。和洋のテイストや、シンボルツリーを中心にかわいい草花をあしらってほしい、洗練された雰囲気にしてほしいなど、理想をお伺いしカタチにいたします」

#chapter3

「好き」を仕事にできる幸せ。今後は庭づくりの魅力や意義、技術を次世代へ

 2022年5月に個人事業主として独立した萬さん。当初は不安もあったそうですが、顧客からは「手際の良さとセンスの良さで満足のいく仕上がり」「プロの手できれいにしてもらいすっきりした」といった感想が寄せられ、今では口コミや紹介で依頼が舞い込むことも増えています。

 「自分がやりたかった仕事で、お客さまにも喜んでもらえる。こんなに幸せなことはありません。葉が風に吹かれて奏でる優しい音や、柔らかく降り注ぐ木漏れ日を多くの方に楽しんでいただくことが私の願いです」

 最近では、「両親が施設に入り、空き家になった庭をなんとかしたい」という相談も増えているそうで、不要になった木を廃棄するのではなく、養生して再利用することを構想。職業訓練指導員の資格を取得し、若い世代に技術を伝えることも視野に入れています。

 「人手不足などを背景に業界が先細りにならないように、後進を育成していきたいと考えています。興味を持ってもらうためにも、庭づくりの魅力や意義を伝えていきたいですね」

 顧客の希望をかなえるため、丁寧にコミュニケーションを深める萬さん。料金の透明化も重視し、作業中に料金が変動する可能性があれば必ず事情を説明して意向を確認し、納得を得てから進めています。

 「お客さまに対して私から『こうすべき』と強要することはありません。相談ベースで終わっても構いませんので、お庭に関するお悩み、ご要望など、どんなささいなことでもお気軽にお話しください」

(取材年月:2025年3月)

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専門家プロフィール

萬知浩

顧客との対話を重視し、理想をカタチにする庭づくりの専門家

萬知浩プロ

造園業

Green works ひなたとみどり

造園だけでなく外構工事の知見を生かし、庭づくりをサポート。顧客との会話の中から隠されたニーズをくみ取り、より良いプランを提案できる。小規模だからこそ小回りが利くのも強みの一つ。

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