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愛犬のベストトレーナーは飼い主。しつけではなく、尊重から始まるトレーニング

愛犬と飼い主の信頼構築から悩みを解決に導くドッグトレーナー

吉永優子

吉永優子 よしながゆうこ
吉永優子 よしながゆうこ

#chapter1

困った行動は根本原因から考える。オーダーメードのプライベートレッスン

 「吠えや噛み、引っ張り、トイレ問題、お留守番問題など、愛犬の行動に悩んでいる方、思い描いていた暮らしとの違いに戸惑っている方は、一度ご相談ください」と話すのは、「ワイズ コンパニオンドッグ トレーニング」代表でドッグトレーナーの吉永優子さんです。

 大切にしているのは、飼育環境を重視したオーダーメードのトレーニング。そのため、自宅訪問のプライベートレッスンを採用しています。

 「ご自宅だと、犬も飼い主さんもリラックスした状態で取り組めます。日常の生活空間で起きている問題を、一緒に確認できるのも大きな利点です」

 最初は2~3時間かけた丁寧なカウンセリングから始まります。愛犬の様子を細かく観察し、すぐに改善できる点があれば、その場でアドバイス。説明に納得したうえでトレーニング契約となるため、安心感も大きいといいます。
 トレーニングは、犬の性格やストレスの程度に配慮しながら、無理のないペースで進行。実技だけでなく、座学にも力を入れています。犬という動物、成長段階やボディーランゲージ、学習の仕組みなどを理解することが、根本的な改善につながると考えているからです。

 また、子犬期のトレーニングの重要性も強調。生後4~5カ月頃までの「社会化期」に、さまざまな刺激を受け止める心の受容力を育てることが大切です。社会化が不十分なまま成犬になり、問題行動として表面化するケースは少なくないと指摘します。

 「ただし、社会化期を過ぎたからといって、あきらめる必要はありません。社会化は一生続きます。なぜこの行動が出ているのかを丁寧にたどることで、解決の糸口は必ず見えてきます」

#chapter2

動物福祉先進国デンマークのヴィベケ理論に学び、トレーニングを深化

 吉永さんは、専業主婦などを経て40代で外資系投資顧問会社に入社。アルバイトからのスタートでしたが半年後正社員となり、後に運用部のファンドマネージャーとして活躍。在職中には夜間大学院に通いファイナンスとマネジメントを学び、仕事と学びを両立させてきました。「学ぶことは昔から好きなのです」と振り返ります。

 「子どもの頃から動物が好きで、定年退職を機にドッグトレーナーの道に進みました。都内の養成スクールで学ぶ中で、恐怖や力に頼らないポジティブトレーニングの理念に触れ、これこそ自分が大切にしたい考え方だと感じました」

 2013年に開業後、持ち前の向上心でドッグトレーナーの国際資格CPDT-KAを取得。300時間以上の実務経験や専門知識が求められる世界基準の資格で、取得後も3年ごとの更新が義務付けられています。新しい知識の継続的な学びが欠かせない点が特徴の一つです。

 さらに大きな転機となったのが、デンマークの動物行動スペシャリスト、ヴィベケ・S・リーセ氏との出会いでした。動物のボディーランゲージを読む才能に長け、長年にわたる狼研究、動物園での大型肉食獣をはじめとする多くの動物のトレーニングで知られた人物です。

 吉永さんは2018年から5年間、日本でのセミナー事務局を担当。教材の翻訳や資料制作に携わるとともに、現地デンマークを訪問し、動物福祉先進国のトレーニング現場を学びました。その経験を経て、2023年にはヴィベケ氏の理論を体系化したトレーニングメソッド「RPTM(Reese Preventive Training Method)」の認定トレーナーとなっています。

吉永優子 よしながゆうこ

#chapter3

困った行動を「予防」する。「尊重・信頼・協力」のトレーニング哲学

 RPTMの大きな特徴は、「予防」という考え方にあります。
 「多くの飼い主さんは、困った行動が生じた際の対処を考えがちですが、本当に大事なのは、その行動が起きる原因を探し、環境や関わり方を丁寧に変えていくことです。そもそも困った行動が起きないよう手を打つこと、つまり予防をするのです」

 その根底にあるのが、「尊重・信頼・協力」という考え方です。命令ではなく、信頼し合い、協力してもらう関係性を築くことを重視します。飼い主が先に尊重の意思を示すことで、犬は「この人は自分を守ってくれる存在」と感じ、飼い主を尊重するようになります。
 「まずは犬の体全体のサインを観察してほしいです。気持ちを尊重した対応が、犬との信頼関係を育てます」

 この考え方に触れ、「子育てと同じですね」と感想を漏らす人も多いとか。実際、これは人間の教育心理学をベースにした科学的なトレーニングの手法です。

 「犬をトレーニングするのはトレーナーではありません。愛犬にとってベストトレーナーは飼い主さんです。最初は不安を感じていた方が愛犬と次第に気持ちが通じ合う過程を実感されるのを見ると、トレーナーとしてこれ以上の喜びはありません。トレーニングは、しつけではなくコミュニケーションの手段。そのことを伝えていきたいですね」

(取材年月:2025年12月)

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吉永優子プロ

ドッグトレーナー

ワイズ コンパニオンドッグ トレーニング

動物福祉先進国デンマークのヴィベケ理論から学んだトレーニングを提供。飼い主が愛犬の一番の理解者、導き手になれるよう、また困った行動は根本原因を探り予防的な関わり方を、理論と実践の両面から支援します。

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