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アプリのユーザー数を増やすのではなく、損益分岐点に基づき利益を出すのが仕事

ダウンロード数よりも利益増を追及するアプリマーケター

田中勇輝

田中勇輝 たなかゆうき
田中勇輝 たなかゆうき

#chapter1

測定ツールを駆使してアクティブなユーザーを獲得。売り上げが約40倍に増えた顧客も

 アプリの開発とマーケティング支援を専門とする「アドバン」の代表・田中勇輝さん。2010年、ガラケーが主流の時代に創業し、現在は年商10億円に迫るなど堅調に業績を伸ばしています。

 「ホームページにSEO(検索エンジン最適化)対策があるように、アプリにも認知度を高めるためのASO(アプリストア最適化)対策が必要です。私たちは自社アプリも運用し、検索ダウンロードを6倍以上にした経験も糧に、『成功した手法のみお客さまに提案する』との方針で信頼を得てきました。新規クライアントの9割以上が契約更新に至るのが誇りです」

 意識しているのは、表面的な数字の改善よりも「顧客の本当の要望」を知ること。特に損益分岐点を把握し、指標を超えて利益を出すための施策にこだわります。

 「主にSNS広告を活用しますが、一時的にダウンロードが増えてもすぐに削除されては意味がありません。また、長期間ログインされないなど非アクティブや非課金のユーザーばかり集めてもマイナスの結果ですよね。当社は各種測定ツールを駆使し、ユーザーの行動などを分析して“もうかる”を追求します。この点が何よりの強みです」

 5年にわたり支援するメンタル相談アプリの会社は、田中さんの提案で毎月の売り上げが50万円台から2000万円台に増加。広告運用に加え、カウンセラーの音声機能を追加するなどアプリ自体の改善もサポートしています。

 「当社は事業成長を支えるため、コンサルティングも承ります。短期的な成果よりも本質的な価値提供を重視し、10年、20年先もパートナーでいることが目標です」

#chapter2

アプリ開発の原点は幼少期の音楽活動。あふれるアイデアを具現化するため独立

 子どもの頃からピアノやバイオリンをたしなみ、専門学校で作曲を学んだ田中さん。社会に出ると営業の才能が開花し、新聞契約のテレアポで成績1位をキープします。

 「成果を上げても『新聞という看板を借りたにすぎない』とむなしく、心の中では幼少から触れたクリエイティブを仕事にしたいと思っていました。貯金もできたので将来を熟考しようと家にこもり、ネットゲームで200人規模の組織を作ったり、FX(外国為替証拠金取引)に没頭したりしました」

 パソコンのスキルでものづくりを始めようと、男女が会話できるオンラインサイトを構築しますが利用が進まず数カ月で終了。「良いものを作っても発信しなければ集客できない」とマーケティングの重要性を感じ、業界トップの会社に入社を申し出ます。

 「やる気を買われ快諾してくれました。ノウハウを学ぶ中で次々とアイデアが湧き、稟議の半分以上は私が出していました。簡単には通らず、自分で形にしようと再び独立しました。お世話になった会社は、今は大切なお客さまです」

 後に「アドバン」を設立し、顔文字アプリなどをリリース。流行に左右されないサービスを求める中、苦楽を味わったFXに着目します。

 「NISA(少額投資非課税制度)をはじめ投資が一般的になりました。対してFXはまだ浸透しておらず、イメージをつかんでもらおうとトレード練習用アプリ『Runcha(ランチャ)』を開発しました。毎日数分でも使い、金融リテラシーを高めてほしいです」

田中勇輝 たなかゆうき

#chapter3

金融教育アプリを広め自己資金を確保できる人を増やし、必要とされる企業へ

 「FXの魅力は預けた資金の最大25倍までトレードできること」と田中さん。株式投資などに比べて短期間のうちに大きな利益を狙えるため「Runcha」で判断力や相場感を養ってほしいと話します。

 「主なユーザーは老後の資産形成に興味がある50歳前後で、小遣いなどの余剰資金をFXに投じています。リスクも伴いますが、一定の損失が出ると取引を終了する強制決済の仕組みもあるのでトライしてほしいですね」

 田中さんのもとでは、ビットコインなどの仮想通貨でも金融教育用のアプリやサービスを展開。年金や退職金の不足が懸念され、物価高が影響する中で自分のお金をいかに確保するか、子どもたちも含めて投資の啓発は続けていきたいと言います。

 「写真投稿でポイ活できる『POISHA(ポイシャ)』も開発し、当社一押しのアプリです。“映え”に疲れた人に支持され、一定数の『いいね』を獲得すると現金などに交換できるのが特長です。『インスタに載せるのは恥ずかしい。でも写真を通じた交流を楽しみたい』という声に応えつつ収益性も備えました。気軽に使えるのでぜひ試してください」

 事業基盤が固まった今、2025年度からは新卒採用もスタート。目標は年商100億円に達することと意欲を燃やします

 「年商イコールお客さまの信頼です。私は行列のできるスイーツ店よりも粛々と続く老舗和菓子店に憧れます。『アドバン』を100年後も必要とされる企業にし、投資で失敗しない人を増やすのが私の役目でしょう」

(取材年月:2025年4月)

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ダウンロード数よりも利益増を追及するアプリマーケター

田中勇輝プロ

アプリマーケター

株式会社アドバン

投資や写真共有アプリを自社開発し、運用に成功したマーケティング手法を顧客に還元する。損益分岐点を明確にし、ユーザーの継続率向上も見据えた戦略が好評で新規クライアントの9割以上が継続契約する点が強み。

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