生徒の状況に合わせたレッスンで「楽しい」を実現するギター講師小出慎也

生徒の状況に合わせたレッスンで「楽しい」を実現するギター講師

小出慎也

生徒の希望やペースに合わせてギターレッスンを調整し、モチベーションをアップ

　「ギターはロックやポップス、ジャズ、クラシックなど多様なジャンルで使われる、汎用性の高い楽器です。教室には、幅広い年齢層の生徒さんが通っています。ギターを通じて人生を豊かにするお手伝いができたらうれしいですね」

　そう語るのは、音楽教室「JAMミュージックスクール」でギター講師を務める小出慎也さん。「エイトビート」が運営するスクールで、東京都墨田区の両国校と千代田区の秋葉原校を開いています。

　「指導が厳しいのではと気おくれし、ハードルが高いと感じる方もいるかもしれませんが心配はいりません。私たちは『楽しく学ぶ』をモットーにしています」

　初心者であれ、経験者であれ、講師の前で演奏するのは緊張するもの。小出さんは心を解きほぐすため、細やかに配慮します。

　「特にレッスンの初期段階は注意しています。気分が乗らないときは、音楽理論の話をしたり僕が弾いたりして、少しずつ慣れてもらいます」

　お気に入りの曲を弾き語りしたい、エレキで音をかき鳴らしたいなど、希望はさまざま。仕事で多忙な人や、介護など家庭の事情を抱える人など、限られた時間の中で通う生徒に対し、尊敬の念をもってサポートしていると言います。

　「お疲れかなという日は簡単な指使いにして『弾く楽しさ』を味わってもらい、調子が良さそうな日はチャレンジングな曲に取り組んでもらいます。講師が丁寧に寄り添うことで、生徒さんの『ギターを続けたい』という気持ちを後押し。モチベーションを保てることが、音楽教室に通う大きなメリットだと考えています」

失敗を経験し、指が震える時や頭が真っ白になった際の対処法も共有

　ピアノやギターがある家庭で育った小出さん。幼い頃から遊びの延長としてギターに触れていました。
　「本格的に関心を持ったのは高校生の時です。友人が弦をつまびくと周囲に人が集まってきたんです。『ギターを弾けるってすごい』と感心し、友人とバンドを組みました」

　音楽専門学校で音楽理論やギターの基礎を学び、卒業後は都内のライブハウスを拠点に、バンド演奏やセッションなどを重ねました。
　「メンバー募集の貼り紙を見て面接に行き『ブルースをAで弾いて』と言われても、当初は全く理解できませんでした。家に帰って悔しさをバネに練習し、少しずつテクニックを身につけました」

　場数を踏み、柔軟性や即興力を磨いた経験は、ギター講師として大きな強みになっています。

　「失敗ばかりしていたので、うまくいかない歯がゆさもよく分かります。今でこそ人前で歌ったりもしていますが、実はとても臆病な性格。指が震えるときの対処法や、頭が真っ白になった時のごまかし方なども実体験として伝えています」

　レッスンを通じて多くの生徒と関わる中で、自身が学ぶことも多いと話します。

　「大企業の役員を務めている生徒さんがいます。立場上、人前で話す機会は多いと思いますが、教室の発表会の時に僕にも分かるほど手足が震えていたんです。励ましながら無事に演奏を終えた後、輝くような表情をしていました。挑戦に年齢は関係なく、人生を鮮やかに彩ってくれるのだと教えられ、講師として改めてやりがいを感じました」

人と音楽が一緒になる、日常から少しだけ抜け出せる特別な瞬間

　レッスンの成果として年に2回、ライブハウスやコンサートホールを貸し切って発表会を開催しています。
　
　「発表会当日は、みなさん緊張とワクワクが入り混じる高揚感の中で、手に汗を握りながらギターを弾きます」

　いつもは教室で静かに練習している生徒が、ステージでは堂々とギターを弾き、まるで往年のロックミュージシャンのような輝きを放つ――その姿は、講師にとっても大きな感動です。

　「ステージ上では生徒も講師も一緒になって音を奏で、笑い合う。そこには、世代も職業も関係ない、音がつなぐ一体感が流れています」

　人前で演奏したり歌ったりすることは、日常とは違う刺激があり、リフレッシュにもつながるそう。
　「生徒も講師も一緒になってギターを鳴らしてわいわいと語る。そんな幸せな空間を大切に、これからも音楽の輪を広げていきたいと思います」

（取材年月：2025年5月）

「楽しく学ぶ」をモットーに、ギターを通じて人の輪を広げ人生を豊かに

生徒の希望やペースに合わせてギターレッスンを調整し、モチベーションをアップ

失敗を経験し、指が震える時や頭が真っ白になった際の対処法も共有

人と音楽が一緒になる、日常から少しだけ抜け出せる特別な瞬間

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