PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

健康サポートレストランやサッカースクールなど、豊かな発想と行動力で、事業の新しい分野を切り開く

地域の在宅医療支援と健康な体づくりのプロ

井原庸佑

料理
井原様顔写真

#chapter1

健康サポートレストラン「絆キッチン」は地域の栄養ケアの拠点

 「グローバル・アシスト」は、徳島県内11カ所、千葉県に1カ所の調剤薬局と、介護支援センター、ヘルパーステーション、介護用品販売所やケア付き住宅などの幅広い介護・福祉事業を展開。1998年の設立以来、地域医療の求めに応えて1カ所ずつ事業所を増やし、近隣住民や高齢者の在宅医療をサポートしてきました。
 井原庸佑さんは、創業者である父親のもと、同社の調剤薬局で薬剤師としての業務に携わりながら事業運営を担っています。

 「徳島県は、若年層の流出や山間部の医療体制の遅れなど、地方の宿命とも言える問題を抱えています」と井原さん。「さらに厚生労働省の調査によると、1993年から2004年にかけて12年連続して『糖尿病死亡率全国ワースト1位』という不名誉な記録があります。県や各自治体の注意喚起などによって一時は改善したものの、再び上位に定着してしまい、依然として糖尿病死亡率の高い状態が続いているのです」

 こうした問題に対処すべく、徳島県では「健康とくしま応援団」を創設。地域住民の健康づくりをサポートするための環境整備に取り組む企業や店舗を募っています。同社は、運営する健康サポートレストラン「絆キッチン」の取り組みなどにより、2018年にこの応援団に登録されました。

 「当初は、職員の健康増進や生活習慣病予防が目的で、管理栄養士が考案した弁当を当社の事業所に配達していました。やがてレストランとして営業を始め、地元の栄養ケアを支援する拠点に。県内の民間企業で初の栄養ケア・ステーションとしても認定されました」と井原さん。「調理法や味付けに工夫を凝らした低カロリー&減塩のヘルシーランチが好評で、今後は各家庭への宅配にも対応していくつもりです」

#chapter2

服薬指導や在宅介護のサポートのほかに何かできることはないかと模索

 井原さんは、糖尿病死亡率が高い理由を「徳島県は山海の幸に恵まれ、おいしいものがたくさんあります。また列車は気動車のみで、日本で唯一"電車″が通らない県として知られているほど。公共交通の便が良いとは言えず、移動手段はもっぱら自動車です。自宅から車で目的地まで移動できるため、慢性的な運動不足になりがち」と考察。薬剤師として服薬指導や在宅介護のサポートをするだけでは、思うような改善が見られないため、ほかにも何かできることはないかと模索してきました。

 そんなとき知人を介して、徳島県出身でサッカーの元U18日本代表、ドイツプロチームの所属経験もある桑島昂平さんと出会い、サッカースクールを立ち上げることを思い立ちます。2021年2月に「SpaS(シュパース)サッカースクール」を設立。初心者からチーム所属の経験者まで、地元の3歳~15歳の青少年約30人が参加。桑島さんを中心に、徳島市内3カ所で、それぞれの能力に合わせた指導を行っています。

 「『シュパース』とはドイツ語で『楽しみ』という意味。子どもたちにボールを使って体を動かすことの楽しさを感じてもらうことと、体づくりや基礎的な技術を習得して、一人一人の能力を引き出して輝いてほしいという思いが込められています」 

 そう話す井原さん自身も、子どもたちと関わる機会を大切にしています。
 「ただサッカーの技能を教えるだけではなく、スポーツを通して努力を積み重ねることの意義を知り、自分で考え決断し、行動する自主性も身につけてほしいですね」

サッカースクール

#chapter3

スポーツを通して青少年の体の基礎を作り、真の人間力を鍛えて欲しい

 「体づくりや健康に対する関心を高めるためには、早い時期からの意識付けが重要」と、サッカースクールとは別に、管理栄養士による栄養講座など、保護者も参加できる講演会を開催。「睡眠とスポーツとの関連」については、井原さん自身が講師として登壇しました。
 
 井原さんが医療のサポートだけではなく、健康的な体づくりのための事業展開を進めるのは、自身も少年時代からバスケットボールに打ち込んできた経験があるから。大学在学中から社会人チームに属してプレーしたのち、コーチとしてジュニアの指導に当たったことも。
 「スポーツは体を鍛えるだけではなく、勝ち負けなどのこだわりが強くなります。『もっとうまくなりたい』という向上心を持つことも必要ですが、誰もがプロ選手になれるわけではありません。いつか自分の能力を見極めるときがきても、ほかに習得した大事なものは何なのか、自信を持って答えられるような人間力を蓄えてほしいのです」

 豊かな発想力と行動力で、事業の新しい分野を切り開く井原さん。「これまで以上に地域に根ざした医療サポートに力を入れると同時に、私たちの知識を、体の基礎を作る段階にある子どもたちが健康な体を維持し続けられるように活用したい。そして近い将来には、スクールから大会に出られるような選抜チームができたら」と目を輝かせます。

(取材年月:2021年4月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

井原庸佑

地域の在宅医療支援と健康な体づくりのプロ

井原庸佑プロ

薬剤師

株式会社グローバル・アシスト

薬剤師資格を持ち、調剤薬局のほか在宅医療の服薬指導など介護に関わる事業所を運営。健康づくりのための推奨メニューを提供するレストラン、強い体と心を鍛えるスポーツの推進など健康維持や予防に取り組む

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ徳島に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または四国放送が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO