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働くお母さんの「あともう少し」に寄り添いたい。静岡で愛される民間学童

学童の枠を超え、母親のキャリアと休息を同時に守り抜くプロ

埴岡千代

埴岡千代 はにおかかずよ

#chapter1

民間学童を始めた理由は「働くお母さん」を応援したい

 「保育園の頃は良かったけれど、小学校に入った途端、仕事が続けられなくなる……」

 そんな切実な悩みを、かつてキャリアカウンセラーとして多くの女性から受け止めてきたのが、株式会社プチふぁみの代表、埴岡千代さんです。自身も13年間の専業主婦を経て社会復帰した際、育児と仕事の両立に悩んだ経験を持つ一人。だからこそ、働くお母さんたちが直面する「学童の閉所時間が早すぎる」「急な残業に対応できない」という切実な問題が、他人事とは思えませんでした。

 「できないとは言えなくて」と笑いながら振り返る埴岡さんですが、そのスタートは驚くほどパワフルです。静岡市のビジネスプランコンテストで大賞を受賞したことをきっかけに、周囲の期待に背中を押される形で起業を決意。当時はまだ珍しかった「民間の学童保育」という未知の領域に飛び込みました。まわりから冷ややかな言葉を投げかけられたこともあったそうですが、埴岡さんの視線は常に、目の前で困っているお母さんたちに向けられていました。
 現在、プチふぁみが地域で圧倒的な信頼を寄せられている理由は、その徹底した「親目線」のサービスにあります。21時までの通常預かり、夕食の提供、さらにはお風呂まで済ませて、パジャマに着替えて帰宅できる体制。
 これらはすべて、仕事で疲れ果てて帰宅した親御さんが、少しでも余裕を持って子供と向き合える時間を作るための工夫です。「帰宅後は寝るだけの状態でバトンタッチできれば、お母さんの心の余白が生まれる。その余白で、お子さんと今日あったことをゆっくり話してほしいんです」と語る埴岡さんの言葉には、同じ母としての深い共感が込められています。

 さらに、その精神は、発達に特性のあるお子さんへの支援にも広がっています。埴岡さんは、「放課後等デイサービス」の事業も展開。保護者の就業継続を念頭に置きながら、お子さまの成長後を見据え、個々の特性に合わせて「楽しみながら身につけていく」丁寧な療育を行なっています。

#chapter2

宿題からフランス語、さらにはダンボールピザまで!? 五感を刺激する体験の宝庫

 プチふぁみの魅力は、単なる「預かり」の枠を大きく超えています。例えば、長期休み恒例の「お泊り会」では、子供たちが自分たちで企画書を作成。タイムスケジュールから予算、持ち物リストまで自分たちで考え、保護者の承諾を得るための書類まで用意します。これは埴岡さんがキャリアコンサルタントとして「指示待ちにならない、自ら考え行動できる基礎力」を育てたいという、出口からの逆算で生まれた運営方針です。

 長期休みの活動も驚きに満ちています。ある日は、フランス語の先生を招いて「けん玉をしながらフランス語で挨拶」を楽しみ、またある日は、インドネシアの留学生と春巻きを作って異文化に触れる。さらには、火起こし体験発展バージョンとして、ペットボトルで生地を作り、アルミホイルを巻いたダンボールの窯でピザを焼くといった「本気のピザづくり体験」まで行われます。こうした五感を刺激する体験は、子供たちの記憶に鮮烈に刻まれます。「あ、できた!」という小さな成功体験の積み重ねが、勉強だけでは得られない自信へと繋がっていくのです。

 学習面でも妥協はありません。子どもたちの手がなかなか進まない宿題について、プチふぁみでは国立大学の学生アルバイトを採用し、宿題をきちんと終わらせるサポートを行っています。この4月から始まる自由参加の英語教室も、中学との差に困らないよう、卒業生の保護者である英語講師と連携して「楽しみながら身につく」内容を無料提供。埴岡さんの広い人脈と「子供たちに良いものを」という情熱が、この環境を支えています。

#chapter3

頑張るお母さんの伴走者として。信頼が繋ぐ、家族のようなコミュニティ

 「ここがなかったら、仕事を辞めていたかもしれない」。そう言って卒業していく保護者の言葉が、埴岡さんの最大の原動力です。中には、プチふぁみを利用しながらパートから正規職の採用試験に合格したお母さんや、専門資格を取得し職種内でステップアップされた方も。また、あまりの心強さに、わざわざ学童の近くへ引っ越してきたご家庭もあったというエピソードには、この場所がいかに家族の人生に深く関わっているかが表れています。

 コロナ禍などの困難な時期も、保護者との強い結束力で乗り越えてきました。埴岡さんはキャリアコンサルタントの資格を活かし、子供だけでなく親の仕事やキャリアの悩みにも真摯に耳を傾けます。
 単なる「預け先」ではなく、共に子供を育てる「パートナー」として存在しているのです。もしお迎えが遅れてしまったときでも、「早く来てください」ではなく「今日もお疲れ様でした」と声をかけ合える気持ちを持ち続けたい。その温かさが、張り詰めた環境で頑張るお母さんたちの心を解きほぐしています。

 設立から10年以上。今では一期生が大学生になり、近況報告に訪れることもあるそうです。
 定員に達してしまい入所をお断りしなければならない心苦しさも抱えつつ、埴岡さんは次を見据えています。スタッフの育成や、より質の高い体験の継続。「自分の人生を捧げているよう」と周囲に言われるほど、この仕事に心血を注いできました。

 名前の通り、ここは地域に開かれた「小さな家族」のような場所。もし、仕事と子育ての狭間で孤独を感じたり、小学校入学を前に不安を抱えたりしているなら、一度その扉を叩いてみてはいかがでしょうか。そこには、あなたの頑張りを誰よりも理解し、笑顔で迎えてくれる「もう一人の家族」が待っています。

(取材年月:2026年3月)

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埴岡千代

学童の枠を超え、母親のキャリアと休息を同時に守り抜くプロ

埴岡千代プロ

キャリアコンサルタント

株式会社プチふぁみ

お迎えが遅れる際の罪悪感や家事負担を減らすため、21時までの預かりと夕食・入浴、歯磨きまでを提供。さらに元キャリアカウンセラーの知見を活かし、母親の就労や人生の悩みに伴走する拠り所となります。

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