より良く生きるため「終わりの準備」の必要性を伝える終活のプロ
前田孝二
Mybestpro Interview
より良く生きるため「終わりの準備」の必要性を伝える終活のプロ
前田孝二
#chapter1
「終活とは人生の終わりを考えることで、今をより良く、大切に生きていくことでもあります」と話すのは、「中海葬儀社」の終活カウンセラー・前田孝二さん。島根県・鳥取県で6つの葬儀場を運営する傍ら、「終活がなぜ必要なのか」を伝えるための終活セミナーや講座を開催しています。
セミナーで取り上げるのは、遺言や保険の見直しといった相続関連のほか、葬儀の形、住まいの片付けなど幅広い内容で、これらを実践することで、子どもや家族に引き継いでいきたいものを整理することができる。ひいては「自分が大事にしていること」や「これからどう生きていきたいか」を考えることにつながると前田さんは続けます。
「何事にも『終わり』があります。いずれやって来る終わりに向けて準備をすることで、自分らしさとは何かを見つめ直すことができるようになります。『今』と『これから』を自分らしく生きていくためにも、人生のゴールをしっかりと見すえ、道筋を立てておきましょう」
セミナーの参加者は、40〜50代が中心。「終活」という言葉が社会に認識され始めた約10年前と比べて、「早いうちから始めたい」といった意識の高まりを感じているそうです。
「しかし、実際に行動に移している人は少ないのが現状です。終活に対する理解を深めてもらえるような働きかけを、今後も続けていきたいですね」
これまで、自治体や婦人会などに積極的に企画を持ちかけ、無料でセミナーを実施してきたという前田さん。終活の意義を知り、前向きに取り組むことで、最期を迎えるその日まで、充実した日々を送ってほしいと願いを込めます。
#chapter2
前田さんが終活カウンセラーとしての道を歩み始めたのは、夫を亡くした80代の女性との出会いがきっかけでした。
「主人の生前に準備をしていなかったので、本人のやりたいこと、私がやってあげたいことをかなえることができず、つらかった。自分が逝った時、残された家族に同じ思いをさせたくない」と相談を持ちかけられたそうです。
「夫の遺骨と一緒に旅行へ行きたい」「私を見送る時には庭の花を入れてほしい」など、会話を重ねるごとに「やりたいこと」、そして「実現するには何をすべきか」といったことが、明確になっていったそうです。
「ご本人や息子さんのお話に深く感じ入り、学ぶことがたくさんありました。当時の私は、終活に関する専門的な知識がなかったので、これを機に『人生のエンディングについて勉強しよう』と決心し、終活カウンセラーの資格を取りました」
その女性が前田さんに伝えた「先に整えておくと安心ね」という一言が忘れられず、今でも心に刻まれているそうです。
自分の死と向き合う「終活」は、時にネガティブな印象を持たれ、敬遠されてしまうこともあります。「縁起でもないし、想像もしたくない」という気持ちになるのは、人としてごく自然なことかもしれません。しかし身近な人、大切な人を亡くして初めて、後悔の念を抱く人を幾度となく目にしてきた前田さんは、「その必要性を改めて考えてみてほしい」と力強く話します。
#chapter3
かつては、友人や知人、ご近所さんなど大勢が参列するお葬式が主流でしたが、現在は、身内のみで行う「家族葬」を望む遺族が増えつつあります。また従来の流れではなく、読経や焼香といった儀式的な手順を省略して故人を弔うこともあります。
前田さんはそんな風潮を鑑みて、2016年に運営する葬儀社のマニュアルを廃止。遺族に寄り添い思いを遂げる葬儀社として、臨機応変に対応していきたいと志を立てました。
「ここ数年で葬儀のあり方が大きく変化しています。それに伴い、私たちも変わっていかなければいけません。これまで良しとされてきたものが、『必ずしも求められているわけではない』からです」
前田さんがスタッフを採用するとき、経歴よりも人柄に重きをおき、遺族との接し方なども、担当者それぞれに任せています。遺族の希望にそったお見送りをするためには、形式通りではなく、担当者が「最良のホスピタリティ」について考え、提案に反映していくことが重要だと言います。
再び葬儀を出すことになった際は、「前回と同じ人に担当してほしい」と遺族から指名が入ることも多いそうで、厚い信頼を得て地域にしっかりと根差している様子がうかがえます。
「柔軟な思考と細やかな配慮で、ご遺族のご要望に応えていきたいと思っています。また、みなさまの人生に寄り添う終活の相談役として、お役に立つことができれば幸いです」
(取材年月:2021年3月)
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Profile
より良く生きるため「終わりの準備」の必要性を伝える終活のプロ
前田孝二プロ
上級終活カウンセラー
株式会社中海葬儀社
中海葬儀社として葬儀場運営を手がける傍ら、終活に関わるセミナーや講座を無料で開催。終活とは、終わりを考えることで「今をより良く、大切に生きていく」ことにつながると、その必要性を伝える活動を行う。
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