木材を利用した建設の専門家
内山淳実
Mybestpro Interview
木材を利用した建設の専門家
内山淳実
#chapter1
家を建てる。しかも、無垢材をふんだんに使った注文住宅をつくる。――これは、一般的な感覚では、かなり贅沢なことです。しかし、「株式会社内山木材建設」の代表、内山淳実さんは「当社でつくる無垢の家は、決して高くはありません」と断言します。
材木屋ならではの仕入れのノウハウと人脈を駆使して、エンドユーザー=施主様に住まいを安く供給。その秘密は本社敷地内の倉庫と、ときがわ町工場に在庫している豊富な材木。そして、内山さん自身の材木屋・建築家としてのキャリアと、材木に関する専門知識です。
「まずはお客様の予算内で、間取りや仕様のプランニングをします。〝安く家を建てた〟という方がいますが、安く建てたのではなく、〝安い家を建てた〟ということです」
安く建てた家はメンテナンスにお金がかかります。数年後に手直しをするくらいなら、最初にかけるべきところにはお金をかけるべき。そんな内山さんの願いは、住まう人の希望をかなえること。それも、ただ言われた通りにつくるだけでなく、お客様の隠れた望みをカタチにしてしまいます。たとえば、電車好きのお子様がいらっしゃるご家族の住まい。内装が完成に近づいた頃に、内山さんが提案します。
「天井に、線路の枕木をイメージした装飾を取り付けていいですか?」。これ、じつはサービス工事。なのに、なぜするのでしょう。「お客さんの喜ぶ顔が見たいから。ただそれだけです」
#chapter2
木の家は維持することが大変、という方もいます。でも、じつは逆で、木を使用しない高断熱・高気密住宅は、よほど計画換気を考えなければなりません。
「無垢材は一年中変化しています。冬は乾燥するので、結露を木が吸収してくれる。木そのものが息をしているんですよ」
内山さんがおもに使用するのは、埼玉県の飯能、日高、越生の山々で育った杉や檜。地産地消が基本です。
「特にヒノキは香りも良く、靱性もあり、害虫にも強い。ここ数年、木は注目されていますよ」。だからといって、木をたくさん使えばいいというものでもないそう。「木をセンスよく使うのは難しい。そこは経験です。無垢であれば何でもいいのか。品良く作り上げ、お互いに後悔しないために、打ち合わせにはたっぷり時間をかけます」
半年から1年半かけて、じっくりプランを練ります。住む人の気持ちになって、施主様の疑問をすべてクリアしてから着工です。そのため、打ち合わせのたびに施主様の目も肥えてくるそうです。
#chapter3
木の専門家であり、建築士でもある内山さん。図面を引き、模型をつくり、CADでイメージを固めたつもりでも、出来上がった空間に立つと、新鮮な驚きと感動があると言います。「木の香りがして、家の中にいるのに自然の中にいるみたいだ」と、木と自然素材の住まいにこだわるのは、木への愛情と、遊び心。
「子どもの頃、秘密基地をつくったでしょ。すごく狭い空間に屋根をかけて、2、3人で集まる。何をするわけでもないのに、すごく楽しくて、落ち着いた。あの感覚を家づくりに生かしたい。住まいって、本当にすごいんですよ。人を幸せにもするし、不幸にもする」
わかりやすいところでは、シックハウスの問題。自然素材で建てる家は、アレルギー体質の方が健康体になることも。さらに、夫婦喧嘩もなくなるとの話も…。「プランニングの時は、敢えて意見を出し合って喧嘩をしてもらうんです(笑)。家をつくるという目標に向かって、我慢せずに言い合っていただきたいのです。その代わり、完成後は充足感が待っていますから」
350日フル稼働。企画・営業・設計・現場の作業までこなす内山さん。その情熱はどこから来るのでしょう。「お客様に喜んでもらうこと。引き渡しの時にお客様がありがとうございましたと、お礼まで言って頂ける。こんなに嬉しいこと、ないですよ」
木のことならお任せください、がモットー。「契約して頂いたからには、最高の家をつくります。お客様の笑顔が見たいから」。そう言い切った内山さんの瞳は、秘密基地づくりに目を輝かせる少年のものでした。
(取材年月:2012年7月)
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Profile
木材を利用した建設の専門家
内山淳実プロ
建築家
株式会社 内山木材建設
木材に関する質問にはほとんど答えられる「木の語り部」。材木店としての在庫の豊富さも大きな強み。東日本大震災のときですら、なんの影響もなく仕事ができたほど。
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