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身の回りにある旬の食材を取り入れた薬膳で、心とカラダを豊かにするお手伝いを

身近な旬の食材で体調を整える薬膳の専門家

中條明子

「身近な食材を使うので、気軽に薬膳を始められます」
菜の花と貝柱のボンゴレビアンコ

#chapter1

中国の伝統医学に基づいて体質をチェックし、食材や調理法を提案

 「日々の生活に、健やかな体づくりを目的とした中国発祥の献立『薬膳』を取り入れてみませんか。当方が提案するのは、旬の食材を用いた食養生。薬膳についてちょっとした知識があれば、誰でも気軽に取り組めます。『不摂生が続いているので食を見直したい』『家族の健康のために役立てたい』という方にお薦めしたいですね」

 こう語るのは、「薬膳サロンmaikaika」の代表で、中国政府の外郭団体「世界中医薬学会連合会」が認定する国際薬膳調理師資格を持つ中條明子さん。一般財団法人 東方医療振興財団 日本東方医学会のホームページに、月2回のペースで薬膳レシピを掲載しています。

 「薬膳は、中国伝統医学の理論に基づいた料理です。すべての食物は薬材と同じような働きをもち、適切に摂取すれば体の調子が整うという『薬食同源』の考えに基づいています。人の体質は、生まれ持ってのものもありますが食生活や環境によって変化しますので、それぞれに薬膳のアプローチ法も異なります」

 中條さんは、その人に合った食事をアドバイスするため、顔色や肌質、舌、髪の毛の状態などを細やかに観察しています。

 「体質は季節にも影響されます。春は気温の上昇と共に気持ちが高ぶったり、環境の変化でストレスを感じやすくなったりするため、イライラや落ち込みなど気分のムラが現れます。夏は暑さで寝つきが悪くなり、秋は気温の低下で乾燥しやすくなります。冬は冷えによるトラブルも出てきますよね」

 体を温めたり冷やしたりする食材の性質を理解し、料理にうまく生かすことで、寒暖差などによる変調もケアしていけると言います。

#chapter2

手軽に入手できなければ長続きしないという信念の下、身近にある旬の食材を活用

 漢方のもとになる生薬を活用する調理法はあるものの、入手は簡単ではありません。無理をせずできるだけ長く続けてほしいという思いから、中條さんは、スーパーなどで手軽に購入できるものを使うよう徹底しています。

 「体の不調は、中医学でいう臓腑(ぞうふ)と関係していると考えられるので、四季折々の食材の中から、臓腑に直接作用するものを選ぶことがポイントです」

 例えば春は、「肝」が高揚する時期に当たり熱を帯びているので、フキノトウやセリ、タラの芽などで熱を鎮めることができるそうです。
 「書店には食材の効能などを解説する書籍が販売されているので、一度手に取ってみてください。参考になって便利ですよ」

 東方医療振興財団に提供している薬膳レシピには、主食から主菜、副菜、デザートに至るまで、和洋中とジャンルを問わずさまざまなメニューを展開しています。なぜその料理に、その材料を使うのか、根拠もきちんと示しています。
 「調理法は、煮る、蒸す、炒めるといたってシンプルで、特別なスキルは必要ありません。週1回でも2回でも継続していくことで、薬膳の良さを実感できるでしょう」

 実は中條さんが薬膳に関心を寄せたのも、かつて激務により体調を崩し、食で改善したいと思ったからでした。薬膳を実践すると薄味を好むようになり、自身の味覚も変わったとか。
 「不調を感じ始めたら、すぐに対応できるので、自分の健康は自分で守る『セルフメディケーション』にもかなっています」

エビ餃子の冬至スープ

#chapter3

地方の特産物を使った薬膳レシピの開発や、薬膳講座の開設などにも意欲

 中国伝統医学の専門性を習得した人に与えられる「国際中医師」の有資格者でもある中條さん。勤務する漢方クリニックで、医師が処方した漢方薬から生薬の組み合わせ方を学び、中国人鍼灸師から中医学に関する情報を得るなど、自身のキャリアアップにも余念がありません。

 今後は、地方の特産物を使った薬膳レシピも開発していきたいとか。
 「先日、千葉県内の道の駅に立ち寄った時、あまり見たことがない新鮮な食材がたくさん並んでいました。豊かな品ぞろえで、地元の人だけで消費するのはもったいないと思いました。自慢の品を広めたい生産者や企業は全国にいるはず。薬膳の観点からもアピールできれば、もっと多くの人に食材の良さを知ってもらうことができ、集客にもつながるでしょうから」

 講座の開催にも意欲的で、1日体験講座や、しっかり勉強したい人のための連続講座などを設定し、薬膳とはどういうものなのか、それぞれの食材にはどのような役割があるのか、季節によって変化しやすい体質をどのように整えていくのかなどを、丁寧にレクチャーしていきたいと話します。

 「ナツメやクコの実など、手に入れやすい生薬についても紹介します。皆さんがよく使うショウガは、生のままより、薄くスライスして天日干しにした方がより生薬に近くなります。ご家庭ですぐに試せること、覚えておくと得する豆知識なども伝えていきますので、興味のある方は気軽にご連絡ください。あまり気負わずに、一緒に薬膳を楽しみましょう」

(取材年月:2023年3月)

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中條明子

身近な旬の食材で体調を整える薬膳の専門家

中條明子プロ

薬膳家

薬膳サロンmaikaika

中国の伝統医学に基づき、丁寧にカウンセリング。体質に合った食材や調理法を提案しています。無理なく続けられるよう、身の回りにある旬の食材で、体が本来持つ力を引き出すお手伝いをします。

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