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空気そのものを変える独自技術で、脱臭と省エネに同時にアプローチ

新技術「ダイナミックフロー」で省エネを導くコンサルタント

岡崎安壽

岡崎安壽 おかざきやすひさ

#chapter1

ダイナミックフローで空気を変え、省エネと快適性を両立

 家庭やオフィスで使われる冷暖房のエネルギー消費は、いまや大きな社会的課題の一つです。省エネへの意識が高まるのと同時に、暮らしの中での快適さや衛生面、特に空気環境を気にする人が増えています。

 「居住空間の空気が変わる体験をしてみませんか」と呼びかけるのは、「東亜システムクリエイト」代表の岡崎安壽さん。同社が開発したダイナミックフローは、エアコンや空気清浄機などに取り付けることで、脱臭をしながら冷暖房効率を高め、省エネにつながることが期待できる製品です。開発の出発点は、冷暖房に伴うエネルギー消費をいかに削減するかという課題でした。

 「節電を目的に開発を始めましたが、実際に使っていただいた方から最初に寄せられたのは『においが気にならなくなった』という声でした。省エネ効果は一定の時間を経ないと実感しにくいですが、においは子どもから大人まで誰もがすぐに感じ取れる。そこにこの製品の大きな可能性を感じました」

 製品は、送風口に貼る手軽なシールタイプと、吸気部に取り付けるタイプの2種類。後者はコストパフォーマンスに優れ、DIY経験があれば取り付けも容易です。装着環境によっては交換目安(DFS約3年/DFP514約5年)がありますが、エアコンを買い替えても再利用でき、適切に清掃すれば継続的な使用が可能です。

 家庭での使用はもちろん、歯科医院や高齢者施設などでも導入が進んでいます。エアコンクリーニング業者や中古車販売店などで採用すれば、「長時間快適に過ごせる」といった評判が広がり、差別化や新規顧客獲得につながる可能性もあると岡崎さんは語ります。

#chapter2

分子クラスターを分解、極小分子が生み出す温感効果

 ダイナミックフローの特徴は、室内の空気そのものに働きかける点にあります。空気中の酸素や窒素はいくつかの分子が集まって房状のクラスターを形成しますが、これがエアコンの熱交換器を通過すると熱の伝わり方に偏りが生じ、冷暖房効率を下げてしまうという課題がありました。

 「ダイナミックフローを通すことでクラスターが分解され、極小分子へと変化します。熱交換器と接する表面積が広がり、熱交換速度が上がることで、均一に冷却・加熱ができるのです」

 さらに、分子が小さくなることで刺激が強まり、同じ温度設定でもより大きな温感を得られる傾向があります。
 「つまようじ(極小単体分子)と太鼓のバチ(大きな塊の複数分子=クラスター)を肌に突き立てた感覚の違いを想像するとわかりやすいでしょう。冷房時、単体分子は全質量を熱交換するため、芯まで冷え込むような刺激的な冷感になりますが、クラスターの場合は複数分子の中の1個分の熱量しか取得していないため、熱が拡散して生ぬるいのです。エアクラスターを粉砕して単体分子量を増やせば、即効で冷気に変わりますので、27~28℃の設定でも快適な冷房環境を作り出せます。現状25℃設定なら28-25=3。1℃の熱量はエネルギー換算で10%ですので、30%の節電につながります。なお、エアコンの節電は快適な設定温度に到達するまでの時間を短縮することが重要です。生ぬるい空調でも時間をかければ設定温度にはなりますが、その間の消費電力は大きな無駄になってしまいます」

 脱臭の仕組みにも独自の工夫があります。プラスに帯電した空気中の臭気分子が、ダイナミックフローから放出されるマイナスイオンにより中和され、においのレベルを低減させるのです。香りでごまかさず臭気分子に働きかける方式のため、香料に頼らない快適性が特長です。

#chapter3

熱環境のプロフェッショナルとして、10年、20年先の省エネ社会を見据えた技術開発

 岡崎さんは商社の技術部門で、自動車エンジンや冷凍機の輸出などに従事し、技術部長を務め、1979年に独立。自動車部品輸出事業で資金を蓄えた後に、自社での省エネ製品開発に乗り出しました。
 その代表的成果が、スペースシャトルで使用されたセラミック断熱塗料に着目し、核心となる素材を商品化した工業用断熱塗料です。当初、塗料で断熱なんて不可能だと懐疑的な声も多くありましたが、粘り強く販路拡大に取り組み、軍需防衛や航空産業など高度な性能が要求される分野で評価を獲得。現在は同社の主力商品に成長しています。

 そして熱環境のプロフェッショナルとして積み上げた実績の延長線上にあるのが、ダイナミックフローです。

 「エアコンメーカーはこれまでコンプレッサーや熱交換器など機械部分の改良を重ねてきました。私たちは『空気そのものを変える』という独自の発想で技術開発を進めてきたのです。驚きと実感を提供できる製品でなければ、世に出す意味はありません」

 利用者が実際に感じる快適さと、結果としての省エネを両立させるこの技術は、10年、20年先を見据えた挑戦であり、岡崎さんの開発哲学「体感できる技術こそが価値を持つ」という信念に貫かれています。その歩みはこれからも続いていきます。

(取材年月:2025年9月)

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専門家プロフィール

岡崎安壽

新技術「ダイナミックフロー」で省エネを導くコンサルタント

岡崎安壽プロ

省エネ対策コンサルタント

有限会社東亜システムクリエイト

空気中の分子クラスターに着目する独自の発想で、脱臭と冷暖房の効率化を同時にかなえるダイナミックフローを開発。利用者が体感できる製品により、省エネ社会の実現に貢献します。

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