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ほめて育てる文化を企業に根付かせる「ほめ育」で、人材定着や業績向上をサポート

人材をほめて育てる「ほめ育」コンサルタント

道下真介

道下真介 みちしたしんすけ
道下真介 みちしたしんすけ

#chapter1

成果を上げる行動基準“ほめ育コンピテンシー”を明確にして、ほめる基準を定める

 近年、従業員をほめて育てる「ほめ育」を取り入れる企業が増えています。高い成果を生み出す行動特性“コンピテンシー”に基づいて「ほめること」を習慣化し、たたえ合う企業風土を醸成することで、個人を、ひいては組織全体を成長へと導く教育手法です。

 「Torus」代表の道下真介さんは、「ほめ育」を活用したコンサルティングで、人材定着や業績向上をサポートしています。

 「根拠もなくおだてるのではなく、従業員や同僚たちを細やかに観察し、売り上げアップなど、目標達成に貢献する行動をほめることが大事。ほめられた本人はモチベーションが上がり、自らの職務にやる気と主体性を持って励むようになり、周囲も巻き込んで前向きな姿勢が波及するといった、好循環を生み出すことができます」

 悪い点があれば「きちんとしかることも大切」と指南する道下さんは、基準を具体的に定めることを重視しています。例えば飲食店の場合、チラシ配り、気持ちの良いあいさつなど、どんな行動が集客などにつながるのかを分析し、コンピテンシーを明確にします。

 「従業員それぞれの素質やタイプを診断できるのが私の強み。どんな人でも必ず良いところがあるはずですし、ほめられると誰だってうれしいですよね。新人から管理職まで、責任や立場に応じた“ほめポイント”を設定いたします」

 クライアントからは「職場の雰囲気が良くなり、人間関係も円滑になって離職率が下がった」「個々のパフォーマンスが上がり前月対比で増収が続いている」など、うれしい報告が寄せられているそうです。

#chapter2

ロジックツリーやほめシートなどを活用し、離職率低下や売り上げアップを実現

 企業や医療機関、飲食店などからオファーが相次ぐ道下さん。ほめ育が根差すように、基本的には1年間で12回の研修を重ねますが、人材育成の仕組みが整っていない事業者やスタートアップなどはマンツーマンで伴走支援しています。

 問題点を明らかにして原因を特定し、解決策を見いだすロジックツリーや、スタッフがどんな思いで仕事に臨んでいるかを可視化する診断ツールなどを活用。クライアントが抱える課題や、働いている人たちの真意に応じてメニューを組み立てるのが特徴です。

 「中でも『ほめシート』は、ほめ育を実践するための重要なツールです。従業員が同僚の良い点を見つけて書くことで、『相手に感謝や称賛を伝える』『相手の自尊心を満たす』『相手への期待を示す』、この三つを社内に浸透させます」

 道下さんのコンサルティングは、さまざまな組織で結果を出しています。ある医療法人では、しかって教える指導法を互いに認め合うように改善したことで、10%を超えていた離職率が5%にまで下がりました。

 脱毛などを手掛けている美容サロンでは、チラシやお試し品などを使ってプロモーションや、顧客へのアクションプランを設定し、従業員をほめることで、契約件数をコンスタントに伸ばせるようになったとか。

 「飲食店では『学生バイトが出勤したらほめる』ことを継続し、卒業・就職以外での離職をゼロにしました。スタッフが後輩や友人などを紹介するリファラル採用にもつながっており、求人費の削減と売り上げ増加を両立できています」

道下真介 みちしたしんすけ

#chapter3

一人一人が力を発揮できるよう、日本に「ほめる文化」を根付かせたい

 ほめ育コンサルタントとして全国各地に赴く道下さんですが、25歳のとき「余命3日」と宣告されるような大病を患い、2年半に及ぶ闘病生活を強いられました。

 「治療により一命を取り留め、自分の人生は1度きりだから、やり残しがないように生きようと思いました。人に影響を与える人間になりたい、成長や成功のきっかけを作りたいと考え、コンサルタント・研修講師の道を選びました」

 個人事業主として独立したものの経験がない中で何をすればよいか分からず、手探りの日々。方向性を模索する中、「取り組みを結実させているコンサルタントがいる」と知人から紹介されたのが、原邦雄さんでした。教育に脳科学と心理学をミックスさせて「ほめ育」を提唱し、世界17カ国、のべ50万人にほめ育を広めた人物です。

 「原さんが関わっている企業に同行させてもらったところ、みるみる成果を上げているのに驚きました。3年半ほどかばん持ちをして、ほめ育のノウハウを吸収させてもらいました」

 2021年にTorusを立ち上げ、経営者団体のセミナーや人事担当者の集まりで講師に招かれるなど、活動の幅を広げる道下さん。
 ユニセフが2020年度に報告した世界幸福度では、日本の子どもは精神的幸福度で調査対象の38カ国中37位。若者の自己肯定感が低い傾向にあることにも心を寄せます。

 「例えば子どもがテストで90点を取ったとしても、間違った10点の部分を復習させるなど、改善に力を入れがちです。ほめる文化が日本に根付き、他人の長所を見つけられる人が増えれば、一人一人がもっと力を発揮できるようになるのではないでしょうか」

(取材年月:2024年8月)

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人材をほめて育てる「ほめ育」コンサルタント

道下真介プロ

ほめ育コンサルタント

株式会社Torus

ほめる習慣を組織内に根付かせる「ほめ育」のコンサルティングを展開。ほめる基準となるほめ育コンピテンシーを明確にし、ほめる基準とほめて育てる文化を組織に根付かせ、人材定着や業績向上のサポートをします。

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