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沖縄初のバレエ教室として築いた長年の経験とぬくもりあふれる環境で、子どもの個性や生きる力を育む

子どもの個性や感性、生きる力を育むバレエ指導のプロ

南条幸子

南条幸子 なんじょうさちこ

#chapter1

クラシックバレエを軸に幼児・小学生・中高生・大人クラスなど多彩なクラスを展開

 「当方は八十余年の歴史を持つ沖縄バレエの先駆けです。経験豊富な教師陣の指導のもと、初代から受け継ぐ温かい教室環境でのびのびと踊り、一人一人が主体性や強みを伸ばし、個性を輝かせています」

 そう語るのは、那覇市の首里と久茂地で「南条幸子バレエ研究所」を主宰する南条幸子さん。クラシックバレエを軸に、幼児・小学生・中高生・大人と、年齢やレベルに合わせてクラスを展開。同研究所出身のプロダンサーが指導するカリキュラムも取り入れ、本格的なバレエレッスンを提供しています。

 「幼児クラスは、笑顔で元気よく通ってもらうことを重視しています。3~8歳が始めやすい時期で、体を動かして姿勢や柔軟性、体力といった身体能力を培います。音楽に触れることで感性も養います。
 上級生になると、舞台に向けて切磋琢磨し、目標を持ってがんばりぬく心と、物事を追求する『生きる力』が育くまれます」
 学業や他の習い事との両立が難しくなる上級生は、レッスン時間を工夫し、個別相談を通じて個々のペースに寄り添いながらサポート。笑顔でバレエに親しむ事ができる環境を守っています。10年以上続けている生徒も多いとか。

 年に一度、「『那覇文化芸術劇場なはーと』のような大きな会場で発表会を開き、子どもの発達度に応じた演目をはじめ、『白鳥の湖』といった古典作品や創作作品など多彩なプログラムを披露します。舞台経験を積む中で、自信や責任感など、精神面も大きく成長します。みんなで一つの作品をつくり上げる一体感も大事にしています」

 子どもから大人、60代まで何歳からでもバレエを始めることができ、健康づくりや美しい所作を身につけたい、心と体を整えたいなど目的もさまざまです。

#chapter2

戦後の子どもの心を癒やし、夢を与えるべく1937年にバレエ教育をスタート

 「私の母で初代の南条みよしは、看護師だった19歳の時、本土からやってきた石井漠舞踊団の公演に感銘し、名古屋に赴いて修業。1937年に沖縄初のバレエ指導を初めました」

 1947年、「戦後の荒廃で渇いた子どもの心を癒やし、優しい心、楽しい心、感受性豊かな心を取り戻したい」と願い、首里の自宅でバレエ研究所を創設。子どもたちに夢を与え、沖縄に洋舞の基礎を築き、1996年に沖縄県功労者に選ばれました。

 幸子さんは4歳からバレエを始め、高校卒業後は上京して「橘バレエ学校」に入学。1960年代、日本バレエの黎明期を支えた橘秋子さん・牧阿佐美さんに師事し、2000時間のレッスンを受けます。

 「在学中は『牧阿佐美バレエ団』にて、古典バレエなど、数多くの大舞台に出演しました。日本を代表する森下洋子さんをはじめ、後の日本バレエ界を築いた数々の同期の方々と共演した経験は私の財産です」

 ユニークな童話のバレエ化をする雑賀淑子さんに創作ダンスを習い、1969年に帰郷。母から教室を引き継ぎ、研究所を再スタート。日本バレエ最先端の場から持ち帰った知識と経験で沖縄のバレエ界をけん引し、「くるみ割り人形」などクラシック三大作品を沖縄で初上演しました。

 創作バレエにも尽力し、「The Sea」や「宇宙」を筆頭に大自然をテーマに壮大な作品を発表。デザイナーの夫・宮城保武さんが舞台美術を担当し、総合芸術として高く評価されました。

#chapter3

卒業生が教師となり伝統を継承。ロシアで活躍する3代目も指導を担当

 「ともにお稽古に励んだ生徒たちは、卒業後も教室に遊びに来て、発表会では裏方として後輩の舞台を手伝ってくれています」とうれしそうに語る幸子さん。

 教師たちは同研究所の卒業生で、みよしさんと幸子さんが築いたぬくもりあふれる雰囲気を大切に守りながら指導力を磨き、チームで切磋琢磨しているそう。

 幸子さんのおいの安村秀熙さんは、3歳から研究所で学び、ドイツのバレエ学校へ留学。ルーマニア、中国を経て、2021年にロシア国立ウラル・バレエ団にソリストとして入団し、モスクワ・ボリショイ劇場などの著名な舞台に出演。現在はロシアで振付家としても活躍しています。

 研究所の3代目として折に触れて沖縄へ戻り、カリキュラム指導や発表会の振付を担当。「子どもの頃から持ち前のオーラがあり、進化が楽しみです」と目を細めます。

 「長年の間、小さいお子さんから小中高生、大人の方まで数多くの生徒さんを迎え入れてきました。今ではその孫世代が来てくれて、皆さまからいただくエネルギーが原動力となっています。全身を使っていきいきと表現するバレエを通して、自分らしく生きる人たちを応援したいですね」

(取材年月:2025年10月)

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南条幸子

子どもの個性や感性、生きる力を育むバレエ指導のプロ

南条幸子プロ

バレエ教師

南条幸子バレエ研究所

1947年に設立。日本バレエの黎明期、橘バレエ学校、牧阿佐美バレエ団で学んだ経験を沖縄へ持ち帰り、長年沖縄バレエ界をけん引。心に寄り添った温かい指導方針で、子どもの個性や感性、生きる力を育む。

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