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国産牛枝肉を要望に応じカットし、扱いやすく加工

国産牛枝肉を知り尽くした国内ビーフのプロ

工藤博文

工藤博文 くどうひろふみ
工藤博文 くどうひろふみ

#chapter1

HACCP認証を取得した工場で、徹底した衛生管理のもと生産し、信頼性を向上

 岡山市南区築港栄町に工場を構える「ビーフプレイス」で、統括責任者を務める工藤博文さん。国産牛枝肉を加工し、食肉販売会社を通じて量販店を始め、飲食店、コンビニ惣菜加工会社などに供給しています。

 「当方では、お客さまのご要望に応じて加工するのが特徴です。店舗で扱いやすいよう牛肉を部位ごとに細分化し、オーダーメードのカットを施して納品いたします」

 近年、小売店の人手不足や希少部位の人気などを背景に、「あらかじめ細かく分割してほしい」といった声も多数。数百キロもの重さがある大きな枝肉から骨を抜き取り、ロースやカルビなどの部位に切り分けていく作業は、高度な技術力が必要です。工藤さんのもとでは、技を磨いた職人たちが月間700頭以上の牛枝肉を処理しています。

 「『こんな加工はできますか』と相談があれば、すぐに当方で『やります』と手を上げます。リクエストが詳細になれば手間がかかりますし、私どものような専門業者であっても簡単なことではありませんが、困っているお客さまを助けるのが使命と心得て、やり遂げます」

 世の中のニーズや業界の潮流を捉え、また牛肉に関する深い知見も生かし、売れ行きが伸びる「一番商品」も提案。消費者に選ばれるクオリティーを守るため、工場では国際的な衛生管理の手法「HACCP(ハサップ)」の認証を取得しています。

 「枝肉の選定から出庫・配送まで全ての工程で、食中毒菌による汚染や異物混入などのリスクを防ぎ、食肉の安全確保に努めています。品質マネジメントを徹底することで、お客さまから信頼をいただけていると自負しています」

#chapter2

行動指針は「即」実行し、圧倒的な「速」さで動き、できる行動を「促」す

 統括責任者として現場を率いる工藤さんは、国産牛肉の卸売会社で営業職として食肉業界のキャリアをスタートしました。

 「量販店に足を運んでバイヤーと直接やりとりしていました。バイヤーがどのように牛肉を展開していくのか、店頭で売り出すにあたり精肉担当者にどんな指示がなされているのか、肌で感じた経験は今に生きています」

 2002年に食肉加工などを手掛ける家業に入り、牛枝肉の加工に特化した事業部を発足。顧客のオーダーに柔軟に応えることで実績を積み、2012年に所属部署を分社化し、新たに会社を設立しました。

 工藤さんが事業を営む上で大切にしているのが、時代の流れを読むこと。変化が早い現代において、ビーフプレイスが掲げる行動指針は「即」「速」「促」です。
 「今すぐできることは『即』実行し、圧倒的な『速』さで動き、できる行動があれば『促』す。従業員一人一人が常に意識することで、お客さまの期待に応え続けています。皆さまに求められる存在になるため、働きやすい職場づくりもしています」

 新設した工場では、人、物の流れを考慮した導線で作業を効率化。取引件数の増加に伴い業務量も増えていますが、従業員の生産性とモチベーションが高く、勤務時間を短縮できているそう。
 「当社は始業が朝6時30分、定時は15時50分。しかし平時においては、その時間に至ることはまずあり得ない。全員の目標が…『とっとと帰ろうぜ!』。あくまで目標であり、個々が責任を持って職務を果たすことが手段であることを大前提に運営していいます」

#chapter3

加工から製品化まで一貫した生産体制でムダを減らし、持続可能な社会を目指す

 時代に即した事業活動に力を注ぐ工藤さんは、世界規模で推進されている持続可能な開発目標「SDGs」にも取り組んでいます。2023年には、国際社会が抱える課題を解決していくための具体的な方針や行動計画を、対外的に知らせるSDGs宣言を行いました。

 ジェンダー平等を実現するため、男性が多い食肉業界において女性従業員を一度に4人採用。また環境負荷を低減すべく、加工から包装、製品化まで一貫した生産体制の構築も視野に入れています。

 「特殊なフィルムを使って、食肉を真空密封するスキンパックという機器を導入したいと考えています。消費期限が長くなって食品ロスが減らせますし、当方のような加工業者が、焼き肉用やステーキ用など店頭に並ぶところまで商品を仕上げて直送することで、消費エネルギーを圧縮。業者間の輸送にかかる燃料や資材を省くことができます。環境への配慮がますます求められる時代において、理にかなっています」

 無理や無駄がない生産システムでスピード感を持って品物を届け、残業時間も削減して従業員のプライベートを充実。挑戦により道を切り開いてきた工藤さんは、チーム一丸となって歩みを進めます。

 「時代の変化に対応していくのは大変ですが楽しくもあります。今はビジョンを達成するための準備段階で、スタッフたちとさらなる成長を続けたいと思っています。私たちと一緒にチャレンジしてくれる仲間も増やしたいので、未来を担う若い方々に興味を持ってもらえたらうれしいですね」

(取材年月:2024年6月)

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専門家プロフィール

工藤博文

国産牛枝肉を知り尽くした国内ビーフのプロ

工藤博文プロ

食肉加工業

ビーフプレイス株式会社

HACCP認証取得の工場で徹底した安全管理のもと、オーダーに合わせて食肉をカット。各地の有名スーパーマーケットを始め、大手コンビニチェーンの惣菜の牛肉加工も担う。従業員のワークライフバランスも推進。

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