寝具・布製品のハウスダストを除去し快適な睡眠をかなえるプロ立石一夫

寝具・布製品のハウスダストを除去し快適な睡眠をかなえるプロ

立石一夫

家庭や宿泊施設で、寝具や布製品をケアするサービス「クリーンライブ」を展開

　「アレルギーの原因の一つハウスダストを取り除き、気持ちよく、健やかに過ごしていただく一助として、私どもは寝具や布製品のトータルケアを手掛けています」

　そう語るのは、「楽輪（らくわ）」の代表取締役社長、立石一夫さん。大分市を拠点に、「クリーンライブ」というサービスを展開。個人宅や旅館、ホテルなどにスタッフが出向き、枕、布団や毛布、マットレス、ソファなどをクリーニングしています。

　家庭向けには単身、小家族（3〜4人）、中家族（4〜6人）、大家族（6〜8人）、2️〜3世帯の大家族用など、世帯規模に応じた料金を設定。クッション、カーペットのような敷物、ぬいぐるみといったファブリックのほか、畳やタンスにも対応できると言います。

　「かつては布団を外に干して、ぱんぱんとたたいて取り込んでいましたが、今はスペースがなかったり、花粉やPM2.5（微小粒子状物質）の飛散を気にしたり、外に干しづらい環境です。弊社が提供する『クリーンライブ』は、水や薬剤を使わず、加熱と振動吸引によって2〜3時間で室内の多様なアイテムを清潔にします」

　独自に開発した「ジェットエアー」という方式で数分間加熱し、外干しと同じ効果を得ることができるのが特徴。ベッドマットにはハンディータイプの「レッドシャワー」という機器を使い、150度以上の高熱を照射。加熱により繊維がほぐれた状態で、集塵力の高いクリーナーでハウスダストを吸引します。

　大分市や別府市、由布市などの宿泊施設と契約。フロントには「よく眠れた」といった声が届いているそうです。

会社を辞めて専用器具を開発、布団クリーニングの独自技術で特許を取得

　以前は内装資材メーカーに勤めていた立石さん。住宅の高気密・高断熱化に伴い密閉性が高まった半面、壁紙や床材が揮発する化学物質による「シックハウス症候群」が懸念されるように。ある時、アレルギーを引き起こすハウスダストの問題にも注目が集まっていることを知ります。

　「内装資材を扱っていたので繊維の特性には詳しかったんです。出張先のホテルでベッドから汗のような臭いがした記憶がよみがえり、寝具をケアする必要性を強く感じました。水洗いが難しいため衛生状態は良いとは言えず、多湿の日本ではカビやダニの温床にもなります」

　「自分にしかできない」との使命感から、退職して寝具用のハウスダスト除去器具の開発を始めます。昔ながらの布団干しをヒントに、熱と振動で対処できるのではと試行錯誤を続けます。特に苦労したのが、運搬が困難なベッドマットです。開発には5〜6年を要しましたが、「ここで諦めたら誰もやらない」と踏ん張りました。

　地道な努力がみのり、「ふとんのクリーニング方法」と「マットレス加熱器及びマットレス加熱方法」で特許を取得。器具が完成し、地元の生協と提携して個人宅への訪問を開始します。

　「あるご家庭へ伺った際『なぜ旅館やホテルでもやらないの？』と尋ねられ、宿泊施設にも赴くようになりました。温泉地・大分には数多くのお宿があり、国内外から観光客が訪れています。弊社のサービスによって、お客さまには快適に滞在してほしいと思っています」

「衛生睡眠」の意義を伝える「全国寝具衛生士協会」を設立し、資格制度も構築

　リビングや水回りなどは定期的にメンテナンスされる一方で、布製品は掃除機をかける程度というのが一般的です。立石さんは「この分野には、まだ手つかずの市場がある」と指摘します。

　「ハウスクリーニング業者は多く存在しますが、布団やベッドマットに特化したビジネスはほとんどありません。寝具は使い込むと再利用が難しく、結果的に粗大ごみになります。適切なケアを施して長持ちさせるのは、SDGs（持続可能な開発目標）の観点からも意義があります」

　立石さんは、きれいに手入れされた環境で眠る「衛生睡眠」の重要性を理解してもらうために「全国寝具衛生士協会」を設立。講座と試験を通じて「寝具衛生士」の資格を取得できる制度を整えました。

　「ハウスダストやアレルギーに関する専門知識を持った『寝具衛生士』がクリーンライブの業務を担うことで、お客さまの相談にも丁寧に対応することができます。寝具というデリケートな物を扱うため、女性スタッフによる訪問施工を基本としており、女性の雇用促進にも貢献しています」

　最近では、保育園で使用するお昼寝用の布団や、高齢者施設からの問い合わせも増え、サービスの対象が広がっています。

　「睡眠の質は、枕やマットの硬さ、素材などとひもづけて語られますが、快眠のためには寝具が清潔であることが大前提です。汗や老廃物、ホコリなどを除去した後は弾力性や保温性を取り戻しますので、心地よい眠りをかなえるためにもクリーンライブを導入していただきたいですね」

（取材年月：2025年3月）

ハウスダストを除去した清潔な寝具で、気持ちよく健やかな眠りを届けたい

家庭や宿泊施設で、寝具や布製品をケアするサービス「クリーンライブ」を展開

会社を辞めて専用器具を開発、布団クリーニングの独自技術で特許を取得

「衛生睡眠」の意義を伝える「全国寝具衛生士協会」を設立し、資格制度も構築

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