中小企業のIT化を支援するシステム開発のプロ白石洋一

中小企業のIT化を支援するシステム開発のプロ

白石洋一

顧客の要望に合わせて細かくカスタマイズし、不慣れな人でも使いやすいシステムを構築

　「業務のIT化は、人手不足や事業承継に向き合う上で避けては通れない課題です。システムを通じて、業務効率化につながる仕組みづくりをお手伝いします」
　そう話すのは「アクセプトワークス」代表の白石洋一さん。大分県を拠点に、中小企業や自治体に向けた販売・生産管理や、日報、売り上げの管理をサポートするシステムを開発・提供しています。

　大都市圏の大手企業と比べ、地方ではDX（デジタルトランスフォーメーション）が進んでいないと白石さんは指摘します。

　「例えば運送業の場合、何十台ものトラックを保有していながら、配車や請求業務を手書きで行っている企業もあります。優秀な社員さんによって業務が回っている職場ほど、DXの必要性が感じにくいようです。『IT化を進めると事務員の仕事が奪われる』と、消極的な経営者もいらっしゃいました」

　限られたリソースでもシステムを導入できるよう、開発費用を抑えたオーダーメード型のシステムを提供。導入先の伝票・帳票類をもとに、必要に応じて業務手順を確認しながら、柔軟にカスタマイズを行います。大手ベンダーなどで培った豊富な業務知識を応用し、パソコンに不慣れな人でも使いやすいシステムにするよう心掛けています。

　「私が大切にしているのは、誠実であること。特に人のつながりが強い地方で仕事をするには不可欠な要素です。着実に実績を重ね、お客さまからの信頼を得ていけば、売り上げは後から付いてくると考えています」

運転日報の管理、施設の利用予約、生産管理など、Excelを利用したシステムを多数開発

　大小さまざまな業務システムを手掛ける白石さんですが、とりわけ表計算ソフト・Excelを活用した開発を得意としています。

　「Excelはほとんどのパソコンに標準で搭載されており、既存環境でそのまま使えるのが大きな利点です。構造もシンプルで、トラブル時の復旧も容易。さらに、データベースソフトを使わないことで初期投資や維持費を抑えられるのもメリットです」

　こうした特性を生かし、竹田市のタクシー会社には、運転日報を管理するシステムを構築。乗降場所や走行距離、運賃の回収状況を入力することで日々のデータを簡単に集計できる仕組みを整え、売掛金の管理や請求書発行の自動化も実現しました。

　「市内の同業他社をはじめ、遠くは新潟県魚沼市のタクシー会社にも同様のシステムを納入しました。さらに、竹田市が運営する予約型乗り合いタクシーの管理システムも受注。国への報告書作成や補助金申請など、市役所の業務効率化に貢献できています」

　この他、大分県が運営する福祉施設向けには、利用予約のWEBシステムを開発。
　「障がいのある子どもを持つ保護者がスマートフォンで簡単に予約できるように設計し、以前は15～16時間かかっていた施設側の事務処理が、わずか数分で完了するようになりました」

　さらに、コメの流通事業者向けには玄米の等級検査結果を管理するシステム、花火工場には生産管理システムを提供するなど、実績は幅広い分野に及んでいます。

風光明媚な竹田市荻町を拠点に開発。中小企業のIT化を進め、地域に恩返ししたい

　白石さんが開発拠点を構えるのは、竹田市西部の荻町。熊本県境に近い風光明媚なこの地で、業務効率化につながるさまざまなシステムを生み出しています。
　「インターネット環境も整っていて、パソコン1台あればソフトウェアが制作できるという、開発には申し分のない環境です」

　高校を卒業後、経済的な事情から大学進学を断念した白石さんは、大手総合電機メーカーグループに入社。働きながらハードウェアについて学ぶ一方、COBOLによるソフトウェア開発にも従事しました。
　「当時の経験が今の仕事の基盤となっています。汎用機やオフコンなど、当時の企業の基幹業務を支えたコンピューターシステムに関われたのは、私にとって大きな財産です」

　母親の死去を機に退職し、大分に帰郷。地場企業でシステム開発を続ける中で、大分県外への転勤を打診されたものの、父親や子どもを残しての赴任は難しく、独立を決意。2008年に共同経営者とともにアクセプトワークスを設立しました。
　苦楽を共にした共同経営者は急逝。人の命のはかなさと重さを痛感し「地域に恩返ししたい」という思いはいっそう強くなったと語ります。

　「限られた時間の中で、できるだけ多くの中小企業のIT化を進め、働いている人たちの負担を少しでも減らしたいです。起業した人、家業を引き継いだ人への業務効率化もお手伝いできればと思います。そのためには、信頼できる仲間を増やしながら、取り組みを広げていきたいですね」

（取材年月：2025年6月）

既存の環境で利用できる業務システムを開発し、ITの力で効率化を支援

顧客の要望に合わせて細かくカスタマイズし、不慣れな人でも使いやすいシステムを構築

運転日報の管理、施設の利用予約、生産管理など、Excelを利用したシステムを多数開発

風光明媚な竹田市荻町を拠点に開発。中小企業のIT化を進め、地域に恩返ししたい

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