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地産地消をコンセプトとし、「ココロもカラダも地域もよろこぶ」弁当を販売

地元食材の魅力を存分に生かした弁当&飲食店プロデュースのプロ

中村奨

中村奨 なかむらしょう
中村奨 なかむらしょう

#chapter1

「THERE IS NOEND」の屋号でJAや市役所で販売。来客用の予約にも対応

 「ハク」の代表であり、調理師、野菜ソムリエ、和漢薬膳師の資格を持つ中村奨さんは、新潟県柏崎市で「THERE IS NOEND」の屋号で弁当屋を展開。店名には、「終わりなき」という意味と、「そこに農園あり」という意味があり、地域でとれる旬の素材をふんだんに用いた「ココロもカラダも地域もよろこぶ」お弁当を追求しています。

 「食事が単なる栄養補給で終わってしまうのは残念です。私は、小さい頃から祖母の家庭料理で育ち、四季折々で手作りの献立を堪能した原体験があります。おいしい食材を、よりおいしい状態に調理してお客さまに届けることで、身も心もエネルギーで満たしたいという思いで一品一品に丹精を込めています」

 地場産の野菜などを中心にメニューを組む背景には、「柏崎の魅力を多くの人に伝え、まちを盛り上げていきたい」という思いもあります。地元の特産品の代表である里芋、みょうが、山菜などを使用したおかずは人気が高いそう。

 「JA柏崎愛菜館にある直営店と、市役所内の売店で販売しています。主なお客さまはJAに買い物に来た主婦や市役所の職員ですが、最近はインスタグラムを見て足を運ぶ方も増えています。『おもてなし』をテーマにした、高価格帯のプレミアム幕の内弁当のご予約も受け付けており、企業さまの会議用や海外からのゲスト用に好評です」

 2023年からは市の委託で、「ぎおん柏崎まつり 海の花火大会」の有料観覧席やツアー客に弁当を振る舞う事業団体のトップも担っている中村さん。大規模イベントなどで1日5000食ほど提供できるノウハウを持ちます。

#chapter2

自身の強みは「地産地消」「地元密着」と思い定め、カフェから弁当屋へ

 中村さんは調理師専門学校を卒業後、実家の花屋の隣で叔母が営んでいたカフェを母親と一緒に引き継ぎます。

 「好きな料理の道で、好きなように働ける満足感がある一方、専門学校の同級生たちが『星付きのレストランで修行することになった』など、どんどん前に進んでいく話を聞くと、自分はこのままでいいのかと、もどかしさを抱くようにもなっていました」

 中村さんは自分にできることは何かを模索。地産地消委員会のメンバーとして活動したり、JAの職員らと積極的に交流したりする中で、地元密着で食材を活用していくことが強みになると気付きます。

 またカフェの来客は主婦が多く、日々の食卓で生かしてもらえればと、野菜・果物の目利きや栄養、扱い方に関する知識が習得できる野菜ソムリエの資格を取ることもひらめきます。

 「試験に向けて学ぶ過程で、産直のように生産者と消費者との距離が近ければ近いほど、栄養価が高く味わい深い品をリーズナブルに届けられることを知りました。地域の食を地域の作物で賄うことで得られる効果を実感し、農業の振興にもなると確信しました」

 自らが向かう方針が定まり、自信を深めた中村さんは、母親と共同経営していたカフェから独立し、地産地消を軸とした事業を立ち上げます。時を同じくしてコロナ禍に突入するなど、世の中の情勢が不安定ではありましたが、外食が減り「弁当屋」という業態が時勢に乗ったことも追い風となり、順調に業績を伸ばしてきています。

中村奨 なかむらしょう

#chapter3

飲食店のプロデュースやコンサルティングを通して持続可能な発展を目指す

 中村さんを飲食の世界へ導いたのは、祖母の手料理だけでなく、母と中学時代に出掛けたさまざまな店の思い出も大きく影響していると言います。

 「コンセプトに沿った外観、内装はもとより、角砂糖が置かれた皿や食器、バンドの生演奏など、レストランやカフェそのものが上質な体験の場であることに衝撃を受けました。自分が目指す食空間のモデルであり、五感で楽しめる店づくりをサポートすることも私の夢の一つです」

 プロデュース業に取り組み、地元に憩いの場を創りたいという依頼ではバーをプランニングしました。

 今後は、メニュー・商品開発で集客力や販売力を上げたい個人店のオーナー、飲食業者、開業予定の人に向けたコンサルティング業にも注力。地域に根差したブランディングで価値を高めていきたいと意欲を見せます。

 「自分の経験値を生かし豊かな食文化を創造することで、持続的な発展を後押ししたいんです。地方だから、柏崎だからやりたいことを諦める理由にはならないですし、むしろここだからできる工夫や活路があることを体現していきたいですね」

 季節の食材を使った数々の総菜を提案してきた中村さんは、食育の講演で学校に赴くことがあり、次世代にも目を向けます。
 「柏崎では人口減少が重要課題となっており、若年層に定着してもらう必要があります。『地元でこんなことをしたって無駄』『都会に行かなければやりたい仕事がない』と考える人たちに、希望を持てるような背中を見せていくつもりです」

(取材年月:2024年5月)

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中村奨

地元食材の魅力を存分に生かした弁当&飲食店プロデュースのプロ

中村奨プロ

弁当販売

株式会社ハク

弁当販売を通して、「単なる栄養補給に終わらない食体験」を提供していくことがモットー。飲食店プロデュースにも手を広げ、事業を通して、将来に渡る地元柏崎の活性化を目指します。

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