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緊急時に事業の継続・復旧の指針となる「BCP」で、顧客の信頼と従業員の安全を守る

社会福祉事業経営をサポートするプロ

大塩泰義

大塩泰義 おおしおやすよし
大塩泰義 おおしおやすよし

#chapter1

介護・福祉事業者におけるBCP義務化に伴い、事業所に合った計画を策定

 多発する豪雨や地震といった自然災害や、世界中にまん延したコロナウイルスなど感染症拡大に備え、事業継続計画(BCP)を策定する企業・団体が増えています。

 「緊急事態において基幹業務などを継続し、商品・サービスを提供することは顧客や取引先の信用につながります。事業の早期復旧の指針となり、大切な従業員の命を守るための行動基準となるBCPの構築をお手伝いします」

 そう語るのは、長崎市の「社会保険労務士大塩事務所」代表の大塩泰義さんです。

 2024年から、高齢者や障がい者をケアする介護・福祉の分野でBCPが義務化。対策を講じた事業所は補助金・助成金を受給できる可能性がある一方、未対応の事業所は介護報酬が減算されるため、迅速な対処が求められています。

 「とはいえ、介護業界は慢性的に人手が不足している上、各種リスクを想定して詳細に施策を立てられる人も多くはありません。国が提示しているBCPのひな形もそのまま使うことはできず、自力で進めるのは困難を極めます。当方では、施設の規模や立地、地域性を考慮し、その事業所にあったBCPを作成いたします」

 大塩さんは、介護職員のキャリアアップや職場環境の整備に取り組んだ事業所に支給される「処遇改善加算」の申請も代行。施設運営に関わる業務を幅広くサポートします。

 「当方は、企業やNPO法人からのご要望にも応じています。特に企業にとっては、製造から流通まで担うサプライチェーンを維持するためにBCPが欠かせません。生活者に必需品を届けるためにも、ぜひご検討いただきたいですね」

#chapter2

令和6年能登半島地震を機に、備えることの大切さをあらためて痛感

 2024年1月1日に起きた令和6年能登半島地震。多数のインフラが寸断され復旧に時間がかかる中、大塩さんは改めてBCPの必要性を痛感したと言います。

 「あの日は正月返上で仕事をしており、机に置いていたスマートフォンがけたたましく鳴って地震を知りました。ちょうど北陸地方の施設のBCP作成でハザードマップや活断層図に目を通していた最中で、身震いがしましたね。お客さまにメールしたところ、建物が被害を受けたとのこと。災害に備えるため、自分の務めを精いっぱい果たそうと心を新たにしました」

 策定に当たっては依頼者にヒアリングを行い、避難の判断基準や避難場所、優先する業務などを選定。復興度合いに応じた業務再開の段取りのほか、他の事業所や地域との連携についても内容を詰めます。
 「自前で作成を試みたが挫折したという方も多く、完成したBCPを見て安堵の表情を浮かべますよ」

 毎年煩雑な手続きが求められる処遇改善加算では、状況に応じて就業規則や賃金規定の見直しを助言することも。
 「加算の要件を満たすためには、従業員への配分方法を就業規則に明記する必要があるのですが、何年も改定していない事業所も見受けられます。インターネットの普及で誰もが労働法規を知ることができる時代だけに、社内ルールの不備は労使トラブルの元になりますので、適切に整えましょう」

 大塩さんは、パート従業員の手取り減などが課題の「年収の壁」対策も、業種を問わずアドバイスしています。

大塩泰義 おおしおやすよし

#chapter3

消防士として長崎大水害で救助を経験し、防災、気象、労務の知見を地域に還元

 長崎県島原市出身の大塩さんは大学を卒業後、長崎市消防局に入庁。消防士として地域の安全に貢献してきました。市長部局では防災行政の担当者として、避難所の指定や地域の防災訓練の企画立案に従事しました。

 大塩さんにとって忘れられないのが、入庁2年目の1982年に発生した長崎大水害。死者・行方不明者299人を数え、市のシンボルの眼鏡橋が半壊するなど、大きな爪痕を残しました。

 「市内各地で発生した土砂崩れで多くの方々が生き埋めになり、何カ月にもわたって救助活動を続けました。どうしてこんなに甚大な被害がもたらされるのか、という疑問から気象について考えるようになり、在職中に気象予報士の資格を取りました」

 退職後は労働現場に目を向け社労士の資格を取得し、2021年に事務所を開設。防災、気象、労務の知識を生かす仕事として、BCP策定に携わるようになりました。

 長崎県が実施する防災研修の講師にも登録しており、自治会など各種団体に出向いて避難の仕方などについて講話。長年培った防災の知見を市民に還元しています。
 「人前で話す経験などなかったのですが、防災士の方に勧められて始めました。特に梅雨時季の前はお声が掛かることが多いですね」

 大塩さんは高齢化社会の進行を見据え、今後も福祉事業者を中心に安全・安心で力になりたいと話します。
 「事務作業に手が回っていない施設は多いはず。さまざまな面でお役に立つことで、長いお付き合いができればと考えています」

(取材年月:2024年2月)

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大塩泰義

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大塩泰義プロ

社会保険労務士

社会保険労務士大塩事務所

介護事業所で働く人の処遇改善加算をはかります。災害・感染症から事業の継続を進めるBCPを作成します。認知症高齢者、障がい者を支える成年後見人を努めます。

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