生きづらさを感じる人の住まい・仕事・自信回復を支えるプロ
福田健誠
Mybestpro Interview
生きづらさを感じる人の住まい・仕事・自信回復を支えるプロ
福田健誠
#chapter1
誰もが社会の一員としてやり直せる機会をつくりたいと、日常生活に苦しむ人を福祉サービスで支える「LINKS PROJECT(リンクスプロジェクト)」の代表・福田健誠さん。長崎県内に複数の拠点を置き、行き場のない人々を受け入れています。
「利用者の中には漠然と生きづらさを感じている方もいれば『長く引きこもっている』『仕事が続かない』『借金が返せない』『ホームレス状態になった』という方もいます。また、望まず犯罪に巻き込まれた方もいます。そんな皆さんの衣食住や就労を支えるのですから、『私たちが行動しないで他に誰が手を差し伸べるのか』という覚悟で取り組んでいます」
事業の柱は、働けない・働きづらい人のための「生活困窮者就労訓練事業」、病気や障害のある人の自立を助ける「就労継続支援B型事業」、障害者と家族の話を聞き情報提供を行う「相談支援事業所」の3つ。就労プログラムも稲作や弁当作り、リユース品の仕分けなど多彩で、希望や適性に応じて選択できます。
「草刈りの仕事では、依頼主のお礼の言葉をきっかけに自己肯定感が芽生え、自主的に道具をそろえ、勉強会を始めた利用者もいます。その成長ぶりに目頭が熱くなりましたね。評判も広がり、草刈りは今も1年先まで予約が埋まっています」
DV被害者が一時的に過ごすシェルターも用意し、長崎県外からの相談にも対応。警察や行政と連携し、社会復帰まで切れ目のない支援を続けています。
「従業員も心理カウンセリングを受けられる体制を整えています。支援者の心が整っていることが、利用者の安心にもつながるからです」
#chapter2
福田さんは政治経済を学ぼうと大学を目指すも病気がちで断念することに。心機一転して漁業協同組合に就職し、金融業務や若手漁師の指導に携わります。
「次にコンクリート関連の会社でトラック運転手の管理を任されました。『1つ注意したら5つ褒める』など自分なりの対話方法を見いだし、漁協時代から個性豊かな皆さんと良好な関係を築いてきました。現在の仕事にも通じますね」
その後、県立高等技術専門校で溶接指導員になり、鉄工場に勤めていた父親の影響もあって難関の資格試験にも次々と合格します。
「技術を磨いて人に教え、成長を見守る喜びを知りました。6年にわたり勤め、今度は広島の刑務所で法務技官になりました。そこで精神的な障害の特性から思いがけず事件に巻き込まれた人を目の当たりにし『彼らは本来であれば収容されずに済んだはず。犯罪を未然に防ぐ仕組みが必要だ』と考えるようになりました」
佐世保市の社会福祉法人に移ってからは、生活保護受給者を対象にした就労準備支援事業の責任者として活動。やがて約25人の利用者から新たな活動の場を求められ「LINKS PROJECT」を立ち上げます。
「当法人は、わずか10日間という短期間で設立しました。あまりに慌ただしく、当時の細かな記憶はほとんど残っていないほどです。それでも、あのときの決断が今の活動につながっていると強く感じています」
#chapter3
社会に見放されたと感じていた人が「LINKS PROJECT」と出会い、自らの価値に気付く、その瞬間が何よりのやりがいだという福田さん。「私たちの援助は住居や仕事の提供だけでなく『やればできる』と自信を取り戻させること」と語ります。
「いじめで引きこもっていた中学生を迎え入れたこともあります。当初は自尊心を失っていましたが、他の利用者や職員との交流や作業体験を通じて自分らしさを取り戻し、高校を卒業しました。現在は大学進学に向け運送会社で働きながら貯金を続け、『いつか人のためになる仕事がしたい』と話すなど、すっかりたくましくなりました」
また利用者が卒業後に職員として戻ってくることも。痛みや苦しみを知るからこそ一生懸命に寄り添うことができ、仕事への感謝の気持ちも強いと話します。
「目標は『誰一人取り残さない地域福祉のモデルケース』を長崎から発信していくことです。実際に私立高校と連携し、学校生活が順調でない生徒への早期支援を始める予定です。障害や病気ではないけれど、何らかの特性で授業や交友関係がうまくいかない本人や保護者、学校との間に私たち専門家が入り、将来の選択肢を広げられたらと考えています」
さらに長崎県内の離島エリアにサービスの空白地帯を生まないよう、平戸などの社会福祉協議会とも連携を強化。法人設立から10年が過ぎ、地域ネットワークは確実に広がっています。
「幼い頃は正義のヒーローに憧れていました。佐世保という日本の西の端で社会課題に向き合う姿が、誰かの勇気になるのであればうれしいですね」
(取材年月:2025年11月)
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Profile
生きづらさを感じる人の住まい・仕事・自信回復を支えるプロ
福田健誠プロ
自立相談支援事業
一般社団法人LINKS PROJECT
社会復帰を目指す人に住居や就労の機会を提供。生活困窮者の就労訓練事業の認可を受け、行政や警察と連携しながら、DV被害者や住まいを失った人も受け入れる。職員の心理ケアにも取り組み、持続可能な支援を目指す
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