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多様性を認め共に育つ環境が、地域を発展させ心豊かな子どもを育む

地域と繋がりながら子育てしやすい未来を創るプロ

山岸裕始

地域と繋がりながら子育てしやすい未来を創るプロ 	山岸裕始さん
山岸裕始さん取材風景

#chapter1

「子どもは宝」地域で子育てすることで育まれる豊かな社会 

 「子育ては地域のみんなが関わってやった方がいいと考えています。人間が成長していく上で、いろいろな方とふれあいながら育って行くことは当たり前のことで、母親と子ども二人だけの育児という状況は、人間の発達や文化からすると自然なことではありません」と、長野県北信地域で『みらいく保育園』7園を経営している山岸裕始さんは語ります。
「核家族の母親が、子どもと地域に飛び込んでいくのはハードルが高く難しいことです。個人レベルで解決出来ることではないので、“地域で育つ”という部分を『みらいく保育園』が担おうと考えました」

 「みらいく」という名称は「未来・育児・共育」を、地域と一緒に保育園で行いたいという想いで名付けたそうです。「開かれた保育園」という方針の下、地域の方々と積極的に関わっています。具体的には、夏祭りやお餅つき大会といった園の行事に地域の方々をお招きしたり、逆にこちらから地域のお祭りに出掛けて行ったり、市や町のイベントに職員が実行委員として関わり、子どもたちを連れて参加したりしています。それを可能にしているのは、職員がこうした活動に参加したり、町の消防団で業務に関わったりした場合などにも出勤として扱うなど、働く環境が整っていることが大きいようです。
職員の方々が子どもの安心安全を第一に考えながら、日々の成長を我が事のように喜んでいる姿は、アットホームで大きな家族といった雰囲気です。

#chapter2

魅力あるまちづくりは子育て環境を整えることから

 20代の頃から“まちづくり”に興味があった山岸さんは、手作りのイベントにも積極的に参加していました。しかし、一過性のイベントではなかなか定住に繋がりません。
「雇用があり、子育てしやすい環境が整っていないと人は増えない。地域の人たちと一緒に子育て出来る保育園があったら、移住してきてくれる人がいるはずだし、子育て環境を整えることが少子化対策にも繋がるのではないか」そう考えた山岸さんは、2015年、「子育てしやすい未来」をミッションとする「一般社団法人信州子育てみらいネット」を立ち上げ、認可外保育施設「ちいきの保育園みらいく」をスタートさせました。

 社会全体で子どもを大切にしたいという想いがあっての保育園経営でしたが、収入は認可保育園の4分の1。経営的には厳しい状況でした。保護者、保育士、職員、ボランティア、みんなが精一杯力を尽くしましたが、現実は厳しく、「子ども・子育て支援法」が改訂されたのを機に、認可保育園をつくるという方向にシフトしました。

 小規模保育園を認可した前例がない長野市との協議は、想像以上に困難を極めましたが、粘り強く活動を続け、2017年4月、ようやく長野市三才に「地域型保育事業小規模保育事業みらいく保育園」を開園。さらに2018年の小布施町を皮切りに、長野市、中野市に、「企業主導型保育事業みらいく保育園」と「病児/病後児保育施設みらいく おひさま」を開園させ、子育てしやすい環境を、少しずつ形にしていきました。

地域の子供との交流風景

#chapter3

何かをやりたいと思っている人の力になりたい

 「みらいく保育園」は、各園が「自由で自立した組織」だと山岸さんは言います。「統一した“規則・マニュアル・指針”はありますが、行事や保育の仕組み、保護者との関わり方は、各園に任せています」

 自分で考え、実践していくことに、最初は抵抗があり不安だった保育士さんたちも、園児や保護者のためにどうしたら良いかを考え、工夫していくことが次第に楽しくなっていったそうです。現在は、各園の取り組みを共有化し、意見交換する中で「自分たちの園も負けていられない」と互いに切磋琢磨するようになりました。「大切なのは、互いの違いを認め、自分とは違う考え方に耳を傾け、協力し合っていくという姿勢です」と山岸さんは言います。  
責任とやりがいを持って働いている職員たちが、“みらいくの財産”になっているそうです。

 多様な取り組みは「食」にも現れていて、「生産者の顔が見える食材」という全園の基本方針の下、園ごとに農家と提携し給食を提供しています。バイキング給食を導入している園もあれば、地域の農家さんに指導していただきながら、園の畑でジャガイモ、なす、ピーマンなどさまざまな野菜を育て、園児自身が草刈りや収穫をして給食に出している園もあります。自分で収穫した野菜は子どもたちにとって特別なものです。給食参観で、家では食べない野菜を、自分からもりもり美味しそうに食べている姿を見て、励まされるお母さんも多いといいます。「地域に開かれた保育事業を通して、何かをしたい、始めたいという人たちの応援をしたい」山岸さんの想いは、確実に形となって豊かな“まちづくり”に繋がっています。

(取材年月:2020年1月)

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山岸裕始

地域と繋がりながら子育てしやすい未来を創るプロ

山岸裕始プロ

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一般社団法人信州子育てネット

子育てしながら働きやすい社会の創造に向け、ママ対象のビジネスコンテストや学生対象のアイデアコンテスト、次世代育成活動などを行う。また、若者の雇用管理状況が優良な『ユースエール認定企業』に選ばれている。

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