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情感あふれるフラメンコで感動を届け、地域の文化芸術活動を後押し

フラメンコで観客・演者・社会に価値を提供するプロ

松山光

松山光 まつやまひかる
松山光 まつやまひかる

#chapter1

演者として生徒が主役のフラメンコ教室を展開し、国内トップレベル講師の指導クラスを有する

 「当方が拠点を構える長野県南部は、山々や渓谷が織りなす四季折々の景観に恵まれています。自然からインスピレーションを得て感性が磨かれる地で、生徒が表現者として主役になれるフラメンコ教室を立ち上げました。多方面で活躍する講師を招き、地方にいながら一流のレッスンを受けてもらえるクラスがあることが特長であり、こだわりです」

 そう語るのは、「ハレオ・フラメンコ」の代表・松山光さん。伊那市を始め、飯田市、木曽市と3教室を展開。いずれのクラスも、フラメンコギター奏者である松山さんの生演奏で踊ることができます。

 「習い事の多くは、日頃の成果を披露する発表会を目標にしますが、私どもは原則発表会をしません。その代わり、地域のフェスティバル参加や出演オファー、福祉社会アート事業への参画など年間10回前後の出演があります。ある程度実力が必要とされる出演もありますが、観客に感動・満足感を与えられるよう意識してレッスンに励みますので、表現者としての意識醸成は早いと感じています」

 上達を後押しするのは、国内トップレベルである屋良有子さんのクラスと、その門下生である講師陣です。本場スペインに留学し、コンクールの受賞歴を持つほか、2009年に文化庁の海外研修員に選抜されたフラメンコ舞踊家の屋良有子さんのクラスでは、技術と経験に基づいた質の高い指導と公演機会の多さで、生徒は“魅せるダンス”を実践形式で身に付けることができると言います。

 「楽しく踊るというのも大切ですが、自分の踊りで誰かを感動させるということは、言葉では言い表せない達成感があります。大きな自信となり、その後の生き方をも変えうる力がありますから、ぜひ体験してほしいですね」

#chapter2

フラメンコを始めとした多彩な芸術で地域を盛り上げるべく奔走

 「私がフラメンコギターを始めたのは高校生のとき。大学在学中には舞踏家の伴奏者として日本各地を転々とし、ギター講師も務めましたが、卒業後は企業に就職したんです」

 入社して数年後に転勤で長野県に移住してからは、ギターに触れる暇がないほど忙しい毎日を送りますが、40代の長期休暇を機にレッスンを再開し、教室を開く構想が浮かんだそうです。

 「当時、県内の南信地方には教室がありませんでした。『雄大なアルプスに抱かれた美しいこの地を、フラメンコといった多彩な芸術で盛り上げたい』、その一心で会社勤めをしながら1995年に開室しました」

 松山さんは、1987年に発足した伊那芸術文化協会の活性化を図るため、NPO法人化に尽力。各種申請などの実務を一手に担い、組織改革や地域とのネットワーク構築に奔走します。2002年にNPO認証を取得し、現在は理事長として事務局を率い、行政と協働しながら豊かで充実した芸術文化の社会づくりを目指しています。

 「会社員時代に管理部門を任されたことがあり、事務手続きや法令に関する知見を生かすことができました。生徒さんも、仕事や家事、育児など日々の営みがフラメンコの糧になり、踊りに深みが出ることもあります。プロを目指すことにこだわらず、自分らしい関わり方を見つけてもらえればと思います」

松山光 まつやまひかる

#chapter3

福祉への効果検証事業に参画。アートと地域の共生を目指して活動

 一説によれば、フラメンコはインドで生まれたジプシーという少数民族が起源。安住を求めスペインのアンダルシアに渡るも迫害を受け、その嘆き苦しみを歌や踊りに込めたと言われています。

 「哀愁が漂うバックボーンも含め、オリエンタル(東洋的)な旋律、太鼓を思わせるステップなど、日本人の琴線に触れる要素は非常に多いです。この素晴らしい舞台芸術を地域のために役立てる仕組みを作ることこそ、自分の使命だと感じています」

 伊那芸術文化協会では、文化芸術活動が福祉にもたらす効果検証事業を実施。高齢者施設などで多様なアートプログラムを提供し、地域一丸となってクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)の向上に取り組んでいます。ハレオ・フラメンコもこの事業に参画して公演に赴きますが、ボランティアとは異なり、施設側の評価も伴いシビアな一面もあるそうです。

 「観客である施設利用者さんに合わせてプログラムを練り、当日もコミュニケーションやアドリブでミニレッスンを取り入れるなど、満足してもらうため創意工夫の連続です。大変ではありますが、自分たちで作り上げているという実感と手応えを得ています」

 アートと地域が共生し、生涯にわたって心豊かに過ごせるようにと願う松山さん。今後の展望について次のように話します。

 「情感あふれるフラメンコで、多くの人に心が震える感覚を味わってほしいという生徒さんのためにも、観客と一体になれる場を地域に創出していきたいと考えています。観客も演者も社会も幸せになる時間を届けていきたいですね」

(取材年月:2023年10月)

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松山光

フラメンコで観客・演者・社会に価値を提供するプロ

松山光プロ

フラメンコ舞踊教室代表

ハレオ・フラメンコ

国内トップレベル講師による指導と、定期的な地域イベント参加で、上達を促す実践形式のフラメンコ舞踊教室を運営。観客と演者と社会のすべてが幸せになる時間を創出すべく、地域貢献活動にも積極的に参加している。

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