年間約350件の工事を手がける介護リフォームに精通した建築のプロ
寺嶋由紀雄
Mybestpro Interview
年間約350件の工事を手がける介護リフォームに精通した建築のプロ
寺嶋由紀雄
#chapter1
「介護保険制度がスタートして間もない2004年頃から介護リフォームを始め、現在は年間350件くらいご依頼をいただいています」と話すのは、長野県千曲市にある「フォレストハウス」の寺嶋由紀雄さん。同社は、介護リフォームに注力していることが特徴です。
工事内容は、「転倒を防ぐために廊下や階段、トイレ、浴室に手すりをつける」「部屋の入り口と廊下、玄関の上がり口の段差をなくす」「すべりやすいタイル張りの浴室、立ったりしゃがんだりの負担が大きい和式トイレ、火の元の不安があるキッチンなど水回りを改修する」「車いすのまま外に出られるように、出入り口の開口部を広げスロープを設ける」とさまざま。家の中の寒暖差によるヒートショックを防ぐ対策としては断熱改修を施し、「温度のバリアフリー化」につなげています。
また、リフォームだけでなく新築も手がけている寺嶋さん。夏の暑さ、冬の寒さを和らげる断熱性能を備えた住宅や、信州の木材を用いた優しい風合いの住まいなど、住む人と環境に配慮した住空間を提案しています。
「当社では、地震への備えとして耐震診断・耐震改修にも対応しています。介護リフォームをさせていただいたお客さまからは『今度、家を建てたい』『構造を見てほしい』とご連絡をいただくこともあります。私どもの仕事を信頼していただいているのだと思うと、うれしいですね」と顔をほころばせます。
#chapter2
介護リフォームの場合、一度行えばそれで完了というわけではないと話す寺嶋さん。
「最初は手すりを付ければ生活できたものが、歩くためにつえを使うようになり、車いすに乗るようになり、その後寝たきりになる・・・といった変化に応じて、その都度リフォームをすることが大切で、同じお宅を何度も工事させていただくことが多いです」
支援や介護が必要な人に寄り添ったリフォームをするために、病院まで足を運ぶこともあるとか。
「病院では、その方の体の起こし方や歩き方、物の握り方といった動作を確認したり、医師やリハビリの担当の方のお話を聞いたりして状況を把握しています。そのほかに、ケアマネジャーさんや、車いす・ベッドのレンタル業者さんなどとも連携しながら計画や施工を進めています」
手すりの高さが数センチ違うだけで不便が生じるのが介護リフォームであり、利用者にとって使いやすい仕様にするためには、体の状態や体格などをふまえたうえで適切に整えることが重要だといいます。
また、障害をもつ人のためのリフォームを受けることもあるという寺嶋さん。「家の中の移動や入浴、お手洗いなど日常生活を少しでも快適に送れるように、ご要望をできる限り反映しています。大変なこともありますが、みなさんに『リフォームをしてよかった』と喜んでいただけるので、やりがいを感じています」と思いを語ります。
#chapter3
「細かいことをキチンとすれば、大きなことも良くなる」という言葉を座右の銘にしているという寺嶋さん。これまで積み重ねてきた実績をもとに、事業規模を大きくすることも視野に入れているそうです。
「でも、それによって個々の工事に目を配ることができなくなるのは避けたいですね。案件数が増えても、お客さまの希望をかなえるリフォームを目指します」
介護保険を利用する事業なので、保健所や市役所といった行政機関ともしっかりコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことも心がけていると言葉を続けます。
「『自宅をバリアフリーにしたいけれど、どのような手順があるのかわからない』『リフォームをしたが、仕上がりに満足できなかった』という声も少なくありません。お困り事があれば、私どもにご相談ください。訪問できればそれが一番ですが、まずは写真を撮ってメールで送っていただいてもかまいません。今後はオンラインツールのZoomなどを使って、スマホで家の中を映していただくといった方法も検討しています」と寺嶋さん。
「私には障害をもつ兄がおり、小さい頃から一緒に生活してきたので、障害や体の不自由さもその人の個性として捉えています。建築士として常々『こういった方々のお役に立ちたい』と考えていたので、今は自分なりによい仕事ができているかなと思っています」と話してくれました。
(取材年月:2021年1月)
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Profile
年間約350件の工事を手がける介護リフォームに精通した建築のプロ
寺嶋由紀雄プロ
建設業
株式会社フォレストハウス
病院や専門職の人たちとの連携により、住宅を利用する高齢者の体の状況をていねいに確認。それぞれの状況に合わせた介護リフォーム工事を実施する。また、状況が変化したときには、それを補う工事も提案する。
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