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Mybestpro Interview

地域の包括的な在宅ケアの取り組みに、存在感を見せる薬局を目指して活動

地域の健康をトータルに支えるプロ

岡元俊雄

カウンター
外観

#chapter1

「地域の健康を守る拠点」「在宅医療の担い手」2本柱で地域貢献。薬剤師が力を発揮できる環境づくりも

 宮崎県庁に近く、昔ながらの飲食店などが立ち並ぶ商店街の一角にある「岡元薬局」。1948年に創業し、街の薬店、漢方薬店、調剤薬局として、長きにわたり地元の人々に親しまれてきました。

 「近隣に医療機関が複数あるわけではないのに、通い続けてくださるお客さまも多いんです」と話すのは、3代目の岡元俊雄さん。2011年の入社以来、「薬の調剤や販売だけではない、地域に求められている薬局の在り方」を模索しながら、サービスの拡充に努めています。

 店頭で行う保険調剤や医薬品の提供、服薬指導に加え、医師や看護師、介護士と一緒に自宅で療養している利用者のもとに足を運ぶことも。宮崎市内の在宅ケアに力を入れ、薬剤の分野で地域医療を担っています。

 提携する「はまゆう調剤薬局」も併せ、在籍する21人のスタッフのうち薬剤師は14人。店頭で応対する外来チームと、24時間体制の在宅訪問チームを組織し、シフトを組んで稼働しています。
 「一人一人がどのポジションにも対応できるスキルを備えているのが、当店スタッフの特徴です」と岡元さん。自身も、チームの一員として店内作業や訪問業務に従事。100以上の医療機関や介護ステーションと連携し、医師やケアマネージャーと情報共有を図っています。

 また、薬剤師の役割を再確認し、誇りを持って働くことができる環境づくりにも注力。「薬の正しい使用がもたらす効果などを患者さんらに伝えるとともに、私どもの知識を広く活用してもらえるよう、異職種の方々と積極的に交流していきたい」と熱意を見せます。

#chapter2

薬剤師の存在意義について再考し、課題解決へ向けて営業職のエースから転身

 岡元さんが薬局運営を再考するようになったのは、事業を引き継ぐ以前。都心に拠点を置く外資系製薬会社に新卒で就職し、営業部門のエースとして勤務していた頃だそう。
 「自然の流れで薬学部に進みましたが、常々『医師の指示通りに薬を調剤するだけの薬剤師は、果たして社会に必要なのか』と、不遜にも存在意義に疑いを抱いていました。だからセールスという全く別の道を選んだのです」

 入社1年ほどで、国内トップという華々しい営業成績を記録。8年間勤め、手応えを実感していた頃、営業先の病院で目にしたのは、手押しカゴいっぱいに数カ月分の薬を持ち帰ろうとするお年寄りの姿でした。
 「『数種類の飲み薬を一包化してお渡しすれば、それで薬剤師の役目は終わりなのか』。かつての疑念が再燃すると同時に、『その先にこそ、本当に求められる責務があるはずだ』と、自身の挑むべき課題がはっきりと形を成したようでした」
 
 矢も盾もたまらず、家族を伴って故郷の宮崎へ。家業の老舗薬局で、先代が着手しはじめていた在宅医療への取り組みを本格化。個人の事情に即した支援と健康づくりの拠点となるよう、自ら先頭に立って体制強化を推し進めています。

 「回り道をしたようですが、前職で各方面にアプローチした経験は、地域のネットワーク構築にも大いに役立っているはず。内にこもりがちな薬剤師を、薬棚の前から人々の生活の場に立つよう後押しできたことが、帰郷してからの私の功績と言えるのではないでしょうか」

広場

#chapter3

店舗の外へも活動の場を広げ、地域の人々にとって身近な存在になりたい

 薬剤師・経営者以外にも、地元国立大学の看護科で非常勤講師の顔を持つ岡元さん。県内の医療・介護従事者などから成る「キュアケアネットワーク」に参加するほか、医療的ケア児とその家族を支援する複合施設「HALEたちばな」の運営にも携わっています。

 「病院ではなく、住み慣れた場所で終末期を過ごせるようサポートする『ホームホスピス』は、宮崎市から全国へ広がりつつあります。医療的ケアが必要な子どもや高齢者、障がいを持つ人などの訪問看護や緩和ケア、コミュニティーの拠点として、2020年に施設が始動する際には理事として企画段階から参画。イベントや相談会にも駆けつけています」

 岡元さんは、「地域の人々にとってもっと身近な存在に」との思いから、〝健康守り隊〟も務めています。
 「店舗前の広場では、地元の歯科や眼科の医師、理学療法士などを招きワンポイントアドバイスや、スタッフによるお薬相談会などを定期的に開催。今後も、みなさんに興味を持ってもらえる内容を計画しています」

 こうした活動が次第に認知され、厚生労働省認定「健康サポート薬局」の取得にもつながりました。

 忙しく過ごす中で仕事の息抜きは、日向灘の波を感じるカイトサーフィンだとか。
 「薬局運営も一層世代交代が進むでしょう。さまざまな領域の専門家と共同することで刺激し合い、ヒントを得ていきたい。新たな視点で技術力や企画力に磨きをかけることができれば、変化の激しい時代の『波』にもうまく乗っていけるかもしれませんね」

(取材年月:2022年11月)

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専門家プロフィール

岡元俊雄

地域の健康をトータルに支えるプロ

岡元俊雄プロ

薬剤師

有限会社岡元薬局

薬局内外での薬剤師の役割を多くの人に周知し活動の場を広げつつ、地域の「健康サポート拠点」を目指す。在宅医療・介護を行うチーム内で重要な役割を担うべく、薬学的知見を共有するネットワークの強化に努める

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