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ふるさと納税を通して、東北に暮らす人を豊かに

ふるさと納税で東北の地域活性化を導くプロ

登内芳也

登内芳也 とのうちよしや
登内芳也 とのうちよしや

#chapter1

地域の知られざる魅力を発掘し、創意工夫で全国に通じるブランド力を

 「ふるさと納税は、自治体や事業者、寄付者、地域に住む人、それぞれにメリットがある〝四方よし〟の制度です」と話すのは、「フロムゼロ」代表取締役の登内芳也さん。ふるさと納税の効果的な活用を目指し、自治体および、運営受託事業者のサポートを行っています。

 現在、岩手県北上市、陸前高田市などの運営を支援。北上市の寄付額が2019年度から2年連続で県内1位(総務省調査より)となるなど成果を上げ、他市町からの視察も多いそう。寄付額につなげるために大事なことは「それぞれの地域に根ざして、丁寧に課題と向き合うことです」と登内さん。

 返礼品の開拓・企画のほか、返礼品を提供する事業者と連携し、受発注や配送の管理などをフォロー。PRとして、Webサイトやメルマガでの発信のほか、コロナ以前は首都圏などでのイベントも実施しました。

 「返礼品として全国区の特産品がない自治体は多くあります。それでも、四季折々の返礼品をそろえる、寄付者に1日でも早く配送する、など細かい工夫や努力が寄付の継続につながります」

 例えば、北上市で人気を誇る返礼品の一つに、旬の野菜セットがあります。地元産野菜を学校給食に提供したいと開業した〝八百屋さん〟に自ら声をかけました。子育て中のスタッフによる手書きのレシピが評判を呼び、固定ファンがつくように。

 「事業者には、安定した収入源となるだけでなく、全国の消費者から感想が届くこともメリットです。提供した返礼品が全国一になると、モチベーションが上がり、地域での注目も高まります」

#chapter2

東日本大震災をきっかけに岩手へ。北上市役所でふるさと納税業務を経験

 2011年の東日本大震災をきっかけに、岩手県で活動を始めた登内さん。それまでは首都圏で事業を行っていました。アパレルでの営業を経て、20代で起業するも資金繰りの悪化により閉鎖。物流会社で経営・経理を学び、30代で雑貨卸業の会社を興します。

 転機は、経営が傾き追い詰められた末に駆け込んだ、ある弁護士との出会いでした。借金を苦に死まで考えていた登内さんに、「会社をどうしたいの?伸ばしたいなら応援するよ」と思いがけない言葉をくれたそう。今できることを示され、前向きになり、事業を縮小して再建を果たしました。

 「一時は弁護士を目指そうと考えたほど人生観が変わり、自分の強みである営業支援や販路開拓で、困っている人の役に立ちたいと思うようになりました」

 リーマンショックの際、打撃を受けた群馬・栃木の町工場で営業支援を行う中で知り合った、岩手出身の経営者からの依頼で被災地支援へ。沿岸部の漁師らから、養殖を復活させ、水産加工場を再建したが、休業中に販路を失ったと相談を受けました。販路開拓のため着目したのが、ふるさと納税制度。「当時、被災自治体はインフラの復旧が優先で、ふるさと納税にまで手が回らない状況でした」

 同じ頃、以前の縁から声がかかり、内陸部にある北上市役所の復興支援員に。その後、市役所や同市観光コンベンション協会で、ふるさと納税の運営に携わります。北上市での実績から2020年にフロムゼロを設立。陸前高田市など沿岸部の自治体への支援も広げています。

登内芳也 とのうちよしや

#chapter3

岩手県内で事業を展開し、地域の雇用創出にも貢献

 ふるさと納税と言えば、返礼品ばかりが注目されがちです。自分が住んでいる地域における、寄付金の用途を知っている人は少数派ではないでしょうか。

 「寄付金は自治体が受け取りますが、市民・町民の暮らしに還元されています。本来寄付は、寄付者と寄付を受けた側がつながるもの。使い道を伝え、地域の人に喜んでもらうことが、本来の寄付の形です」と登内さん。ふるさと納税がどのように活用されているかの説明会を行うなど、市民・町民への発信にも力を入れます。

 また2020年12月には、岩手県の沿岸8市町村と内陸5市が参加する意見交換会を主催。自治体単位だけでなく、県全体、ひいては東北全体での魅力づくりを目指しています。

 登内さんがこだわるのは、地域に根を下ろし事業を展開すること。現在、北上市を拠点に陸前高田市にも営業所を開設しました。「返礼品事業者と密に連携できるほか、雇用創出にもつながります。特に北東北では、長時間労働や低賃金など、雇用環境が問題となっています。残業の削減や所得の向上、福利厚生の充実を図り、スタッフの満足度を高めることも大切にしています」

 「以前は南の島に憧れていましたが、今は岩手で生涯を過ごす覚悟です」と話す登内さん。心を動かされたのは、地域の人々の誠実でまじめな「人柄の良さ」だとか。顔の見える関係づくりを心がけているからこその、地域への愛着が伝わってきました。

(取材年月:2021年9月)

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専門家プロフィール

登内芳也

ふるさと納税で東北の地域活性化を導くプロ

登内芳也プロ

ふるさと納税運営及びプロデュース

株式会社フロムゼロ

ふるさと納税運営経験11年。北上市役所でのふるさと納税業務を経て、東北自治体の運営受託をしています。この制度を活用し、地域の中小事業者の売上UP支援と、地域の関係人口増加を支援しています。

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