プロ挑戦や健康維持、目的に合わせたボイストレーニングのプロ平川視香

プロ挑戦や健康維持、目的に合わせたボイストレーニングのプロ

平川視香

芸能事務所での指導経験を生かし、基礎からプロ志望まで目標に合わせてレッスン

　仙台市の中心部に近い住宅街にある「アルク音楽スタジオ」。表情などを確認するためのミラーが壁一面に施された室内には、ピアノやキーボード、音響機材などが並びます。
　
　コンパクトながら本格的なボイストレーニングルームで訪れる人を迎えるのは、講師の平川視香さん。都内の大手芸能プロダクションで1990年代から20年以上にわたり、メジャーデビュー前後のアイドルや俳優、声優といったアーティストのボイス・ボーカルトレーナーを務めました。

　現在は、自宅スタジオを拠点に東京都内のプロミュージシャンもサポートするなど、仙台と東京でレッスンを行っています。

　「『趣味として気持ちよく歌いたい』『コンクールや発表会に向けてコンディションを整えたい』といったリクエストに応えるだけでなく、プロを志す人や現役のエンターテイナーまで個別のプログラムを用意しています。中には特別にチョイスした楽曲を持ち込まれる方、歌が苦手なお子さんをお連れになる親御さん、『正しい日本語の発音を歌から習得したい』という外国人の方などもいらっしゃいます」

　平川さんはそれぞれの目標を踏まえた上で、発声・呼吸・滑舌・リズム・音程といった基礎からマンツーマンで指導します。プロの音楽家や指導者といった人脈を持ち、リアルタイムに第一線の知見を取り入れられるのも強みの一つ。ショービジネスの世界で大きく開花したいという人の背中を押します。

　「自らの可能性を信じ、挑戦したいという情熱に、居住地や年齢などは関係ありません。要望があれば、オーディションまでの具体的な道筋を示します」

プレーヤーからボイス・ボーカルトレーナーへ転向し、夢に向かう人をサポート

　平川さんは秋田県から上京して4年間声楽を学んだ後、クラッシックで歌声を届けながらポップスも経験。一時は芸能事務所に所属し、女性ボーカルユニットのメンバーとして、当時を代表するような人気バンドと同じオーディションに臨んだこともあるとか。

　「事務所の意向とはいえ、ドラァグクイーン風のメイクやファッションには、戸惑いもありました。同時期に並行して手掛けていた若いタレントたちの歌唱指導に励むうち、彼、彼女らの成長に手応えを覚え、自らが評価される以上の高揚感と達成感を抱くようになりました」
　
　ジャズミュージシャンの夫と結婚したのを機に、トレーナーへと転向。大手芸能プロダクションの養成所に在籍し、さまざまなジャンルで飛躍を目指す人のバックアップに徹することに。

　「とりわけ厳しい評価がなされる世界。実力以外にも持って生まれた声質や表現力、そして人々を引き付ける求心力が求められます。思うように結果を出せず、落ち込むアイドルの卵たちに『出世払いでいいよ』と、スーパーで調達した食材を差し入れることもありました。10代の子もたくさんいて、みんなのお姉さん、お母さんのような心持ちになっていたのかもしれませんね」

　夢に向かう人たちと、涙や笑顔が交錯するドラマチックな日々を過ごしていた平川さん。エンターテインメント業界で輝く原石を磨く中、2011年に東日本大震災が発生。平川さんは夫と共に急きょ、義母が住む仙台へ移り住むことになったのです。

シニア向けのクラスや、アーティストらを招いたワークショップなども企画

　平川さんが仙台に移り住んで10年あまり。「加齢により声がかれてきた」「喉の通りが悪く物がつかえる」など地域の人たちの悩みに寄り添い、声を出すことで口腔内の機能を鍛える取り組みにも力を入れています。健康づくりにつながるシニアクラスも展開し、カルチャーセンターやセミナーで「シニア世代向け誤嚥（ごえん）性肺炎予防講座」を開催しています。

　レッスン生が成果を披露する場として2014年から実施している「ピアノで歌うわがままな歌会」も、コロナ禍を経て再開。国内外で活動するピアニストの生演奏に乗せて歌うぜいたくなステージは、2024年に7回目を迎えます。

　また、平川さんが数年来、温めてきた「都内と同レベルのサポート環境を提供する」というビジョンを実現するべく、新たなアクションをスタートさせています。
　
　多方面と築いたネットワークを生かし、演奏家やアーティスト、ダンサーのほか、楽曲やパフォーマンスの作り手など、幅広いフィールドで活躍する人材を招いたワークショップの定期開催を企画。生活の場を変えることなく、経済的・心理的な負担を抑え、質の高い学びの機会を仙台で提供したいと奮闘しています。

　「この地域特有の伸びやかな空気感が、他にはない魅力を皆さんにもたらしているように感じます。発声や歌唱技術の向上だけでなく、皆さんの中にある豊かな感性や強いマインドを導き出すお手伝いができればうれしいですね。高らかに声を響かせて、自分自身を表現してみませんか」

（取材年月：2024年4月）

高らかに歌声を響かせて、健やかな生活と自信に満ちた未来へ後押し

芸能事務所での指導経験を生かし、基礎からプロ志望まで目標に合わせてレッスン

プレーヤーからボイス・ボーカルトレーナーへ転向し、夢に向かう人をサポート

シニア向けのクラスや、アーティストらを招いたワークショップなども企画

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