施主・建築業者の悩みに応え建築紛争を解決に導く法律のプロ
上田敦
Mybestpro Interview
施主・建築業者の悩みに応え建築紛争を解決に導く法律のプロ
上田敦
#chapter1
住宅を含む建物に関するトラブル「建築紛争」は、誰にでも起こりうる問題です。施主が修補や賠償責任などを求め、事業者との間で訴訟に発展するケースもあり、非常に専門性が高い分野。契約書や設計図書といった各種資料を読み解いて現状との相違点を解明したり、施工ミスなどを指摘したり、幅広い知識と的確な判断力を必要とします。
「上田・小川法律事務所」の上田敦さんは、20年以上にわたって建築紛争に携わる弁護士として建築基準関係法令や建築工程などを熟知し、豊富な経験知を持ちます。培ってきた建築の専門家とのネットワークも生かし、多数に上る事案を解決に導いてきました。
「特に多いのは、住宅の新築やリフォーム時の雨漏りや壁のひび割れなどの不具合で、防水の不備、地盤・基礎不良など原因は多様です。当方では協力関係にある建築士が建物の状態を調査して問題点を明らかにし、法的に対処することが可能です」
上田さんは工務店などからの訴えにも対応。「住宅の引き渡し後に度を越したクレームが度重なり、返金に応じたものの経済的な損害や精神的な苦痛を被った」「工事代金を支払ってくれない」といった理不尽な場面に対峙。施主と事業者、両方をサポートしています。
「住まいをはじめ、“建物は人を幸せにするものでなくてはならない”が私の信条。クライアントさまがどんな立場であろうと、等しく置かれた状況を整理し、優先すべき事項を見極めます。どなたにも分かりやすい説明を心掛けておりますので、建物に関するお悩みがあれば、当方にお声がけください」
#chapter2
上田さんは同志社大学時代に自ら劇団を旗揚げ。演技や脚本制作に取り組むうちに人間の奥深さに興味を持ち、欲、怒り、弱さなど人の機微に触れる弁護士を志すように。2002年から京都市内の事務所に勤務し、当初から建築紛争を意欲的に手掛けた背景に、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災があります。
「大阪出身の私には、神戸は親しみのある街で思い出もあります。見慣れた風景が一変した様子はショックで、テレビでボランティア活動を見て『自分も何かしたい』と思いましたが、当時の私は司法試験の勉強中で行動しなかった。『自分の都合を優先した』という負い目を感じました」
震災を機に欠陥住宅への対応が強化されると、「今なら困っている人を助けられる。これこそ自分の仕事だ」と使命感を抱きます。
本来備えるべき耐震性や耐久性が不足した脆弱(ぜいじゃく)な家をなくすべく尽力。建築分野について研さんを重ね、施主、やがて事業者からも頼られる存在となり、建築紛争のプロとして知られるようになりました。
「相談しても理解が進まなければ依頼者は諦めてしまうでしょう。私は泣き寝入りを防ぐために知見を蓄えていますが、“分かった気になる”ほうが実は怖い。裁判所は建築のことが分からないのですから、私はその“分からない”感覚を持ち、そしゃくしながら進めることを心掛けています。また工務店さんらが知らない法律や裁判所のルールに習熟する者として、法律と建築の言葉を橋渡しする“翻訳家”という意識を持って、解決への道筋を作ります」
#chapter3
「下請け・孫請けなど多くの事業者が関係する複雑な経済構造に加え、原材料費の高騰に人手不足と、建築業界を取り巻く状況は厳しさを増しています。苦境の中でも良い住宅を提供しようと奮闘する事業者のためにも、快適なマイホームを願う施主のためにも、相談窓口を増やしていきたいと思います」
上田さんは、1996年、神戸で弁護士・建築士・研究者・市民が結成した欠陥住宅被害全国連絡協議会(欠陥住宅全国ネット)や、京都エリアをカバーする欠陥住宅京都ネットなどに所属、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの紛争処理委員、専門家相談員を務めるほか、志を同じくする弁護士らと欠陥住宅被害救済の手引書を共同執筆するなど、建築紛争の予防と適切な解決のため、若手弁護士らへの知識継承に注力しています。
オンライン相談にも応じ、利便性を考慮して当人が住む地域の専門家に取り次ぐことも。数多くの声に向き合う中で近年、増えていると感じるのが過剰なクレームだとか。
「WEBで得た部分的な情報をもとに事業者を責めてしまう例もあります。しかし住宅は、土地の形状や気候風土などの条件に合わせて作る“1点もの”。事情により変更せざるを得ないこともあるのです。『住宅は大量生産品でなくオーダーメード』という意識を施主さまに広めることで、トラブルを防ぎたいですね」
法的な結論を示すだけでなく、次に何をしたらいいのかを示し、一歩を踏み出せるように後押しするのが弁護士の仕事と語る上田さん。安心・安全な住宅と、健全な建築業界づくりに貢献したいと情熱を燃やします。
(取材年月:2025年3月)
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Profile
施主・建築業者の悩みに応え建築紛争を解決に導く法律のプロ
上田敦プロ
弁護士
上田・小川法律事務所
専門性の高い建築紛争において豊富な知識・経験・専門家ネットワークを備えた弁護士。建築業者・施主を問わず、新築・リフォーム・欠陥住宅など幅広い悩みに応え、安心・安全な住宅と健全な建築業界づくりに貢献。
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