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実践的、効率的なカリキュラムで和食の知識や技術を養い、料理人を育成

若手料理人を育て、和食の魅力を国内外に広めるプロ

島谷宗宏

島谷宗宏 しまたにむねひろ
島谷宗宏 しまたにむねひろ

#chapter1

1日5時間、週3回、6カ月間の短期集中型で、和食づくりの基礎を指導

 「和食の料理人になるには、調理師学校に通うほかに料亭などの店で修業する方法がありますが、当方は両方の良さを併せ持った新たな選択肢を提案しています」

 そう話すのは、京都市で「島谷宗宏京都日本料理スタジオ」を開く校長の島谷宗宏さん。四季折々に山海の幸を用いた献立で、自然の恵みを享受する日本の心を継承するため、尽力しています。

 「学校は基礎から応用まで幅広く勉強できる利点がありますが、卒業までに一定の年数がかかります。店に入れば早くから現場に出られますが、洗い物や掃除、食材の下処理など下積み期間を要します。当方では短期集中型で、実技や座学を教えています」

 島谷さんのもとでは、1日5時間、週3回、6カ月間のカリキュラムを用意。実践的かつ効率的な学びに特化し、時間に制約のある社会人や、すぐに現場に立って働きたい人に適しています。

 「修了後にどの店でも通用する基礎の習得を目指します。学校ではなく塾のようなイメージですので、自身の適性を見極めたい方や、短期で来日した外国の方も気軽に受講しやすいと思います」

 「おばんざい調理実習」では、煮物やあえ物、みそ汁といった身近な食を題材に、包丁を使って野菜の皮をむく、だしを取る、火加減を調節するなど、和食づくりに必要な技術を指導。受講生は作ったものを昼食として実際に食し、味や香り、食感などを五感で記憶します。

 「和食の基本は家庭料理です。凝ったごちそうを覚えるのはその先でも大丈夫。まずは自分たちが普段いただくお総菜をセオリー通りに作れることが大切です」

#chapter2

和食の肝は「素材」。生産者の元を訪ねる授業で素材への理解を深める

 「素材を生かすのが和食の特長の一つです。授業では、農作物や加工品、酒など生産者の元を訪ね、現場の様子や作り手の思いを知り、素材への理解を深めてもらいます」と島谷さん。現地での講習は、持ち味をあますことなく引き出す上で「最も伝えたい部分」と力を込めます。

 「例えばふろふき大根であれば、大根がどんな場所でどう育ち、料理人のもとに届くのか。旬がいつで、どんな状態が新鮮なのか。生産者がどんなこだわりを持ち、手塩にかけたのか。これらを知っているかどうかで料理の仕上がりが全く違ってきます」

 島谷さんは、2016年にブラジル・リオデジャネイロで開幕したスポーツの祭典の日本館、2020年にスイスで開かれたダボス会議で日本料理を担当。国際舞台で活躍した経験をもとに、カリキュラムでは英語の授業を採用。華道、茶道、書道といった伝統芸道に触れ、教養や感性を高める時間も設けています。

 授業には、島谷さんをはじめ和食界を代表する料理人や、各分野の専門家らが登壇。料理や食卓を美しく見せるためのフードコーディネートのほか、接客のプロも招き、コミュニケーションや接遇について講話しています。

 「外国人が受講する場合は言葉の面もサポートします。本場の技術を学びたいと研修に来られる方が増え、和食に携わる者として大変うれしいことですし、日本人の受講生にとっても良い刺激になっています。希望者には、割烹やホテル、旅館の厨房を紹介するなど就職も支援します」

島谷宗宏 しまたにむねひろ

#chapter3

和食は世界で戦える料理。インバウンド需要、海外進出といったチャンスも

 奈良県出身の島谷さん。料理上手な母親が作る和食で育ったと言います。
 「特に煮物や酢みそあえ、白あえなどが好きでした。『子どもが好む味付けじゃないのに、なんでこんなにおいしいのかな』と不思議でしたね」

 子どものころから和食の魅力を感じ取り、テレビで京都の料理人を特集しているのを観て「かっこいい」と憧れを持ち、高校卒業後は京都府内のホテルや旅館で修業。包丁技を磨き、テレビ東京の番組「TVチャンピオンR」に出演して「世界包丁細工王決定戦」で優勝したことも。

 現在は京都市の割烹「宮川町 水簾」で総料理長を務め、料理本を多数執筆するなど多方面で和食の良さを発信しています。
 「多様な食材と調味料を使って一つのものを作り上げることに面白さを感じています。そしてお客さまに『おいしい』と喜んでもらえることが、何よりも励みになっています」

 2013年にユネスコの無形文化遺産に登録された和食。海外では健康食という観点からも注目を集め、日本食レストランの数は増加の一途をたどっています。また訪日客の増加に伴い、国内でも外国人向けの日本食グルメは盛況となっています。

 島谷さんは、外国人旅行者向けに和食の体験教室も開催。だしの取り方やみそ汁の作り方、お米の炊き方、握り寿司や巻き寿司の作り方など、和食の基本を丁寧に指導します。希望者には日本酒も提供され、自分で作った料理とともに楽しめるのも魅力です。また、英語の通訳も手配可能で、多くの旅行者から人気を集めています。

 「和食は世界で戦える料理。今後はインバウンド向けに提供する機会や、海外に進出する可能性もあると思います。若い皆さんにも興味を持っていただき、チャンスにつなげてほしいですね」

(取材年月:2024年7月)

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島谷宗宏

若手料理人を育て、和食の魅力を国内外に広めるプロ

島谷宗宏プロ

料理人

島谷宗宏京都日本料理スタジオ

調理師学校と店舗での修業、それぞれの利点を併せ持った料理塾。1日5時間、週3回、6カ月間の学びで和食の基礎を伝えます。小学生以上の親子や外国人旅行者など対象とした体験教室も開催。

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