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Mybestpro Interview

造る人、入る人の想いを最大限に引き出すお墓造り

「生きた証」を具現化する墓石のプロ

田尻晋哉

有限会社 石彫 田尻 代表取締役 田尻晋哉
巨大カッターなど、さまざまな設備や道具が揃う工場での作業

#chapter1

生きた証を具現化する「ストーリー・in・ストーン」

 「お客様がお墓を建てようと思われる理由は、ご家族などが亡くなって節目の年を迎えたからとか宗教上の理由とか、必要に迫られてというものもありますが、大切な人を失ったあと、“ようやく心の整理がついたから”という気持ちでいよいよお墓を、という方もいらっしゃいます。そんなお客様の大切な方への想いをしっかりとくみ取って、亡くなられた方の生きた証を墓石のデザインに込めるのがストーリー・in・ストーンです」。田尻社長は、自身が手掛ける墓石制作『ストーリー・in・ストーン』をこう説明してくれました。
 お墓を注文する方の中には、自分がいつか入るために、という方もおられます。「どちらにしても、お墓というのは安い買い物ではありませんから、お墓に入る方の人生や想いを具現化したデザインにするため、お客様とは、徹底したコミュニケーションを図ります」と田尻社長。展示販売を行うような一般的な石材店と比べ、2倍以上の時間をかけてヒアリングを行い、「デザインはもちろん、石の材質、色合いなど、さまざまなことをすり合わせながら、お客様の希望の形を作り上げていきます」。
 そんな『ストーリー・in・ストーン』制作技術の習得のため、田尻社長はアメリカでの研修にも参加。「あちらのお墓は完全な個人単位ですが、日本のお墓は家族単位。あまり個性的すぎてもいけません」。墓石にストーリーを込めながらも、日本の文化習慣の背景もしっかりと理解したデザインを提案できることが石彫田尻の特徴です。

#chapter2

絆のすばらしさを知るからこそ、お墓造りに全神経を傾ける

 実は、大学時代は教育学部で学び、教育実習の経験もある田尻社長。「実習で教えた小学生が、実習から約10年もたっているのに、両親のお墓を建てたいと電話してきてくれたんです。彼が若くして両親を亡くしたことは本当に残念でしたが、忘れられない思い出となりました」。田尻社長自身も、石彫田尻の創業者である父親を30歳の時に亡くしました。「あまり積極的に家業を継いだわけではなかったのですが、父に言われてふるさとに帰り、父が亡くなる前の7年間を修行できたことは本当によかった」と振り返ります。そんな出会いや絆のすばらしさを知る田尻社長だからこそ、お墓に込めるお客様の気持ちを理解することに全神経を傾けるのです。
 もう一つ、田尻社長が忘れられないという思い出が、ある高齢の男性の依頼。その男性はハワイにある親戚のお墓をとても気に入っておられ、古くなった自家のお墓を、ハワイのものと同じようなものに造り替えたいとのことでした。「墓地の敷地いっぱいに造ってほしいとの希望で、結構な金額になりそうだったのですが、これまで無駄遣いもたくさんしてきたお金を、あとはお墓に使いたいとおっしゃって。そのお客様の中でなにかしら気持ちの変化があったのでしょう」。男性が写してきていたハワイのお墓の写真を参考に、田尻社長は思い浮かんだイメージもどんどん提案。最終的には、通りを行く人が立ち止まって眺めるほど、大変立派で美しいお墓ができあがったそうです。

手掛けた墓石とともに

#chapter3

お墓は、残された人が安心するための場所

 「アメリカの研修で言われたことなのですが、お墓というものは、保険のようなものなんですよ」。“もしもの時のために、あらかじめ時間をかけて考えておく”ことも大切。亡くなった家族のためにしろ、自分のためにしろ、「ぜひ、納得のいくお墓づくりをしていただきたいんです」と田尻社長は言葉に力を込めます。
 現在は供養の方法も多様化し、お墓を造らない人も増えていますが、「お墓というのは心のよりどころ。もし自分が住む場所がお墓から遠く離れていても、大切な場所がある、という心の支えになりませんか」と田尻社長。お墓を大切にし、美しく保つことは残された人の義務ではなく、残された人が安心し、気持ち良くなれるための手段の一つとなるはず。そう考えれば、お墓を建て守ることは決して負担となることではありません。
 「ストーリー・in・ストーン」ほか、石彫田尻が手掛ける墓石には、『ファントーニ彫刻』を施すことも可能です。これは、金箔などを施さなければ目立ちにくい従来の彫刻と違い、シャープで鮮やかな彫りが特徴。現在のところ、アメリカの会社が特許を持ち、熊本ではまだ3社しか扱っていない技術です。
 また、近年では墓石の耐震対策にも着手。「倒れるだけでなく、墓石が割れてしまっては元も子もありませんから、倒れないような対策を施します」。デザインだけでなく、お墓への安心という点でも、石彫田尻の技術には注目が集まっています。

(取材年月 2012年7月)

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専門家プロフィール

田尻晋哉

「生きた証」を具現化する墓石のプロ

田尻晋哉プロ

葬儀

有限会社 石彫 田尻

アメリカでの研修をベースにした「ストーリー・in・ストーン」や、シャープで鮮やかな「ファントーニ彫刻」に、日本人の確かな技術や繊細な心の機微を融合させた“注文住宅”のような墓石制作に強み。

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